ドル円見通し 株高へ同調できずに107円を割り込む(週報7月第2週)

新型コロナウイルスの世界的な感染爆発=パンデミックが収まらない。

ドル円見通し 株高へ同調できずに107円を割り込む(週報7月第2週)

ドル円見通し 株高へ同調できずに107円を割り込む

〇ドル円7/10深夜に106.62まで安値切り下げ、やや戻すも107円には届かずに越週
〇パンデミック拡大の中米ナスダック総合株価指数は連日の史上最高値更新、ダウは足踏み
〇ドル円はドル高よりもドル安が進む場面で下落反応が強まる印象
〇パンデミックに対する先行き不透明感強く、日本における首都圏感染拡大への懸念が重石か
〇107.25以下での推移中は一段安余地あり、106.50割れからは106.00円前後試しを想定
〇5/6安値105.98を割り込む場合は105円前後、さらに104円前後を目指す下落期へ向かう可能性
〇107.2円超えからは107.50円前後を目指す上昇を想定

【概況】

ドル円は6月23日深夜安値106.06円から7月1日午前高値108.16円まで上昇した処から失速した。7月2日から7月9日までは107.50円を中心値として戻り高値を切り上げつつ安値ラインを切り下げるレンジ拡張型の持ち合いを形成していたが、7月9日に切り下がりの安値ラインに到達したものの反騰へ進めず、7月10日には切り下がりの安値ラインを下抜けてレンジ拡張型持ち合いから転落した。7月10日深夜には106.62円まで安値を切り下げてからやや戻したが107円には届かずに週を終えた。

【楽観過ぎるナスダックの史上最高値更新、やや慎重なNYダウ、下落感徐々に強まるドル円】

新型コロナウイルスの世界的な感染爆発=パンデミックが収まらない。7月11日時点の世界感染者数は前日から21万人強増加して1283万人を超えた。最大の感染国である米国では前日から6万人を超える増加で335万人まで拡大した。7月9日には1日で7万人を超える増加を記録している。2位のブラジルでは大統領が陽性となったが、感染者数は184万人に増加、ロシアを抜いて世界3位に浮上したインドは85万人となっている。ブラジル以外の南米も深刻な状況にあり、ペルーが32万人で5位、チリが31万人で6位となりいずれもスペイン(30万人)を超えている。メキシコも28.9万人で英国(28.8万人)を抜いて8位となっている。南ア、パキスタン、イラン、サウジ、コロンビア等も急増が止まない。日本も絶対数は欧米よりも低いものの第二波と思われる急増が見られる。

そうした中でも米ナスダック総合株価指数は連日の史上最高値更新であり、7月10日も前日比69.69ポイント高となり3日連続で終値ベースの史上最高値更新で、取引時間中の最高値も更新した。一方でNYダウは10日に369.21ドル高と上昇して前日の361.19ドル安を解消する反発となったが、3月暴落からの切り返しは6月8日高値でストップし、その後は25000ドル台を中心とした持ち合い圏にとどまっている。アフターコロナにおけるIT・ハイテクの活躍期待と戦後最大級の不況化にある大型優良株の立ち位置の差という見方もあるが、金融緩和による過剰流動性供給が資産インフレを助長するとしても、足元の感染爆発の継続と経済活動再開にブレーキがかかる現状と比較すればナスダックの史上最高値更新はかなり楽観的過ぎる上昇ともいえる。

最近の為替市場では、リスク回避感が強まってダウが下げるとドルの買い戻しでドルストレートではドル高となり、株高が進むとリスク選好でユーロ等が買われてドル安という反応が見られる。ドル円はドルストレートでのドル高ないしはドル安を見ながらの展開ではあるが、7月2日から8日にかけてのレンジ拡張型持ち合い期ではドル高への反応が鈍く、ドル安への反応が勝る状況となって7月10日にレンジ拡張型の持ち合いから下放れたという印象だ。ナスダック総合株価指数の上昇にはなびけず、NYダウ上昇時はドル安反応にも押されて株高同調での上昇反応が鈍く、ドル安が進む場面では下落反応が強まるという印象だ。潜在的にはやはりパンデミックに対する先行き不透明感が強く、足元の日本における首都圏感染拡大への懸念が重石となっているのではないかと思われる。

【5月6日と6月23日のダブル底を維持できるか、当面のポイント】

【5月6日と6月23日のダブル底を維持できるか、当面のポイント】

ドル円は5月6日安値105.98円に対して6月23日安値106.06円で底割れを回避し、両安値をダブル底として反騰した。しかし6月23日への下げ幅3.78円に対して7月1日高値までの戻り幅は2.10円で、半値戻しを若干越えた程度にとどまってその後はジリ安基調に陥っている。
ダブル底ラインを割り込まずに7月1日高値を上抜き返せば6月5日高値109.84円を再び試す上昇へ進む可能性が出てくるが、ダブル底ラインを割り込む場合は6月5日の戻り高値を起点とした下落基調の継続となる。その場合は3月24日から5月6日への下落並みとすれば104.11円、7月1日への戻り幅の倍返しなら103.96円を目指す可能性も出てくるのではないかと思われる。
日足のボリンジャーバンドは上下2σラインの幅が凡そ1.25円幅まで縮小している。3月の暴落とその後のV字反騰という大きな変動によりその後のボリンジャーバンド幅も通常よりも大きい状況が続いているが、その中でも収縮が顕著となってきている。そろそろ上下に大きく動きだしやすい処に来ているのではないかと思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.50円を下値支持線、107.00円から107.25円までを上値抵抗帯とする。
(2)107.25円以下での推移中は一段安余地ありとし、106.50円割れからは106.00円前後試しを想定する。106円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、106.50円を割り込んだ後も107円以下での推移が続くうちは安値試しへ進みやすいとみる。また5月6日安値105.98円を割り込む場合は先行きで105円前後、さらに104円前後を目指す下落期へ向かう可能性が高まりやすくなると考える。
(3)107.25円超えからは107.50円前後を目指す上昇を想定するが、107.50円手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。ただし、107.50円を超えた後も107.35円以上での推移ならその後も高値試しを続けやすく、107.50円超えから続伸する場合は108円手前への上昇へ向かう可能性も出てくると注意する。(了)<12日17:00執筆>

【当面の主な予定】

7/13(月)
13:30 (日) 5月 第三次産業活動指数 前月比 (4月 -6.0%)
15:30 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
16:00 (ト) 5月 経常収支 (4月 -50.6億ドル)
16:00 (ト) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -30.4%)
24:30 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁とウィリアムズNY連銀総裁、オンラインセミナーで講演
27:00 (米) 6月 月次財政収支 (5月 -3988億ドル)

7/14(火)
未 定 (中) 6月 貿易収支・米ドル建て (5月 629.3億ドル、予想 578.9億ドル)
未 定 (中) 6月 貿易収支・人民元建て (5月 4427.5億元、予想 3938.0億元)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合
10:30 (豪) 6月 NAB企業景況感指数 (5月 -24)
13:30 (日) 5月 設備稼働率 前月比 (4月 -13.3%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -8.4%)
13:30 (日) 5月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -25.9%)

15:00 (独) 6月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 0.6%、予想 0.6%)
15:00 (独) 6月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
15:00 (英) 5月 月次GDP 前月比 (4月 -20.4%、予想 5.0%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産指数 前月比 (4月 -20.3%、予想 6.0%)
15:00 (英) 5月 鉱工業生産指数 前年同月比 (4月 -24.4%、予想 -20.4%)
15:00 (英) 5月 貿易収支・物品 (4月 -74.90億ポンド、予想 -82.00億ポンド)
15:00 (英) 5月 貿易収支・合計 (4月 3.05億ポンド、-6.35億ポンド)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 -17.1%、予想 15.0%)
18:00 (欧) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -28.0%、予想 -19.5%)
18:00 (独) 7月 ZEW景況感・期待指数 (6月 63.4、予想 60.0)

21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.5%)
21:30 (米) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 0.1%、予想 0.6%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.1%)
27:00 (米) ブレイナードFRB理事、オンラインセミナー
27:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンライン討論会

7/15(水)

休場、トルコ
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
09:30 (豪) 7月 ウエストパック消費者信頼感指数 (6月 93.7)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前月比 (5月 0.0%、予想 0.0%)
15:00 (英) 6月 消費者物価指数 前年同月比 (5月 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (英) 6月 消費者物価コア指数 前年同月比 (5月 1.2%、予想 1.2%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 0.2%)
15:00 (英) 6月 小売物価指数 前年同月比 (5月 1.0%、予想 1.1%)
15:00 (英) 6月 生産者物価コア指数 前年同月比 (5月 0.6%、予想 0.5%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見

21:30 (米) 6月 輸入物価指数 前月比 (5月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 6月 輸出物価指数 前月比 (5月 0.5%、予想 0.8%)
21:30 (米) 7月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (6月 -0.2、予想 8.4)
22:15 (米) 6月 鉱工業生産 前月比 (5月 1.4%、予想 4.3%)
22:15 (米) 6月 設備稼働率 (5月 64.8%、予想 67.8%)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
25:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、オンライン討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

7/16(木)
07:45 (NZ) 4-6月期消費者物価 前期比 (前期 0.8%、予想 -0.5%)
07:45 (NZ) 4-6月期消費者物価 前年同期比 (前期 2.5%、予想 1.4%)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 -22.77万人、予想 10.00万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 7.1%、予想 7.2%)
11:00 (中) 4-6月期GDP 前期比 (前期 -9.8%、予想 9.6%)
11:00 (中) 4-6月期GDP 前年同期比 (前期 -6.8%、予想 2.5%)
11:00 (中) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 -2.8%、予想 0.4%)
11:00 (中) 6月 鉱工業生産 前年同月比 (5月 4.4%、予想 4.8%)
15:00 (英) 6月 失業保険申請件数 (5月 52.89万件)
15:00 (英) 6月 失業率・英国方式 (5月 7.8%)
15:00 (英) 5月 失業率・ILO方式 (4月 3.9%、予想 4.2%)

18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調済 (4月 12億ユーロ、予想 50億ユーロ)
18:00 (欧) 5月 貿易収支・季調前 (4月 29億ユーロ)
20:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%)
21:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 6月 小売売上高 前月比 (5月 17.7%、予想 5.0%)
21:30 (米) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 12.4%、予想 5.2%)
21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 27.5、予想 20.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 131.4万件、予想 125.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 1806.2万人、予想 1762.5万人)

23:00 (米) 5月 企業在庫 前月比 (4月 -1.3%、予想 -2.3%)
23:00 (米) 7月 NAHB住宅市場指数 (6月 58、予想 60)
24:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、ロッキーマウンテン・エコノミック・サミット
24:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、オンラインセミナー
29:00 (米) 5月 対米証券投資・合計 (4月 1253億ドル)
29:00 (米) 5月 対米証券投資・短期除く (4月 -1284億ドル)

7/17(金)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前月比 (4月 -14.6%)
18:00 (欧) 5月 建設支出 前年同月比 (4月 -28.4%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価指数 改定値 前年同月比 (速報 0.3%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 6月 消費者物価コア指数 改定値 前年同月比 (速報 0.8%、予想 0.8%)
19:00 (英) ベイリー英中銀(BOE)総裁、オンライン講演
21:30 (米) 6月 住宅着工件数・年率換算件数 (5月 97.4万件、予想 117.5万件)
21:30 (米) 6月 住宅着工件数 前月比 (5月 4.3%、予想 20.6%)
21:30 (米) 6月 建設許可件数・年率換算件数 (5月 122.0万件、予想 130.0万件)
21:30 (米) 6月 建設許可件数 前月比 (5月 14.4%、予想 6.9%)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報 (6月 78.1、予想 79.1)

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