ドル円、FOMC通過後に一段安。三役好転も終了するなど地合の悪さが鮮明に
〇10日の海外市場でドル円は続落、一時107.00まで下落
〇FOMCでの2022年までのゼロ金利継続方針、パウエル議長のYCC導入継続議論発言等が材料視された
〇ユーロドルもFOMCを受け一時1.1422まで急伸
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも地合いの弱さが意識される
〇ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ106.60ー107.50
海外時間の為替概況
10日(水)の外国為替市場でドル円は続落。@110円トライ失敗に伴う短期筋の見切り売り(※先週末金曜日の力強い米雇用統計を受けても尚110円を突破できなかったこと)や、A200日移動平均線を下抜けことに伴うロング勢のロスカット、B株安・原油安を背景としたリスク回避の円買い圧力(先週までのリスクオン相場の巻き戻し)が重石となり、ドル円はFOMC直前に一時107.17近辺まで下落しました。
その後発表された米FOMC(米連邦公開市場委員会)では、イールドカーブ・コントロール(YCC)に関する記述が見られず、一時107.46近辺まで反発する場面も見られましたが、C2022年までのゼロ金利継続方針が示されたこと、DパウエルFRB議長が「YCC導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と発言したこと(米長期金利低下→ドル売り)等が重石となると、すぐに5/15以来となる安値107.00まで下落する荒々しい値動きとなりました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、107.12近辺で推移しております。
10日(水)のユーロドル相場はFOMC直後に乱高下。@声明文内に「イールドカーブ・コントロール(YCC)に関する記述」が見られなかったことを材料に(米長期金利上昇→ドル高)、一時1.1328まで急落するも、A2022年までのゼロ金利継続方針が示されたこと、BパウエルFRB議長が記者会見で「YCC導入是非についてはまだ結論が出ていない」「今後の理事会で議論を継続する」と発言したこと、C上記ABを受けて米長期金利が低下したこと等が支援材料となると、一転して3/10以来、約3ヵ月ぶり高値1.1422まで急伸する展開となりました。もっとも、1.14台では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、引けにかけて再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、1.1380近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、先週末金曜日(6/5)に記録した約2カ月半ぶり高値109.86をトップに反落に転じると、昨日は一時107.00まで急落しました(わずか3営業日で2.86円の下落幅)。この間、一目均衡表転換線や200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表基準線を下抜けした他、バンドウォーク(ボリンジャーバンド上限に沿って上昇を続ける状態)や一目均衡表三役好転も終了するなど、テクニカル的にみて、「地合いの悪さ」を印象付けるチャート形状となっております。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナの第2波リスク、E日本経済の先行き不透明感(実質金利上昇→円高)など、ドル円の下落を想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「地合いの弱さ」が意識されます。世界的な外出規制緩和に伴う景気回復期待は既に織り込まれつつある状況であり、ここから先は「リスクオン相場の巻き戻し(※先週までの違和感のあるリスクオン相場の終焉)」に警戒が必要でしょう。米中を巡るヘッドラインや、米主要経済指標の結果(米5月生産者物価指数や米新規失業保険申請件数など)、欧米株や米長期金利の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(クロス円下落→ドル円連れ安の流れに要注意)。
本日の予想レンジ:106.60ー107.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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