ドル円、200日線をついに突破。テクニカル主導で約2ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円海外時間に一時108.78まで急伸
〇特段の材料もない中で108円台にのせたこと、5/19高値108.09を超えたことでドル買いが加速
〇テクニカルポイントの90日線、一目均衡表の「雲」の上限、200日線をことごとく上抜けた
〇中国の環境時報が「中国企業は米国産大豆を購入し続けている」と報道したこともドル円をサポート
〇リスクオンの継続にユーロドルも1.1196まで上伸
〇ドル円はテクニカル主導で急伸するも、ファンダメンタルズの弱さが続伸を阻むか
〇米中対立激化を巡るヘッドライン、新型コロナの感染再拡大状況、米中の主要経済指標等注視
〇ドル円相場の反落がメインシナリオ、本日の予想レンジ108.00ー109.00
海外時間の為替概況
2日(火)の外国為替市場でドル円は急伸。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株および原油先物価格の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円上昇)、B心理的節目108.00を上抜けたことに伴うショート勢のロスカット(ショートカバー)、C中国共産党機関紙「人民日報」系列の環境時報(グローバルタイムズ)による「中国企業は市場のルールに沿って外部要因の影響を受けずに米国産大豆を購入し続けている」との一部報道(※前日の大豆輸入停止報道を否定→米中対立激化懸念が後退)、D米長期金利の上昇等が支援材料となり、米国時間には、200日移動平均線や一目均衡表雲上限を上抜け、約2ヶ月ぶり高値となる108.78(4/9以来)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、108.69近辺で推移しております。
2日(火)のユーロドル相場は大幅続伸。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A欧米株の上昇を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ユーロドル上昇)、BEU復興基金への期待感、C全米での大規模デモを嫌気したドル売り圧力、D環境時報(グローバルタイムズ)による「中国企業は市場のルールに沿って外部要因の影響を受けずに米国産大豆を購入し続けている」との一部報道(前日の大豆輸入停止報道を否定→米中対立懸念が後退→リスク回避のドル買い後退)等が支援材料となり、米国時間にかけて、一時1.1196まで急伸しました(3/16以来の高値)。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.1164近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、昨日海外時間にかけて、約2ヵ月ぶり高値となる108.78まで急伸しました。この間、200日移動平均線や一目均衡表雲上限を突破した他、強い買いシグナルを示唆する三役好転(@ローソク足の雲上限突破、A転換線の基準線上抜け、B遅行線の26日前のローソク足突破)も出現するなど、テクニカル的にみて「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(昨日は環境時報の報道を受けて米中対立懸念が幾分和らぐも、状況は尚流動的。突如米中第一段階合意が白紙となるリスクも残存)、C朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク。本邦における東京アラート発動)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル主導(ショートポジションの解消)で急伸するも、ファンダメンタルズ的な弱さが続伸を阻むシナリオが想定されます。世界的な外出規制緩和を受けた期待感は既に織り込み済みとなっていることから、ここから先は一巡後の「反落リスク」により警戒が必要でしょう(新型コロナ第二波→外出規制の再開リスク)。米中対立激化を巡るヘッドラインや、新型コロナの感染再拡大状況(東京アラートの発動など)、米中の主要経済指標(中国5月財新サービス業PMIや、米5月ADP雇用統計、米5月ISM非製造業景況指数など)の結果を睨みながらも、当方ではドル円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:108.00ー109.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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