香港情勢めぐる動きを注視、米指標も要注意(5/28夕)

28日の東京市場は、ドルが小高い。ただ、レンジは引き続き狭いうえ、ドルの上値の重さも目についた。

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香港情勢めぐる動きを注視、米指標も要注意(5/28夕)

香港情勢めぐる動きを注視、米指標も要注意

〇ドル円107円台後半で小高い
〇市場は「香港情勢」、「欧州の復興経済対策」に注目
〇中国の「香港国家安全法」に対する米国の制裁に警戒感強まる
〇ドル円は高値圏で推移するも今週一度も108円に達せず
〇ドル円予想レンジ107.40-108.30

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場は、ドルが小高い。ただ、レンジは引き続き狭いうえ、ドルの上値の重さも目についた。

ドル/円相場は、107.70-75円で寄り付いたのち、日中安値である107.65円レベルを示現。しかし、以降は逆にドルが買い進まれる展開となり、一時107.90円レベルまで値を上げている。日経平均株価が終値ベースで4日続伸、再び500円近く上昇したことなどが材料視されていたという。16時現在では107.80-85円で推移、欧米時間を迎えていた。
そうしたなか、南アフリカの通貨であるランドが堅調裡。対円では6.23円レベルまで上昇するなど、約2ヵ月ぶり高値を記録している。

一方、材料的に注視されていたものは、「米中対立」と「欧州情勢」について。
前者は、香港におけるデモ隊と警官隊の衝突に関し、米国務長官が「香港に高度の自治は保証されていない」などと発言。また、米国による制裁の可能性が取り沙汰されるなか、米国は香港情勢をめぐり「国連安保理に緊急会合開催を要請した」と報じられている。反面、中国は本日の全人代で「国家安全法」の導入を決定したうえで、李首相が記者会見に臨む見込みだ。
対して後者は、昨日「欧州委員会が7500億ユーロの救済基金を提案」したことを好感し、一時ユーロが急伸。その後も、ユーロが高原推移をたどるもとになった。ただ、やや楽観に傾き過ぎている感も否めず、実際、一部の新聞では「実現には全加盟国と欧州議会の承認が必要。支援の形や基金の規模をめぐる加盟国の立場に相違は大きく、協議の難航は必至」−−などとする解説も聞かれていた。

<< 欧米市場の見通し >>

経済活動の再開に動きはじめた東京で、新型コロナのクラスター(集団感染)が明らかになるなど、懸念されていた「第2波襲来」が現実のものとなる危険性も指摘され始めた。とは言え、日本のみならず欧米諸国などにおいても、前に進むしか基本的に道はない。細心の注意を払いながらも、経済活動の幅をさらに広げることになりそうだ。そうした意味では、早期のワクチン開発が期待されるところで、実際に金融市場の関心も高い。

材料的に見た場合、「貿易問題のほか香港情勢などを含めた米中の対立」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」、「コロナ治療薬をめぐる動き」など、注目要因は依然として目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは、引き続き「新型コロナウイルス」関連のニュースだが、感染拡大云々といった直接的なものよりも、先で指摘した「ワクチン開発をめぐる動き」や「米中間の対立」などに注意を払いたい。とくに後者については、「香港国家安全法」をめぐる動き、米国からの制裁などを警戒する声が多く聞かれていた。また、足もとユーロなどが堅調に推移しているものの、やや楽観に傾ぎ過ぎている感もうかがえるだけに、揺り戻しの動きなどにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドルは107円台後半を中心とした高原推移を続けているものの、108.09円というレンジの上限を抜けられないどころか、届きもしない。実際、今週は一度も108円台に達していない状況だ。
ただ、一旦は失敗に終わったドルの上値トライのリスクが再燃している感も否めず、前記したレンジ上限の攻防がまずは注視されている。仮に上抜ければ、移動平均の200日線が位置する108.30-35円がターゲットに。

一方、材料的に見た場合、1-3月期のGDP統計改定値や5月のカンザスシティ連銀製造業活動指数といった米経済指標のほか、週間ベースの新規失業保険申請件数も発表される見込みだ。どれも重要な指標であるだけに、たとえ一時的にせよ、数字如何では相場の波乱要因になりかねないかもしれない。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、107.40-108.30円。昨日高値である107.95円をめぐる攻防に注視。上抜ければ直近高値の108.09円や200日線が位置する108.30-35円などがターゲットとなる。
対するドル安・円高方向は、ごく短期では107.65円レベルが弱いサポートか。ただ、割り込んでも底堅そうで、明確な下値メドである前回安値107.34円を下回る可能性は低いと予想されている。

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