ドル円、上値の重い展開。俄かリスクオン相場の賞味期限切れに要注意
〇ドル円海外時間に反落107円台半ばへ
〇米中対立、さえない米指標によるリスク選好後退が要因
〇ユーロドルも1.10を前に伸び悩む
〇ドル円はテクニカル、ファンダメンタルズともに下落リスクが警戒される
〇本日の予想レンジ107.00ー108.00
海外時間の為替概況
26日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に反落。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A株高・原油高を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)が支援材料となり、アジア時間時間朝方には、一時107.93まで上値を伸ばしました。しかし、心理的節目108.00をバックに戻り売り圧力が強まると、B米中対立激化(中国政府による香港に対する国家安全法の導入決定が引き金)を嫌気したリスク回避の円買いムードや、C米5月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果86.6、予想88.0)および、D米4月シカゴ連銀全米活動指数(結果▲16.74、予想▲3.5)の冴えない結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、107.48近辺まで押し戻される展開となっております。
26日(火)のユーロドル相場は堅調な動き。@世界的な外出規制の緩和(新型コロナウイルスに伴う都市封鎖の緩和および本邦における緊急事態宣言解除)を受けた楽観ムードの広がりや、A株高・原油高を受けた投資家心理の改善期待(クロス円上昇→ドル円連れ高の動き)、BEU復興基金への期待感、C冴えない米経済指標を受けたドル売り圧力が支援材料となり、米国時間には一時1.0997まで上昇しました。しかし、心理的節目1.1000や、5/21高値1.1010をバックに伸び悩むと、D米中対立激化を嫌気したドル買い・円買いが重石となり、引けにかけて小反落。本稿執筆時点(日本時間5時10分現在)では、1.0987近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、5/19に約1ヵ月ぶり高値108.09まで上値を伸ばすも、200日移動平均線が走る108.30をバックに伸び悩むと、その後下落に転じました。108円台での滞空時間は極めて短く、テクニカル的にみて、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となっております(※昨日も108円台乗せに失敗する形で結局反落)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米間における金融政策余力の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(WHOや台湾に続き、香港も火種となっており、トランプ米大統領は対中強硬姿勢を一段と強める展開に)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスク)、E日本経済の先行き不透明感(インフレ鈍化→実質金利上昇→円高)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。世界的な外出規制の緩和や、本邦における緊急事態宣言解除は織り込み済みであり、ここから先は一巡後の反落リスクに警戒が必要と考えられます。米中対立激化を巡るヘッドライン(※中国人民銀行が日本時間10時15分に公表する対ドル基準値にも注目。中国当局が米国を牽制する目的で人民元安容認姿勢を打ち出せば、世界的な通貨安競争拡大を通じて円買い・ドル買いが促される可能性あり)や、米国経済指標の結果を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(違和感のあるリスクオン相場の賞味期限切れに要注意)。
本日の予想レンジ:107.00ー108.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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