ドル円見通し 107円台中後半での持ち合いだが高値更新へ進めず上値が重い印象(20/5/27)

ドル円は5月6日(7日未明)安値105.98円から5月19日夜高値108.07円まで上昇してきたが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。

ドル円見通し 107円台中後半での持ち合いだが高値更新へ進めず上値が重い印象(20/5/27)

ドル円見通し 107円台中後半での持ち合いだが高値更新へ進めず上値が重い印象

〇ドル円は昨日108円に乗せられず、リスク選好のドル全面高に一時107.38まで下落
〇日米欧での経済活動再開の動き、ワクチン開発関連報道等からリスクオン心理優勢
〇米指標も予想ほど悪化せず
〇米中対立懸念続くも株、為替ともにそれほど重大な事態とは受け止めていない様子
〇ドル円は107.70円以下での推移中は下向き、107.29円割れからは下落期入り
〇上方向は107.92越えで上昇再開から一段高へ進むと予想

【概況】

ドル円は5月6日(7日未明)安値105.98円から5月19日夜高値108.07円まで上昇してきたが、その後は新たな高値更新へ進めずにいる。5月7日未明安値の後は5月13日夜安値106.74円、5月15日夜安値106.85円、5月20日深夜安値107.43円と切り上げてきたのだが、5月22日夕安値で107.29円まで下げて20日深夜安値を若干割り込んだ。26日午前には日本の緊急事態宣言解除等を好感した株高により107.92円まで戻したものの108円には届かず、午後からはリスク選好によるユーロ、ポンド、豪ドル等の上昇によりドル全面安の様相となる中で107.38円まで反落し、27日早朝にかけては107.50円を挟んで小動きとなっている。5月22日安値を割り込まないうちは上昇一服による107円台中後半での持ち合いにとどまって一段高の機会をうかがう展開という見方もできるが、22日安値を割り込む場合は高値更新へ進めずに安値を切り下げる右肩下がりの展開に陥り、ドル全般の下落基調に伴って安値試しへ進みかねないところとなっているようだ。

【経済活動再開でリスクオン、ドル安感強まる】

5月26日の日本における緊急事態宣言の解除や欧米での経済活動再開の動き、ワクチン開発関連報道等から株高が進行してリスクオン心理が優勢となり、為替市場ではドル安反応が見られる。
日本での緊急事態宣言の解除、英国での小売業等の再開、スペインでの観光客入国規制解除への動き、全米50州で経済活動一部再開の動き等からアフターコロナの復興期待が強まり、祝日明けのNYダウは一時700ドルを超える上昇で、終盤に米中対立を意識してやや下げた前週末比529.95ドル高となった。米バイオ企業のノババックス社はワクチンの治験を開始し、米製薬大手メルクもワクチン開発計画を発表した。

米経済指標も予想程には悪化しなかった。米商務省が表した4月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済み年率換算で前月比0.6%増の62万3000戸で3月の61万9000戸を上回り、市場予想の48万戸を大幅に上回った。3月のS&Pケース・シラー住宅価格指数も前年比3.9%上昇となり市場予想の3.4%及び2月の3.5%を上回った。米民間有力調査会社コンファレンス・ボードが発表した5月の消費者景気信頼感指数は86.6で市場予想の87.5を若干下回ったものの前月の85.7からは上昇した。

【米中対立再燃への懸念続く】

米中対立再燃への懸念は続いている。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「トランプ米大統領は新型コロナ問題などを巡って中国にいら立っており、かつてほど貿易協議での合意を重要視していない」と述べた。ブルームバーグ社はトランプ政権が中国の当局者や企業などへの制裁措置を検討していると報じた。またマケナニー米大統領報道官は26日の記者会見で、中国政府による香港への統制強化に対してトランプ大統領は不快に思っていると述べ、大統領は「中国が香港を掌握すれば香港が金融の中心地にとどまるのは難しいとの認識」だと述べた。
11月の米大統領選挙も踏まえて米国が対中強硬姿勢を取りやすい政治環境となっている。株式市場や為替市場は今のところは重大な懸念とまでは受け止めていないようだが、香港情勢が再びクローズアップされる場合や米国による中国批判が強まる場合はドル円にとっては上値を抑える要因になりやすいと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月22日安値107.29円で5月20日深夜安値107.43円を若干割り込んだもののその後の持ち直しにより、5月26日朝時点では5月20日深夜と5月22日夕刻の両安値をダブルボトムとしてひとまず強気サイクル入りしているとした。またサイクルトップ形成期を5月26日の日中から28日夜にかけての間とし、22日夕安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとした。
5月26日午前に107.92円まで上昇してから反落しており、22日夕安値を割り込んでいないものの、26日午前高値を上抜き返す場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて26日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は27日夕から29日夕にかけての間とするが、26日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして29日午前から6月2日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では5月26日夜の下落で遅行スパンが悪化し、先行スパンから転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、両スパンそろって好転するところからは上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日夜の下落で30ポイントまで急落してその後は40ポイント前後での動きとなっている。相場が安値を切り下げる中で指数のボトムが切り上がる強気逆行はまだ見られないため、50ポイント以下での推移が続くうちはまだ一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる場合は強気逆行からの反騰注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開の可能性が高まるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月22日深夜安値107.29円を下値支持線、26日午前高値107.92円を上値抵抗線とする。
(2)107.70円以下での推移中は下向きとし、22日夕安値107.29円割れからは107.00円、次いで5月13日夜安値106.74円等を段階的に目指す下落期入りと考える。107円前後は押し目買いも入りやすいとみるが、107.29円を割り込んだ後も107.50円以下での推移が続くなら28日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)107.70円超えからはは26日午前高値試しとする。高値更新へ進めないうちは107.50円割れからの下げ再開注意とするが、26日午前高値超えからは上昇再開から一段高へ進むとみて108.25円から108.50円にかけてのゾーンを試す流れと考える。108.25円以上は反落注意とするが、26日午前高値を超えた後も107.70円以上での推移なら28日も高値試しを続けやすいとみる。


注:ポイント要約は編集部

【当面の主な予定】

5/27(水)
16:30 (欧) ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 -53、予想 -40)
25:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、バーチャル討論会
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

5/28(木)
18:00 (欧) 5月 経済信頼感 (4月 67.0、予想 70.7)
18:00 (欧) 5月 消費者信頼感・確定値 (速報 -18.8)
21:00 (独) 5月 消費者物価指数 前月比 (4月 0.4%、予想 -0.1%)
21:00 (独) 5月 消費者物価指数 前年同月比 (4月 0.9%、予想 0.6%)

21:30 (米) 1-3月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 -4.8%、予想 -4.8%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 -7.6%、予想 -7.4%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 1.8%、予想 1.8%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注 前月比 (3月 -14.4%、予想 -19.8%)
21:30 (米) 4月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (3月 -0.2%、予想 -15.0%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 243.8万件、予想 200.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 2507.3万人、予想 2575.0万人)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前月比 (3月 -20.8%)
23:00 (米) 4月 住宅販売保留指数 前年同月比 (3月 -14.5%)
24:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、バーチャル討論会に参加

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