ドル円、ショートカバーと米長期金利上昇を材料に4/23以来の高値圏へ(5/12朝)

11日(月)の外国為替市場でドル円は続伸。

ドル円、ショートカバーと米長期金利上昇を材料に4/23以来の高値圏へ(5/12朝)

ドル円、ショートカバーと米長期金利上昇を材料に4/23以来の高値圏へ

〇世界的外出規制緩和の動き、米中関係の緊張緩和、雇用統計通過の材料出尽くし感で株高、米長期金利上昇、ドル円は107円台後半に続伸
〇ユーロドルは軟調推移するも1.08を後ろ盾に反発
〇テクニカルには下値の堅さ印象づける形状に変化の兆し
〇ファンダメンタルズは引き続きドル売り円買い材料多し
〇買い一巡後の反落リスク警戒
〇本日の予想レンジ107-108

海外時間の為替概況

11日(月)の外国為替市場でドル円は続伸。@世界的な外出規制緩和を受けた楽観ムードの広がり(※新型コロナウイルスを巡る景気下押し圧力が最悪期を脱したとの期待感→投資家心理の改善)や、A米中対立懸念の緩和を受けたリスク回避ムードの後退(※5/8に中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部代表およびムニューシン米財務長官が電話協議を実施)、B米雇用統計を前に売り込んでいた向きによるショートカバー(材料出尽くし感)、C米長期金利上昇に伴うドル高圧力(3年債入札は良好な結果となったものの米国債市場は続落)、D堅調な株式市場を背景としたリスク選好ムードの高まりが支援材料となり、米国時間には、4/23以来の高値となる107.77まで急伸しました。しかし、107円台後半に控える一目均衡表基準線(107.69)や雲上限(107.88)をバックに戻り売り(利食い売り)が強まると、米国時間午後にかけて伸び悩む展開に。本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.64近辺で推移しております。

11日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。@米長期金利上昇に伴うドル高圧力や、Aドイツ連邦憲法裁判所による「ECBの量的緩和政策が一部違憲」との判断に端を発したユーロ圏における金融政策の先行き不透明感、Bユーロ圏経済の下振れ懸念が重石となり、米国時間朝方には一時1.0803まで下落しました。しかし、節目1.0800をバックに下げ渋ると、引けにかけて小反発し、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0812近辺で推移しております。

ドル円のテクニカル分析

ドル円は、5/6に記録した安値105.98(3/17以来となる安値)をボトムに反発に転じると、昨日は一時107.77まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や雲下限を上抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も消失するなど、テクニカル的に見て、「下値の堅さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(※ショートカバー主導)。但し、107円台後半から108円台前半にかけては一目均衡表基準線や雲上限、200日移動平均線が走っていることから、ここからの続伸は容易では無さそうです(※一巡後の反落リスクに要警戒)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立激化懸念(昨日は米国が中国人記者を対象にビザ発行ガイドラインを厳格化したことを受けて中国外務省が対抗措置をとると警告)、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの2次感染リスク(外出規制緩和に伴う2次感染リスクなど)、E原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスク)、F日本経済の先行き不透明感(緊急事態宣言延長に伴う実体経済への更なる下押し圧力)など、ドル売り・円買いを想起させる材料は引き続き沢山残っている状況です。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「一巡後の反落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和継続(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、日本経済のリセッション懸念(デフレ懸念台頭→円の実質金利低下→円高)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立激化懸念(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の軟調推移をメインシナリオとして予想いたします(※本日は米・4月消費者物価指数の他、セントルイス連銀ブラード総裁講演、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁討論会などに注目。金融政策の先行きについてのヒントが得られれば米長期金利主導でドル円相場が一段と動意づく可能性もあり警戒が集まります。尚、日本時間早朝2時には注目の米10年債入札が予定されております)。

本日の予想レンジ:107.00ー108.00

ドル円、ショートカバーと米長期金利上昇を材料に4/23以来の高値圏へ

ドル円日足

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