ドル円見通し 107円台後半へ大幅続伸、4月6日型の短期反騰か(20/5/12)

12日未明には107.77円を付けて4月23日高値108.02円以来の水準へ戻した。

ドル円見通し 107円台後半へ大幅続伸、4月6日型の短期反騰か(20/5/12)

ドル円見通し 107円台後半へ大幅続伸、4月6日型の短期反騰か

〇ドル円一時107円台後半へ
〇経済活動再開の、中、韓、独等でのクラスター再発からの有事のドル買いも
〇107.25-77を当初レンジとおく

【概況】

ドル円は5月11日午後に107円を突破したところから買いの連鎖に入って深夜には107.50円を超え、12日未明には107.77円を付けて4月23日高値108.02円以来の水準へ戻した。
4月28日への下落で4月1日と4月15日に同値でつけた106.91円のダブル底ラインを割り込んで4月29日には106.35円まで下げ、5月1日に107.49円までいったん戻したものの5月7日未明には105.98円まで一段安していた。この間は5月1日からは4日連続の日足陰線での下落だったが、5月8日夜に発表された米雇用統計が戦後最悪の失業者急増となったものの、想定内として株高となったことでリスクオン優勢の市場心理へ変わり、8日夜には7日夜の戻り高値を上抜いて先週を終えていた。
週明けはドル高感が強まる中で4月23日と5月1日の高値を結ぶ抵抗線を突破、107円超えから上昇に勢いがついたようだ。

5月8日は欧米主要経済指標の発表はなかったが、中国や韓国とドイツ等が感染爆発が落ち着いたとして経済活動の再開に動き始めた矢先に新たなクラスター感染が発生するなど、パンデミックの第二波への警戒感が増したこと、新興国での感染拡大を背景に新興国通貨売りが強まったことから手元流動性確保へのドル買いが目立った。このためリスク回避で円高へ反応しやすいところだったにもかかわらずドル円もドル高優勢の展開となったようだ。
ニューヨーク州のクオモ知事は州内の10地域中、北部の3地域が経済再開の基準を満たしたため製造や建設など一部業種が今週末から事業を再開できると発表した。これはアフターコロナの復興期待を助長するものだったが、経済活動再開国での感染者増加や新興国の感染拡大が深刻化する等先行き不透明感は変わらない。米雇用統計発表の8日に前日比455.43ドル高と上昇したNYダウは前日比109.33ドル安と下落する一方、ダウよりも楽観度の高いナスダック総合株価指数は71.02ポイント高と上昇して5月1日から6日続伸となっている。感染爆発第二波への警戒感と経済活動再開への期待感の温度差が出ているようだ。

【ドル高再燃】

5月11日は新興国通貨売りも目立った。ブラジルレアルは前日に対ドルでの史上最安値を更新してからいったん戻していたが再び反落、メキシコペソは約1%の下落、アルゼンチンペソは対ドルでの史上最安値を更新した。
英ポンドやユーロ及び円も軟調となったが、いったん落ち着いていたドル高感が再燃している印象も出始めている。
メジャー通貨の加重平均であるドル指数は3月9日への急落から3月20日へV字反騰し、3月27日へ反落した後は100ポイント台で戻り売りにつかまりつつ99ポイント割れを買い戻されるやや乱調気味の往来相場となっているが、5月1日からは上昇基調にある。米国がコロナ対策での国債増発へ動いていることや連銀の量的緩和により債券需給が緩む中で米長期債利回りも4月後半から上昇基調となっていることが背景だ。また新興国通貨安が進む中で投資マネーのドルへの還流も再び強まってきていることも影響していると思われる。

【ドル円は4月6日への短期反発並みか】

ドル円は2月20日高値112.21円から3月9日安値101.23円へ暴落的な下落となった後、3月24日高値111.71円まで9割強を戻すV字反騰となった。しかし2月20日高値超えに失敗してからは円高ドル安基調に入り、4月1日と4月15日に同値でつけた106.91円を割り込んだために4月6日の戻り高値からは二段目の下げとなってきた。

5月6日安値105.98円から5月12日未明高値107.77円までは数えで4日間、1.79円の戻り幅であり、5月11日の日足は前日比0.99円の円安ドル高で1円近い上昇だった。4月1日から4月6日への反発は2.46円幅で、数えで4日間の短期反発であったが、今回も今のところは4月6日への反発時に近い動きに見える。
昨年8月28日底以降、主要な安値は10月3日、11月1日、12月9日、今年1月8日、1月31日、3月9日、4月1日と月末月初に集中しており、今回もこの1か月周期での反発リズムに合わせた戻りという印象だ。4月6日への上昇幅2.46円を超えて安値からの上昇期も1週間を超えるなら短期的な反発レベルを超えて月末へ向けてさらに反騰が伸びる、あるいは本格的な円安ドル高感を伴う上昇となる可能性も出てくるが、現状程度でとどまるか、108円を超えても107円割れへ失速するようなら短期的な戻りを消化して下げ再開=円高ドル安へ方向転換する可能性があるのではないかと注意する。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月7日未明安値を底とし、7日夜高値を上抜いたことで強気サイクル入りした。7日未明からは丸3日間の上昇となっているので既に反落警戒期にあるため、107.50円割れからは弱気転換注意とし、107.25円割れからはいったん弱気サイクル入りする可能性があると考える。その場合はボトム形成期を12日の日中から14日早朝にかけての間とする下落を想定し、106円台中後半を試すとみる。
5月12日未明高値107.77円を超えてくる場合は12日夜から14日夜にかけての間へ高値形成期が伸びる展開とみて108円台前半へ向かう流れと考える。

60分足の一目均衡表では8日夜からの上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを大きく上抜けてきている。このため遅行スパン好転中は一段高余地ありとみるが、新たな高値更新へ進めないと遅行スパンは悪化へ向かうため、遅行スパン悪化からは反落開始とみて安値試し優先とし、先行スパン上下限を試しにかかると考える。

60分足の相対力指数は11日深夜への上昇で80ポイントに到達しているのでかなりの買われ過ぎと思われる。12日未明高値を上抜く場合も指数のピークが切り下がるなら弱気逆行としてその後の反落警戒とする。60ポイント割れからは下げ再開により40ポイント前後試しへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.25円を下値支持線、5月12日未明高値107.77円を上値抵抗線とする。
(2)107.50円を割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、107.77円超えからは4月23日高値108.02円試しとする。108円以上は反落警戒とみるが、107.50円以上での推移が続く場合は13日も高値試しを続けて108円台中盤へ向かう可能性が出てくると注意する。
(3)107.25円割れからは弱気サイクル入りとみて107.00円、次いで106.75円を段階的に試すとみる。107円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、107.25円以下での推移なら13日も安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

5/12(火)
10:30 (中) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 -1.5%、予想 -2.5%)
10:30 (中) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 4.3%、予想 3.7%)
10:30 (豪) 4月 NAB企業景況感指数 (3月 -21)
14:00 (日) 3月 景気先行指数CI・速報値 (2月 91.7、予想 84.4)
14:00 (日) 3月 景気一致指数CI・速報値 (2月 95.5、予想 90.7)

21:30 (米) 4月 消費者物価指数 前月比 (3月 -0.4%、予想 -0.8%)
21:30 (米) 4月 消費者物価指数 前年同月比 (3月 1.5%、予想 0.4%)
21:30 (米) 4月 消費者物価コア指数 前月比 (3月 -0.1%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 4月 消費者物価コア指数 前年同月比 (3月 2.1%、予想 1.7%)
22:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:00 (米) クォ―ルズFRB副議長、上院銀行委員会証言テキスト公表
27:00 (米) 4月 月次財政収支 (3月 -1191億ドル、予想 −7370億ドル)

5/13(水)
08:50 (日) 3月 経常収支・季調前 (2月 3兆1688億円、予想 1兆9992億円)
08:50 (日) 3月 経常収支・季調済 (2月 2兆3781億円、予想 1兆2189億円)
08:50 (日) 3月 貿易収支・国際収支ベース (2月 1兆3666億円、予想 1686億円)
09:30 (豪) 5月 ウエストパック消費者信頼感指数 (4月 75.6)
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー調査-現状判断DI (3月 14.2)
14:00 (日) 4月 景気ウオッチャー調査-先行判断DI (3月 18.8)

17:30 (英) 3月 月次GDP 前月比 (2月 -0.1%、予想 -7.9%)
17:30 (英) 1-3月期 GDP速報値 前期比 (前期 0.0%、予想 -2.6%)
17:30 (英) 1-3月期 GDP速報値 前年同期比 (前期 1.1%、予想 -2.2%)
17:30 (英) 3月 鉱工業生産指数 前月比 (2月 0.1%、予想 -5.8%)
17:30 (英) 3月 鉱工業生産指数 前年同月比 (2月 -2.8%、予想 -9.2%)
17:30 (英) 3月 貿易収支・物品 (2月 -114.87億ポンド、予想 -100.00億ポンド)
17:30 (英) 3月 貿易収支・全体 (2月 -27.93億ポンド、予想 -25.00億ポンド
18:00 (欧) 3月 鉱工業生産 前月比 (2月 -0.1%、予想 -12.0%)
18:00 (欧) 3月 鉱工業生産 前年同月比 (2月 -1.9%、予想 -11.2%)

21:30 (米) 4月 生産者物価指数 前月比 (3月 -0.2%、予想 -0.4%)
21:30 (米) 4月 生産者物価指数 前年同月比 (3月 0.7%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 4月 生産者物価コア指数 前月比 (2月 0.2%、予想 0.0%
21:30 (米) 4月 生産者物価コア指数 前年同月比 (2月 1.4%、予想 0.9%)

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