ドル円、BOJ後の材料出尽くし感と原油急落を受けて反落。追加緩和決定には反応薄
海外時間の為替概況
27日(月)の外国為替市場でドル円は下落。@日銀金融政策決定会合(※詳細後述)をこなした材料出尽くし感や、A原油先物価格の急落を受けたリスク回避ムード(投資家心理の悪化)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値107.00まで下げ幅を広げました。しかし、4/15に記録した直近安値106.93をバックに下げ渋ると、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.28近辺まで持ち直す動きとなっております。尚、この日発表された米・4月ダラス連銀製造業活動指数(結果▲73.7、予想▲75.0)は市場予想を上回りつつも、過去最低水準を更新しました。
※新型コロナウイルスの影響で短縮開催(通常は2日間の会合だが今回は1日のみの会合)となった日銀金融政策決定会合では、@国債の無制限買い入れ(従来までの80兆円目処を削除)、A社債・CP購入規模の増額(従来までの計7.4兆円→20兆円へ増額)、Bゼロ金利で貸し出す新型コロナ特別オペの担保要件緩和を含む追加緩和パッケージが示されました。上記のうち、@とBは市場予想通りとなりましたが、Aはやや市場予想を上回る踏み込んだ内容となりました(購入規模の増額にとどまらず、日銀保有割合や、発行体あたりの買い入れ残高の上限を引き上げ、更には買い入れ対象資産の残存期間の上限も3年から5年に延長したため)。また、黒田総裁はその後の記者会見で「マイナス金利の深堀も排除しない」と発言するなど、総じて緩和スタンスを強調する結果となりました。もっとも、市場では「追加緩和→円売り」の波及経路は全く見られず、むしろ「材料出尽くし→円高」の反応となっております。
昨日のユーロドル相場は上昇後に反落。@新型コロナウイルスに関する楽観的な見方の広がり(欧州圏における感染者数がピークを迎えつつあるとの見方)や、Aイタリア国債の格下げが回避されたことに伴う安堵感、BFRBによる大規模量的緩和を受けたドル売り圧力(ドル逼迫懸念の後退)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0861まで上昇しました。しかし、原油先物価格の下落を受けて、資産現金化の流れ(ドル買い)が強まると、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.0827近辺まで押し戻される展開となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、4/6に記録した高値109.39をトップに反落に転じると、4/15には一時106.93まで下落しました。この間、ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線、一目均衡表転換線及び基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(昨日は一時107.00まで下落)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和余地の乏しい日本と、追加緩和余地の大きい米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感、B米中対立再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウイルスの感染拡大長期化懸念(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F原油先物価格の不安定化(5/19の納会に向けて再び下落するリスクを警戒)、G本邦における先行き不透明感(緊急事態宣言発動後の実体経済への下押し圧力)など、ドル売り・円買いを連想させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重い」展開が想定されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の不冴な結果(ドル売り要因)、本邦経済のリセッション懸念(円高要因)、原油先物価格の不安定化(株安・円買い要因)、米中対立再燃リスク(株安・円買い要因)が重石になると見られ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(本日は日米主要決算が相次ぐことから、株式市場主導のボラティリティ拡大に要注意)。
本日の予想レンジ:106.70ー107.70
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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