ドル円、イニシャルクレームの大幅悪化を受けて一時下落も、原油急騰で急反発
海外時間の為替概況
2日(木)の外国為替市場でドル円は下落後に急反落。@新型コロナウィルスの感染拡大に端を発した投資家心理の急速な悪化(リスク回避ムードの円買い)や、A本邦における東京ロックダウン(都市封鎖)懸念の高まり(本邦における先行き不透明感の高まり)、B米・新規失業保険申請件数の大幅な悪化(結果664.8万件、予想350.0万件)が重石となり、米国時間朝方には、一時107.03まで下落しました。しかし、前日安値106.92をバックに押し目買い圧力が強まると、Cトランプ米大統領による「サウジアラビアとロシアが産油量で最大1500万バレル削減すると予想している」との発言(原油先物価格急騰→リスク回避ムード後退→円売り)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、一時108.10まで急伸しました。もっとも、その後は、Dサウジアラビア高官が上記Cについて「大げさ」と発言したこと(原油先物価格の急反落)などが重石となり、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、107.89近辺で推移しております。
昨日のユーロドル相場は終始軟調な展開。@欧州圏(特にスペインやフランス、イタリアなど)における新型コロナウィルスの感染拡大懸念(ユーロ売り)や、AECBによる追加緩和観測の高まり(欧州債利回り低下→ユーロ売り)、B欧州株の軟調推移、Cドイツやイタリアにおけるロックダウン(都市封鎖)の延長、Dアルトマイヤー独経済相による「ドイツ経済はリーマンショック時よりも大きく縮小する恐れがある」との発言が重石となり、米国時間午後にかけては、約1週間ぶり安値となる1.0821まで急落しました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間4時40分現在)では、1.0848近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、2/20に記録した約10ヶ月ぶり高値112.21をトップに反落に転じると、3/9には、一時101.19(約3年4ヶ月ぶり安値)まで急落しました。しかし、資産現金化需要に伴うドル高や、米大型経済対策を背景としたリスク選好ムードに下支えされると、3/24には一時111.72まで反発する場面も見られました(僅か1ヶ月で10円下がって・10円戻す壮大な往って来い相場)。もっとも、足元では再び107円台に反落するなど、テクニカル的に見て、「上値の重さ」を印象付けるチャート形状となりつつあります(この間、一目均衡表雲下限や転換線、200日移動平均線やボリンジャーミッドバンドの下方ブレイクを実現)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(追加緩和手段に乏しい日本と、無制限量的緩和を決定した米国)や、A米国ファンダメンタルズの先行き不透明感(新規失業保険申請件数の急増→米雇用統計悪化への思惑)、B米中貿易摩擦の再燃リスク、C朝鮮半島や中東を巡る地政学的リスク、D新型コロナウィルスの感染拡大長期化リスク(米長期金利低下→ドル売りと、米株安→リスク回避の円買いの2つの波及経路)、E英合意なき離脱の再燃リスク、F米大統領選挙の先行き不透明感、G原油価格の不安定化、H東京ロックダウン懸念の高まり(本邦における先行き不透明感)など、ドル売り・円買いを想起させる懸念材料は引き続き沢山残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。米FRBによる量的緩和拡大(ドル売り要因)や、米経済指標の大幅悪化(ドル売り要因)、本邦における先行き不透明感の高まり(円高要因)、リスク回避ムードの再燃(クロス円売り→ドル円連れ安)が重石になると見られ、新型コロナウィルスを巡るヘッドライン(日米欧に加えて新興国での感染拡大懸念)や、原油価格の動向、米国経済指標の結果(日本時間21:30に予定されている雇用統計や、23:00のISM非製造業景況指数)、東京ロックダウン(都市封鎖)を巡る続報、世界的な株価動向を睨みながらも、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(アジア時間は方向感に欠ける展開を想定)。
本日の予想レンジ:107.00ー109.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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