<< 東京市場の動き >>
週明け16日の東京市場は、荒れ模様。「FRBの緊急利下げ」などを受け、ドル/円も上下に激しく振れている。
週末に、スペインが非常事態宣言を発令したうえで、「全土で原則外出禁止」措置をとることを発表するなか、マクロン仏大統領が「16日にG7首脳が緊急テレビ会議を開催する」と発言している。新型コロナウイルスに対する警戒感が依然高い状況下、日本時間の本日早朝に「FRBが1%の緊急利下げ」を行うことが明らかにされた。
そうしたなかドル/円は、早朝時間外から急落でスタート。先週末のNYクローズが108円前後だったのに対し、いきなり107円台で取引開始となった。さらに、そののち日中安値である105.70円台まで続落。しかし、下げ渋ると急反発に転じ107円半ばまで値を上げたものの、上値は重く、終盤にかけては再度ドル売りに押されている。結局、16時時点では106.30-35円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型ウイルス」と「各国の経済・金融対策ならびに発言」について。
前者は、週末にWHO事務局長が「いまや欧州がパンデミックの中心地に」と指摘した、欧州を中心に「国境閉鎖」などが相次いだことが話題に。幾つか例を挙げると、「ドイツがフランスやスイスなどの国境封鎖」、「米国が実施している欧州26ヵ国からの入国制限の対象国に英国とアイルランドを追加」、「シンガポールが日英などからの入国者に外出禁止措置を発令」している。
対して後者は、欧州委員会が当初250億ドルと発表していたコロナ対策費を大幅に積み増みし、「370億ドルに増額させる」方針を示したほか、米国は前述したようにFRBが緊急利下げに踏み切っている。また、NZ中銀や日銀なども追加の金融緩和を実施。ちなみに日銀は、上場投資信託買い入れの年間目標額を、現行の6兆円から当面12兆円に拡大する方針を決めたという。
<< 欧米市場の見通し >>
先でも指摘したように、日米など各国からの新型コロナウイルス関連の経済・金融対策が相次ぎ発表されたものの、金融市場の動揺はまだ続いている。それは為替市場だけでなく、株価や仮想通貨(暗号資産)などほかの金融市場も変わらない。なお、市場参加者のあいだでは日本もさることながら米国、FRBの対応について、「もうそれほど残された手持ちのカードは多くない」などといった指摘も聞かれており、さらなる追加対策を懐疑的にみる向きも決して少なくない。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型コロナウイルス」、「米大統領選」など、注目要因は山積みとなっている。そうした中、もっとも注意を要するのは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。その中のひとつとして「米中によるマウントの取り合い」、発生源はどこかといった問題をめぐる対立の激化も気掛かりではある。ただ、やはりそれよりも引き続き感染拡大のニュースと、金融を中心とした政策対応に関する報道や発言などに注意を払いたい。
テクニカルに見た場合、先週末に108円半ばまでドルが上昇したことは、さすがに行き過ぎだと考えたが、本日東京で105.70-75円まで振り落とされたことにも驚いた。いずれにしても、米株などの動きをにらみつつ、このあとも荒っぽい変動が続きそうで、予断を許さない。まずは、東京時間のレンジである105.70-107.60円といったなかでの変動を予想するが、上抜ければ上方向に空けたギャップ上限の108円レベル、そして先週末高値の108円半ばがターゲットに。対して底割れするようだと、12日安値の103.10円が意識されそうだ。
本日は3月のNY連銀製造業景況指数や1月の対米証券投資という米経済指標が発表される予定となっている。なかなか重要な指標だが、現在の地合い的にみてよほどの数字とならない限り、今回影響は限られるだろう。それよりも、引き続き新型コロナウイルスに関する報道や、ほかの金融市場の動きに為替市場は左右される展開が見込まれている。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、105.40-107.60円。ドル高・円安方向は、本日東京高値の107円半ばの攻防にまずは注視。上抜ければ、早朝に空けたギャップ上限である108円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、東京安値である105.70-75円が最初のサポート。割り込むと105円台割れの可能性も否定出来なくなりそうだ。
ドル円15分足
オーダー/ポジション状況
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