FRBが再び緊急利下げ、市場の動揺収まるか(週報3月第3週)

株価の乱高下が依然として続いている。

FRBが再び緊急利下げ、市場の動揺収まるか(週報3月第3週)

FRBが再び緊急利下げ、市場の動揺収まるか

先週のドル/円は、終わってみればドル高・円安。しかし、ザラ場ベースでは一時101.19円まで下落するなど、週間を通し7円以上もの値動きが観測された大荒れの相場付きだった。

前週末も、引き続き新型コロナウイルスに関する話題が席巻。たとえば、米国においてカリフォルニア州に続き今度は「NY州が非常事態宣言」を発令、被害拡大の様相がさらに鮮明となった。また、7日に発表された中国の貿易収支において、輸出が実に17%もの大幅減。これは2016年以来の悪化とされている。

そうしたなか、週明けのドル/円は104.20円レベルと、前週末のNYクローズより1円程度円高レベルで取引開始。しかし、ドル売り・円買いの動きはその後も続き、ストップロスを断続的に巻き込みつつ、週間安値の101.19円まで値を下げている。ただ、安値を示現後は株価などの動きをにらみつつ、今度は荒っぽい戻しをたどると一気に106円近くまで吹き上げた。
週初に空けたギャップを埋めてきたのちは、中だるみとなるも、週末にかけてドルは再び上伸すると108円半ばに。結局、小緩んだ108円前後で取引を終え越週している。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「新型コロナの感染」と「各国経済・金融対策」について。
前者は、収束しつつある中国本土以外、とくに欧米諸国の話が数多く話題に。そのなかでは、「バチカンで初の感染者発生」や「ドイツで初めての死者を確認」、「イタリアでの感染者が2万人突破(14日現在)、世界2位に」などのほか、前述した「NY州が非常事態宣言」発令に続き、13日には「米国が国家非常事態宣言」を行っている。なお、そうしたなかWHOは11日になり、ようやく「新型ウイルスはパンデミックとなった」ことを宣言していた。
また、別途「フランス文化相が感染」、「ハリウッド俳優のトム・ハンクス氏も感染」、「カナダのトルドー首相夫人が感染、首相も自主隔離」、「トランプ米大統領が感染者と接触したことを確認」など世界各国の要人への広がりも話題を集めていたようだ。

対して後者は、各国が新型ウイルスに対する経済支援や金融対策として、様々な方策を掲げ、そちらも思惑を呼ぶ。ただ、米国については10日に副大統領が発表した経済対策が失望を誘ったことに続き、翌日のトランプ氏自身によるスピーチも、金融市場復権にはつながらない内容だった。一方、日本でも「安倍首相と黒田日銀総裁が会談実施」、「財務省と日銀、金融庁による3者会合開催」、「日米首脳が電話会談を実施」−−などといった動きが幾つか観測されている。

<< 今週の見通し >>

株価の乱高下が依然として続いている。実際、先週12日にNYダウは「史上最大の下げ幅」を記録した反面、その翌日には「史上最大の上げ幅」となった。また、先週末には仮想通貨(暗号資産)相場も大荒れで、とくにビットコインの急落したのち急騰という非常に激しいジェットコースター相場をたどっている。いずれにしても、米株の動きを中心に荒っぽい変動の続く金融市場がいつ収まるのか、その見極めが今週最大の眼目となりそうだ。ただし、為替市場と株式市場の相関性は以前から変化を遂げており、ここ最近は「リスク回避=ドル買い」という色合い。米株を中心とした金融市場が混乱するなか、ドルは底堅く推移する可能性も。

材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型ウイルス」、「米大統領選」など注意すべき要因は目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するものは依然として「新型コロナウイルス」絡みの話題。なかでも注視されているのは、感染拡大が一服した中国に対し、いまだ混乱の続く欧米諸国の情勢だろう。ちなみに、米国については先で指摘した「感染者と接触したことが確認」されたトランプ氏だったが、その後の検査で陰性反応に。とは言え、まだまだ各国とも予断は許さない状況が続きそうだ。

テクニカルに見た場合、先週初に一時101.19円まで下落したものの、その後の戻りは激しく、足もとは下値不安が後退している感を否めない。ただ、上値についても当初は103-106円程度の保ち合いを予想していたのだが、先週末にその上限を大きく超えている。通常であれば、ドルの続伸を見込むところなのだが、ここから先はあまり強気になれない。
なお、週明けとなった16日は早朝からドル売り・円買いが優勢で、一時105円台も。やはり一本調子のドル高・円安は見込みにくい。

一方、材料的に見た場合、3月のNY連銀製造業景況指数や同フィラデルフィア連銀景況指数といった米経済指標が発表されるほか、週初16日に2月の小売売上高など中国の注目の経済指標発表が相次ぐ。後者にも注意を払いたい。
そうしたなか、今週最大の注目要因とみられていたFOMCが実質的に前倒し(17-18日にFOMCを開催せず)で実施され、1%の緊急利下げが発表されている。ただ、これだけで市場が好感し落ち着くのか、未知数。

そんな今週のドル/円予想レンジは、104.00-108.50円。ドル高・円安については、本日早朝に空けた107円台のギャップをめぐる攻防にまずは注視。埋めてくると、先週末に示現した戻り高値の108円半ばがターゲットとなりそうだ。
対するドル安・円高方向だが、本日早朝に示現したドル安値105.75-80円が最初のサポートに。ただ、割り込むと大きなサポートはしばらくなく、104円半ばを目指す展開も。(了)

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