<< 東京市場の動き >>
13日の東京市場は、ドル安・円高。前日NYでみせた110円台を回復したようなドル高の流れが一転、終日を通して冴えない値動きとなった。
ドル/円は110.05円レベルで寄り付いたのち、しばらくは小じっかり。110.05-15円といったレンジ取引をたどるも、底割れすると、そのまま日中のドル安値圏である109.80円レベルへ一気に下落。その後もドルの回復力は鈍く、実際に一度も110円台に乗せることがないまま、109.75-00円での一進一退に。16時時点では、日中安値圏である109.80-85円で推移、欧米時間を迎えていた。
なお、昨日ほどではないものの本日もNZドルがやや荒れ模様。対円では日中高値から一時50ポイント程度値を下げている。同国中銀の総裁補が新型肺炎次第で金融緩和バイアスに転じる可能性を示唆、それが嫌気されていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「新型肺炎」について。
中国湖北省政府は、「これまで含めていなかった臨床診断に基づく患者数を加えた」という基準変更をしたとはいえ、公表した感染者数が前日よりも1万人以上多い数字となり、金融市場にとってネガティブサプライズとなった。感染被害の縮小を取り沙汰するメディアも観測され始めた状況下、冷や水を浴びせられた格好で、実際に中国本土だけで感染者は6万人近くに到達したとされている。また、死者数も前日より242人増え、1310人に達したという。
そうしたなか、各国経済に与える影響などに関する報道や発言も相次ぐ。たとえば、日経新聞は大和総研による予測をもとに「流行長期化なら2020年の日本経済はマイナス成長」と報じていたほか、ECBのレーン・チーフエコノミストが「短期的には新型ウイルスで極めて深刻な打撃を被る」、中国国営テレビは「共産党が感染拡大を阻止し、経済的な影響に対抗するための措置を実施すると発表」、米財務長官「中国との第1段階合意の履行が幾分減速した」−−などが観測されていた。
<< 欧米市場の見通し >>
新型肺炎については、WHOが激甘な見通しを示し、世界的な顰蹙をかっているだけでなく、中国政府自身による公式感染者数の発表が過少申告されているとの「疑惑」も以前から取り沙汰されていた。そうしたなか、本日「基準変更した」という話ではあるものの、感染者が前日から1万5000人近く増加したということは、先の疑惑を間接的に証明したことになったともいえる。ともかく、市場の楽観ムードが一気に萎んだ感は否めず、ドル/円においてはドルの上値を抑制する可能性もありそうだ。
材料的に見た場合、「米貿易問題」や「北朝鮮情勢」、「英国情勢」、「イラン情勢」、「新型肺炎」、「米大統領選」など気掛かりな要因は引き続き目白押し。そうしたなか、もっとも注意を要するのは依然として「新型肺炎」絡みの話題。ちなみに、本日はEUで保健担当相による新型ウイルスについての緊急会合が開催されるもようだ。中国への渡航制限など厳しい措置がとられると、為替市場においてさらなるリスク回避の動き、円買いが強まることも否定出来ない。
テクニカルに見た場合、過去1週間程度推移していた109.50-110.00円のレンジ上限を昨日突破したものの、足もとはレンジ内に回帰している。まだ断定はできないが、結果として「ダマシ」になった感も否めない。動静には引き続き注目だ。
昨日高値110.14円を超えれば、年初来高値110.30円レベルや110円半ばなどが目指す展開が予想されるものの、逆に109円半ばのレンジ下限割れにも一応要注意。
本日は1月の消費者物価指数など幾つか米経済指標が発表される予定で、まずはそれらが注視されている。先週の流れからすれば、好数字ならドルの下支えに寄与する可能性も。
また別途、米財務省による30年債の入札実施や、米上院におけるFRB理事指名承認公聴会、カプラン・ダラス連銀総裁講演などの動きも気掛かりだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、109.30-110.20円。ドル高・円安方向は、昨日記録したドルの戻り高値110.14円が最初の抵抗。超えれば、年初来高値110.30円や110円半ばなどを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、ここ最近のレンジ下限である109円半ばの攻防にまずは注目。割り込むようだと、移動平均75日線が位置する109.15-20円がターゲットとなる。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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