ドル円見通し 上海株下げ止まり、ダウ反騰でリスク回避感緩んでの円安(20/2/5)

春節明けの上海総合株価指数が8%を超える大幅下落で開始したものの、その後は下げ渋ったことで突っ込み警戒となり108円台後半へ戻していた。

ドル円見通し 上海株下げ止まり、ダウ反騰でリスク回避感緩んでの円安(20/2/5)

【概況】

ドル円はNYダウが1月31日に前日比603.41ドル安と大幅下落したことで一段安となり、2月1日早朝には108.30円の安値をつけたが、2月3日は急落し過ぎの反動でダウが買い戻された。春節明けの上海総合株価指数が8%を超える大幅下落で開始したものの、その後は下げ渋ったことで突っ込み警戒となり108円台後半へ戻していた。

2月4日も感染拡大報道は続いたが、上海総合株価指数は寄付で前日比2%を超える続落で開始したものの終値では前日比1.34%高まで切り返した。中国人民銀行が1兆2000億元(約19兆円)規模の資金供給を実施して企業支援に乗り出したことで暴落後の反騰狙いの買いも入ったようだ。それでも春節明けの大幅下落が解消されたわけではないが、NYダウも2月3日の前日比43.78ドル高に続いて4日は前日比493.4ドル高と続伸し、1月31日の前日比603.41ドル安の大幅下落分をほぼ解消した。またナスダック総合株価指数は史上最高値を更新した。
米国株反騰によりドル円もリスク回避感が緩んで巻き返しの上昇が勢い付いて1月31日高値109.12円を超え、さらに1月29日高値109.26円も上抜いた。

【感染拡大への警戒は継続】

新型コロナウイルスによる感染拡大と死者の増加は続いており、2月5日8時時点では死者は491人に増加(前日比66人増)、感染者は2万4363人、感染疑いも2万3260人に増加している。フィリピンに続いて香港でも中国本土以外での死者が出ている。
世界保健機関(WHO)は感染の大部分は中国の武漢を含む湖北省で発生しており、4日時点では感染症の世界的な流行を示す「パンデミック」の状態ではないとの認識を示した。中国のSNS等で発せられる現地情報や人民日報の報道等を見ると、先週までのややパニック的な混乱からは落ち着期を取り戻し、感染者の治癒が892人へ増加する等、パニックの連鎖は一服している印象がある。しかし、中国当局による情報規制を踏まえると実際の死者数や感染者数が公式発表を大幅に上回る可能性があること、中国企業及び外資の中国工場等での再稼働は感染対策により厳しい状況にあり、石油関連施設の稼働率大幅低下による需要減少懸念でNY原油は50ドルを割り込む下落が続いている。

NYダウは1月27日に453.93ドル安の大幅下落となった後は3日間の戻しを入れていたが1月31日の603.41ドル安で年初来安値を更新した。2月3日と4日の反騰で500ドル以上を戻して31日の急落分をほぼ解消しているが、今後の感染拡大や経済活動停滞及び成長率鈍化等への悲観報道が強まるようだと、再び安値試しへ向かいかけない状況と思われる。
NYダウの1月17日からの下落は今のところ昨年9月から10月3日への下落時並に留まっており、29000ドルを超えてくれば上昇再開感から史上最高値更新へ走る可能性もあるだろう。しかし1月31日安値を更新してくると下落規模は昨年7月からの下落時や昨年4月からの下落時、あるいは1昨年10月から12月への暴落時並に発展しかねない危うさも抱えていると思う。
ドル円は株高で米10年債利回りが上昇すれば円安ドル高へ進みやすいが、株高に比べて米10年債利回りの反発は鈍い。米10年債利回りは2月4日に0.07%上昇の1.60%となったが、年初の1.90%台から1月31日に1.50%まで低下してからの小反発に止まっている。このため、2月3日からのドル円上昇は日米金利差面ではやや過剰反応ともいえる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月27日朝安値から5日目となる2月1日早朝安値を直近のサイクルボトムとして戻しに入った。今回のトップ形成期は1月29日高値を基準として2月3日から5日にかけての間と想定したが、既に2月5日に入っているので現状は反落警戒期にあると思われる。このため109.15円以上での推移ならサイクルトップ形成の延長入りによる上昇の可能性もあるが、109.15円割れからは弱気サイクル入りと仮定して2月6日朝から10日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月3日夜の反発で遅行スパンが好転し、4日の続伸で先行スパンを突破した。その後も両スパン揃っての好転を維持しているが、新たな高値更新へ進めずにジリ安に入ると遅行スパンは5日夜から悪化しやすくなる。このため、遅行スパン好転中は更に一段高する余地ありとするが、遅行スパン悪化からは弱気サイクル入りとみて安値試し優先とする。その際は先行スパンが下値支持帯となりやすいと思うが、先行スパンから転落する様な下落が発生する場合は円高が厳しくなると注意する。

60分足の相対力指数は2月5日未明に80ポイントに到達しておりかなりの買われ過ぎを示唆する。60ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、2月5日未明高値を上抜いたところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生しやすいと注意し、60ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.30円、次いで109.15円を下値支持線、2月5日未明高値109.54円を上値抵抗線とする。
(2)109.30円以上での推移か一時的に割り込んでも回復する内は上昇余地ありとし、109.54円超えの場合は109.75円、さらに110円手前を目指す可能性があると考える。ただし109.75円以上は反落警戒圏とみる。
(3)109.15円割れからは反騰一巡による下落期入りとみて109.00円から108.75円にかけてのゾーンを試すとみる。株式市場が大きく崩れなければ109円割れは買い戻されやすいとみるが、株安再燃と同調して下げる場合は2月6日にかけてさらに安値を試して行きやすいと考える。2月1日から5日未明まで上昇に対する半値押しが108.92円、3分の2押しが108.71円である。

【当面の主な予定】

2/5(水)
10:45 (中) 1月財新サービス業PMI (12月 52.5、予想 52.0)
17:10 (欧) デギンドスECB副総裁、講演(フランクフルト)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 54.2、予想 54.2)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.2、予想 52.2)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.9、予想 52.9)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.0%、予想 -0.9%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 2.2%、予想 2.4%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門就業者増加数 前月比 (12月 20.2万人、予想 15.6万人)
22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -431億ドル、予想 -482億ドル)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (12月 53.2、予想 53.2)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 55.0、予想 55.0)

2/6(木)
休場 ニュージーランド
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 58.00億豪ドル、予想 56.00億豪ドル)
09:30 (豪) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.9%、予想 -0.2%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 -1.3%、予想 0.7%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 -6.5%、予想 -6.6%)
17:20 (欧) ラガルドECB総裁、講演
22:30 (米) 10-12月期非農業部門労働生産性速報 前期比 (前期 -0.2%、予想 1.5%)
22:30 (米) 10-12月期単位労働コスト速報 前期比年率 (前期 2.5%、予想 1.0%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.6万件、予想 21.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 170.3万人)
23:15 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

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