海外時間の為替概況
21日(火)の海外市場でドル円は上昇後に急反落。トランプ米大統領がダボス会議(世界経済フォーラム)で「米国経済の成長」を自賛しつつ「対米投資の拡大」を求めたことで、米国時間朝方には一時110.12まで上昇しました。しかし、110.10ー110.20ゾーンのレジスタンスに続伸を阻まれると、米国で初めてとなる新型コロナウィルスの感染例発表が重石となり、米株安・米長期金利低下を通じて、ドル円は約1週間ぶり安値となる109.76まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では109.83近辺で推移しております。
ユーロドル相場も上昇後に反落。欧州時間に発表されたドイツ・1月ZEW景況感調査(結果26.7、予想15.0)が市場予想を大幅に上回ったことで、一時1.1119まで上昇するも、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、トランプ米大統領がEUと通商合意出来なければEUから輸入する自動車への関税措置を検討すると発言したことや、米国で初めてとなる新型コロナウィルスの感染例発表を受けてユーロ円下落→ユーロドル連れ安の流れが加速したこと等が重石となり、引けにかけては、1.1090付近へ押し戻される展開となりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、1/8に記録した安値107.64をボトムに反発に転じると、先週末(1/17)にかけて、高値110.29まで上昇しました。この間、主要レジスタンスポイントである200日移動平均線や、一目均衡表転換線、一目均衡表基準線、一目均衡表雲上限、ボリンジャーミッドバンド、昨年11月以降幾度となく続伸を阻んできた109.70近辺の抵抗帯を突破した他、強い買いシグナルを表す三役好転も点灯するなど、テクニカル的に見て、「地合いの強さ」を印象付けるチャート形状となりました。しかし、昨日は110円台の大台を維持できず109円台後半へ押し戻されており、ここを踏ん張れるか否かに注目が集まります(上述の109.70近辺がロールリバーサルで今回はサポートとして機能しておりますが、同水準を割り込んだ場合、ロング勢によるロスカット主導で一段安となるリスクがあります)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果、C米中貿易摩擦の再燃リスク(第1段階合意署名は実現するも、第2段階合意は後ずれする公算大)、D英国を巡る不確実性、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化、G新型コロナウィルスの感染拡大リスクなど、ドル売り・円買いを想起させる材料はたくさん残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。本日発表される米経済指標(12月住宅販売件数など)が市場予想を下回ったり、新型コロナウィルスの感染拡大が報じられれば、米長期金利低下→ドル売りの経路と、米株安→リスク回避の円買いの双方の経路で、ドル円が一段と押し下げられるシナリオが想定されます(109.70割れに控えるロング勢のストップを付けにいく展開)。米中及び中東を巡るヘッドラインや、米国経済指標、新型コロナウィルスに絡む続報(世界保健機関は本日緊急会議を開催予定)を睨みながらも、ドル円の続落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:109.40ー110.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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