ドル円、良好な米経済指標を受けて反発。但し、直近高値には一歩届かず
海外時間の為替概況
16日(木)の海外市場でドル円は高値圏で一進一退(1日の値幅は僅か29pips)。@米・12月小売売上高・除く自動車(結果0.7%、予想0.5%)や、A米・1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数(結果17.0、予想3.8)が市場予想を上回ったことや、B米上院が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を承認したこと、C上記@からBを受けてリスク選好の米株高・米長期金利上昇の流れが強まったこと等がドル高・円安を促し、米国時間午後にかけては、一時110.18まで上値を伸ばしました。しかし、14日に記録した直近高値110.22を前に伸び悩むと、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、110.13近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は上昇後に反落。欧州勢参入後に一時1.1172まで上昇するも、節目1.12丁度をバックに戻り売りが強まると、良好な米経済指標を受けたドル買いや、米長期金利の上昇が重石となり、米国時間にかけて、安値1.1128まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4時45分現在)では、1.1134近辺で推移しております。尚、この日発表されたドイツ・12月消費者物価指数(結果0.5%、予想0.5%)は市場予想に一致する結果となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、高値圏での「底堅い動き」が続いております。良好な米経済指標を背景に110円台に再び乗せてきており、目先は直近高値(1/14高値)110.21や、昨年5/21高値110.69を試す展開が視野に入ります。米中合意署名後の材料出尽くし(sell the fact)も今のところ見られておらず、テクニカル的に見れば、「地合いの強さ」を意識させるチャート形状となりつつあります。
しかし、ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(※ISM製造業景況指数、非農業部門雇用者数、消費者物価指数、生産者物価指数など米主要経済指標は軒並み冴えない結果)、C米中貿易摩擦の再燃リスク(※第1段階合意署名は成立したが、第2段階合意の「後ずれ」リスクに要警戒。事実、中国共産党機関紙・人民日報傘下の環境時報は「米中第2段階通商交渉はすぐに始まらない可能性がある」と報道)、D英国を巡る不確実性、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化など、ドル売り・円買いを想起させる材料は今尚多く残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的に「底堅さ」を見せつつも、ファンダメンタルズ的な「弱さ」が続伸を阻むシナリオが想定されます。本日発表される米中の主要経済指標(中国・第4四半期GDPや、中国・12月小売売上高、中国・12月鉱工業生産、米・12月住宅着工件数、米・1月ミシガン大消費者信頼感指数など)が冴えない結果となった場合には、再びドル円が109円台へ押し戻されるリスクもある為、高値掴みには注意が必要と考えられます。米中及び中東を巡るヘッドラインや、米中の主要経済指標の結果を睨みながらも、当方では引き続き、一巡後のドル円下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:109.70ー110.40
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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