ドル円、米中「第1段階」合意署名が実現するも上値は重い
海外時間の為替概況
15日(水)の海外市場でドル円は狭いレンジ内で膠着(1日の値幅が僅か21銭)。米国時間に発表された米・12月生産者物価指数(結果0.1%、予想0.2%)、同コア指数(結果0.1%、予想0.2%)が市場予想を下回ったことで、一時109.79まで下げ幅を広げるも、米中第1段階通商合意・署名が実現すると、高値110.00まで買い戻される展開となりました。もっとも、トランプ米大統領が、「すべての関税撤廃は第2段階合意成立後」との見方を示すと伸び悩み、一巡後は再び反落。米主要株価指数の上げ幅縮小や、米長期金利の低下も重石となる中、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、109.86近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は下落後に上昇。欧州勢参入後に一時1.1119まで下げ幅を広げるも、節目1.11丁度をバックに押し目買いが強まると、冴えない米経済指標を受けたドル売りや、米長期金利の低下が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1164まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.1149近辺で推移しております。尚、この日発表されたユーロ圏・11月鉱工業生産(結果▲1.5%、予想▲1.1%)は市場予想を下回る結果となりましたが、相場への影響は限られたものに留まりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、1/14に記録した約7ヶ月半ぶり高値110.21をトップに、その後「伸び悩む」展開となっております。@日足のボリンジャーバンド上限タッチ後に反落に転じたこと、A終値ベースで110円台クローズが実現できなかったこと等を踏まえると、110円台前半での「上値の重さ(戻り売りの強さ)」が意識されます。米中第1段階合意署名を受けた材料出尽くし感も警戒される中、やや下落リスクが高まりつつあると考えられます。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの冴えない結果(※ISM製造業景況指数、非農業部門雇用者数、消費者物価指数、生産者物価指数など米主要経済指標は軒並み冴えない結果)、C米中貿易摩擦の再燃リスク(※第1段階合意署名は成立したが、第2段階合意の「後ずれ」リスクに要警戒。事実昨日も中国共産党機関紙・人民日報傘下の環境時報が「米中第2段階通商交渉はすぐに始まらない可能性がある」と報道)、D英国を巡る不確実性、E朝鮮半島を巡る地政学的リスク、F中東情勢の緊迫化など、ドル売り・円買いを想起させる材料は今尚多く残っている状況です。
以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、「下落リスク」が警戒されます。110円upperのストップが一掃されたことで、ここからのドル買い・円売りには、新たな材料が必要となってきます(これまではショートポジションのロスカットがドル円を押し上げた格好)。以上を踏まえると、上値を積極的に追っていく展開は見込みづらく、米中合意署名成立後のSell the factに引き続き注意が必要でしょう。米中及び中東を巡るヘッドラインや、米経済指標(今週のメインイベントの一つ米・12月小売売上高など)の結果を睨みながらも、本日はドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:109.40ー110.20
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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