【概況】
12月12日未明のFOMCは市場予想通りに政策金利を現状維持とした。FOMCメンバーによる先行きの政策金利見通しでは、2020年の中央値は現状維持で、17人中13人が現状維持、4人が1回の利上げとした。2021年は予想中央値が利上げ1回で、17人中5人が現状維持、4人が1回の利上げ、5人が2回の利上げ3人が3回の利上げ予想だった。
声明文では、米景気は緩やかに拡大するとの判断を踏襲、現行の金融政策スタンスが景気拡大を支える上で適切とした。また海外情勢や弱いインフレ圧力を含めて今後の情報を注視し続けるとし、当面は様子見とする姿勢を強調した。
声明文はほぼ市場の予想通りで特にサプライズはなかったが、その後の会見でパウエル米連銀議長が「2%のインフレ目標達成は極めて困難だった」「インフレに関してはそれほど懸念する必要はない」等と述べたことで、当面は利上げを検討する状況ではなく低金利を続ける姿勢と市場は受け止めた。
FOMC声明発表及び議長会見後、為替市場ではドル全面安となりユーロドルは12月4日深夜高値を超えて11月29日以降の高値を更新、ドル円は反落して9日夕刻安値108.40円に迫った。株式市場は低金利が続くことを好感して上昇したが、積極的な利下げ再開の動きまでは見られなかったために前日比29.58ドル高と小幅な上昇にとどまった。米10年債利回りは前日比0.05%低下の1.79%となった。
12月11日夜に米労働省が発表した11月の米消費者物価指数は前月比0.3%上昇となり市場予想の0.2%上昇を上回った。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同0.2%上昇で予想と一致した。また前年同月比では全体が2.1%上昇となり市場予想の2.0%を上回り、コア指数は2.3%上昇で予想と一致した。FOMC前だったために市場の反応は限定的だった。
米中関連についての新たな動きは見られない。
【二重のダブル底型を維持しつつ底割れに余裕乏しい】
ドル円は米中通商協議の先行き不透明感と12月2日の米ISM製造業景況指数悪化をきっかけとして12月2日昼高値109.72円から急落となり12月4日には安値で108.41円を付けたが、その後は108円台中後半での持ち合いが続いてきた。
この間、戻り高値は12月5日夜108.99円、12月6日夜の米雇用統計発表直後の108.91円、11日午前の108.85円と切り下がってきている。安値は12月4日108.41円を9日夕108.40円でわずかに割り込んだがその後は新たな安値更新を回避し、12日未明のFOMCからの下落でも108.46円にとどまって底割れを回避している。
11月15日未明安値108.24円と11月21日午前安値108.46円でダブル底を形成し、12月2日高値まで上昇した。その後の反落でも、今のところは12月4日と9日のダブル底で踏みとどまっているため二重のダブル底という状況にある。しかしこの二重のダブル底からの反発が鈍いため底割れへの余裕が乏しい。
二重のダブル底を割り込めば底割れによる下落開始感も大きくなりかねない。また12月5日以降の戻り高値が切り下がっている状況を踏まえると、今回はダブル底というよりも「支持線フラットで高値切り下がりの三角持ち合い」という印象が強まっているため、持ち合い下放れへ進みやすくなっているとも思われる。二重のダブル底を割り込む下落発生の場合は8月26日からの上昇基調一巡による下落期入りとなりかねないところだ。
12月12日はECB理事会、英国総選挙、15日には米国の対中制裁関税第4弾発動予定日と重要イベントは続く。特に米中通商協議の第一段階の合意が実現するのか交渉決裂として関税拡大発動となるのか、協議継続による先送りとなるのか、トランプ大統領の腹一つで市場も大きく振り回される可能性がある。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値安値形成サイクルでは、12月5日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、11日朝時点では4日午後安値と9日夕安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成は10日夜から12日夜にかけての間と想定されるので既にサイクルトップを付けての反落注意期に入っているとし、9日夕安値割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
12月12日早朝に108.46円まで下げて底割れに余裕がなくなっているため、11日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定して12日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。ただし11日午前高値を上抜き返す場合はトリプルボトム形成からの反騰入りとしてし16日から18日にかけての間への上昇へ進む可能性ありと考える。
60分足の一目均衡表では12日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、11日午前高値を上抜き返す反騰発生からは両スパンそろって好転となるため上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は11日午前の上昇では70ポイントへ到達できずに12日早朝への下落で30ポイントまで急落した。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとし、12月9日安値を割り込む場合は二重のダブル底からの転落となるため20ポイント前後へさらに下降する可能性ありとみる。強気回復には50ポイント以上へ戻し、その後も50ポイント以上で推移する必要があると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月9日夕安値108.40円を下値支持線、11日午前高値108.85円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.70円以下での推移中は一段安警戒とし、108.40円割れからは108円前後試しを想定する。108円以下は反発注意とするが、ECB理事会や英国総選挙結果から円高が進む場合は107.50円前後まで下値目途を引き下げる。
(3)強気転換は108.85円超えからとするが、12月5日高値108.99円超えからは12月4日からの持ち合い上放れとして109.25円、さらに109.50円前後を目指す可能性も出てくると注意する。特にECB理事会後や英国総選挙後に円安が加速する場合は12月2日からの下落に対する揺れ返しの上昇となる可能性もあると思われる。
【当面の主な予定】
12/12(木)
休場 メキシコ(バンクホリデー)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前月比 (速報 -0.8%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 11月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 1.1%、予想 1.1%)
17:30 (ス) スイス国立銀行 3カ月物金利誘導目標中心値 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 0.1%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 10月 鉱工業生産 前年同月比 (9月 -1.7%、予想 -2.3%)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 14.00%、予想 12.50%)
21:45 (欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルドECB総裁、定例記者会見
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前月比 (10月 0.4%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価指数 前年同月比 (10月 1.1%、予想 1.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 生産者物価コア指数 前年同月比 (10月 1.6%、予想 1.6%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.3万件、予想 21.3万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 169.3万人、予想 167.8万人)
12/13(金)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業業況判断 (前期 5、予想 2)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業製造業先行き (前期 2、予想 4)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業業況判断 (前期 21、予想 16)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業非製造業先行き (前期 15、予想 15)
08:50 (日) 10-12月期 日銀短観・大企業全産業設備投資 前年度比 (前期 6.6%、予想 5.9%)
13:30 (日) 10月 設備稼働率 前月比 (9月 1.0%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -4.2%)
13:30 (日) 10月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -7.4%)
16:00 (ト) 10月 鉱工業生産 前月比 (9月 3.2%)
22:30 (米) 11月 輸入物価指数 前月比 (10月 -0.5%、予想 0.2%)
22:30 (米) 11月 輸出物価指数 前月比 (10月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 11月 小売売上高・除自動車 前月比 (10月 0.2%、予想 0.4%)
24:00 (米) 10月 企業在庫 前月比 (9月 0.0%、予想 0.2%)
25:00 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁[FOMC投票権有]、学生向けに講演
オーダー/ポジション状況
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