ドル円、FOMCは無風通過もパウエル議長発言で再び下落
海外時間の為替概況
11日(水)の外国為替市場でドル円は下落。アジア時間朝方に一時108.85まで上値を伸ばすも、200日移動平均線に続伸を阻まれると、米FOMC(連邦公開市場委員会)を前にした様子見ムードも重なり、その後は終始一貫して108.60ー70近辺での小動きが継続しました。
注目された米FOMCでは、@政策金利の据え置き(1.50%ー1.75%、7 月会合から3回続いた利下げサイクルが打ち止め)と、Aドットプロット(スタッフ予測)における「2020年の金利変更なし」「2021年及び2022年に1回ずつの利上げ」の示唆、B声明文の「不確実性が残る」との文言削除が明らかとなりました。当面の様子見姿勢が示されたことで、直後はドル買いが加速し、ドル円も一時108.75近辺まで上昇する場面もみられました。
しかし、米長期金利が伸び悩むと失速し、その後は、CパウエルFRB議長が記者会見で「利上げの必要性は1990年台より低い」「利上げには著しく持続性のあるインフレ加速が必要」とややハト派的な見解を示したことが重石となり、米国時間午後にかけては、安値108.47まで下げ幅を広げました(※但し、12/9に記録した安値108.42には到達できず)。引けにかけて小反発すも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時40分現在)では108.56近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場はFOMC後に急上昇。欧州時間序盤にかけて一時1.1070まで下落するも、FOMC後にドル売り圧力が強まると、直近高値(12/4)1.1117を突破し、ショートカバー主導で高値1.1145まで急伸しました(11/4以来、約1ヶ月ぶり高値)。もっとも、ECB理事会(12/12開催)を前に様子見ムードも根強く、引けにかけては再び反落。本稿執筆時点(日本時間5時40分現在)では1.1134近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は米FOMC後に下落するなど、109円台回復には至りませんでした。ボリンジャーミッドバンドや、200日移動平均線に続伸を阻まれたことで、テクニカル的にみて「上値の重さ」が意識されるチャート形状となりつつあります。目先は、108.24付近に位置する一目均衡表雲上限を試す動きとなりそうです。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米中合意の後ずれ観測、C世界的な貿易戦争勃発リスク、D英総選挙を巡る先行き不安など、ドル安・円高を想起させ得る材料が今尚たくさん残っています。以上を踏まえれば、リスクは依然「下向き」と判断できるでしょう。米中を巡るヘッドラインや、英総選挙の結果を睨みながらも、ドル安・円高をメインシナリオとして予想いたします。
尚、英総選挙の投票時間は現地時間午前7時(日本時間12日午後4時)から午後10時(日本時間13日午前7時)となっており、結果判明は更にその後となります。但し、出口調査等で事前に投票結果予測が出てくる可能性もあり、本日から明日にかけては、英総選挙を巡る思惑(ヘッドライン)に振り回される神経質な値動きが続きそうです。ボラティリティの急拡大に注意が必要です。
本日の予想レンジ:108.00ー109.00
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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