来週の為替相場見通し 『FOMCに英総選挙、対中関税第4弾など来週はイベント目白押し』(12/7朝)

ドル円は週初に記録した約6ヶ月ぶり高値109.73をトップにその後大きく値を崩す(安値108.43)展開となりました。

来週の為替相場見通し 『FOMCに英総選挙、対中関税第4弾など来週はイベント目白押し』(12/7朝)

FOMCに英総選挙、対中関税第4弾など来週はイベント目白押し

今週のレビュー(12/2−12/6)

<ドル円相場>
今週のドル円相場は、@米中合意期待の高まり(=グローバルなリスク選好ムード)を背景に、週明け早々に約半年ぶり高値109.73まで上昇しました。しかし、5/30高値109.94や心理的節目110.00を前に伸び悩むと、その後は、Aトランプ米大統領による「ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに直ちに関税を課す」とのツイート(=グローバルな貿易戦争勃発リスクの高まり)や、B同氏による「米中貿易合意に期限はない」「来年11月の大統領選後まで待った方が良いかもしれない」との発言(=米中合意後ずれリスクの台頭)、C米・11月ISM製造業景況指数(結果48.1、予想49.2)の冴えない結果、Dロス米商務長官による「進展がなければ12/15に対中関税を発動する」との言及が重石となり、週央にかけては、約2週間ぶり安値108.43まで急落しました。

もっとも、108.20ー30近辺に位置するテクニカル的な支持帯(11/21安値108.28、11/14安値108.25、一目均衡表雲上限108.22)にサポートされると、週後半にかけて幾分持ち直す展開に。週末にかけては、トランプ米大統領による「米中協議は順調」との発言(ポジティブ要因)や、ADP雇用統計やISM非製造業景況指数の冴えない結果(ネガティブ要因)、ペロシ下院議長による「トランプ米大統領の弾劾訴追状作成を下院司法委員会に指示した」との発言(ネガティブ要因)、米雇用統計の力強い結果(ポジティブ要因)、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長による「トランプ米大統領は合意文書への調印の用意が出来ていない」との発言(ネガティブ要因)など、ポジティブ材料とネガティブ材料が入り混じる中、上下しつつも方向感見出せず。結局108.58付近での越週となっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場は、週初1.1014で寄り付いた後、早々に安値1.1003まで下落しました。しかし、心理的節目1.1000をバックに押し目買いが強まると、@11/30に開催されたドイツ・SPD(社会民主党)党首選後の財政拡張期待の高まりや、A冴えない米経済指標(ISM製造業景況指数など)を受けたドル売り圧力、Bダブルボトム成立を受けたテクニカル的な「ユーロ買いシグナル」点灯、C上記Bを受けた市場参加者によるロスカット(ショートカバー)の発動が支援材料となり、週央にかけては、11/5以来、約1ヶ月ぶり高値1.1117まで上昇しました。もっとも、週末にかけては再び下落。D良好な米経済指標を受けたドル買いが重石となる中、結局1.1058付近まで押し戻されての越週となっております。

来週の見通し(12/9−12/13)

<ドル円相場>
ドル円は週初に記録した約6ヶ月ぶり高値109.73をトップにその後大きく値を崩す(安値108.43)展開となりました。この間、一目均衡表転換線や、200日移動平均線、一目均衡表基準線、ボリンジャーミッドバンドなど主要チャートポイントを下抜けするなど、テクニカル的にみて「続落リスク」が意識されるチャート形状となりつつあります。来週は11/21安値108.28や、11/14安値108.25、一目均衡表雲上限108.25、心理的節目108.00、11/1安値107.89を下方ブレイク出来るか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ると、@日米金融政策の方向性の違いや、Aトランプ米大統領の弾劾リスク、B米国ファンダメンタルズの不冴な結果、C米中合意の後ずれ観測、D世界的な貿易戦争勃発リスク、E英国を巡る先行き不安など、ドル安・円高に繋がり易い材料が今尚たくさん残っています。特に上記Cについては、楽観と悲観が二転三転するなど、最終合意に至るまでは予断を許さない神経質な地合いが続くと考えられます。事実、今週はトランプ米大統領が「米中貿易合意に期限はない」「来年11月の大統領選後まで待った方が良いかもしれない」と発言しました。12/15に控える対中第4弾報復関税を前に市場参加者の関心は「米中問題一色」となりそうです。

また、上記@については、12/10ー12/11に開催される、FOMC(連邦公開市場委員会)に注目が集まります。前回開催時(10/31)の声明文で、追加利下げを示唆する文言(will act as appropriate)が削除されたことから、今回の会合では「政策金利が据え置かれる」との見方が優勢です。但し、直近の冴えない米経済指標や米中リスクの再燃を踏まえて、パウエルFRB議長が記者会見でやや慎重な見解を述べる可能性もあり油断は禁物です(来年の追加利下げ観測再浮上→米長期金利低下→ドル売りの流れ)。

上記Aについては、ペロシ下院議長が、トランプ米大統領の弾劾訴追状作成を下院司法委員会に指示したことで、トランプ米大統領を巡る弾劾リスクが足元で再び高まりつつあります。トランプ米大統領が弾劾裁判を通じて実際に罷免に追い込まれるリスクは乏しいものの、ヘッドラインの都度、リスク回避的な円買いが齎されるシナリオには十分警戒が必要でしょう。

加えて、来週は上記Eの英国情勢にも注意が必要です。世論調査によると与党保守党有利の情勢が報じられておりますが、英国の世論調査はこれまでも何度も裏切られてきた経緯があることから、今回も結果が判明するまでは予断を許さない状況が続くと考えられます。英合意なき離脱リスクや政局不透明感が高まれば、英ポンド円の下落を通じてドル円を押し下げる可能性もありそうです。

以上の通り、ドル円は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも「上値の重い展開」が見込まれます。米中を巡るヘッドラインや、米経済指標の結果、米FOMC、トランプ米大統領の弾劾を巡る続報、英総選挙の結果を睨みながらも、来週はドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

ドル円の予想レンジ:107.50ー110.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は週央にかけて約1ヶ月ぶり高値1.1117を記録するも、週末にかけて1.1050台へ反落する上値の重い展開となりました。この間、一目均衡表基準線や同雲上限、90日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て「下落リスク」が意識されるチャート形状となりつつあります。目先は、一目均衡表転換線や同雲下限をトライする動きが広がりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ても、@欧米対立リスクの高まり(米中貿易摩擦が欧米貿易摩擦に波及するリスク)や、Aユーロ圏経済及び物価の先行き不安、Bイタリアの財政悪化問題、C英総選挙を巡る先行き不透明感、DECBによる追加緩和観測など、ユーロ売りに繋がり易い材料がたくさん残っています。

以上の通り、ユーロドル相場はテクニカル的にもファンダメンタルズ的にも「下落リスク」が警戒されます。来週はECB理事会(ラガルドECB総裁初の理事会)や、米FOMC(連邦公開市場委員会)、欧米貿易摩擦を巡る続報、英総選挙の結果を睨みながらも、ユーロドルは上値の重い展開が続くと予想いたします(但し、英総選挙で世論調査通り与党保守党が勝利した場合には、英合意なき離脱リスクの後退→英ポンド急伸を通じて、一時的にユーロが連れ高となる可能性がある点には留意が必要でしょう)。

ユーロドルの予想レンジ:1.0900−1.1150

FOMCに英総選挙、対中関税第4弾など来週はイベント目白押し

ドル円日足

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