ドル円見通し、ISMショックに続くトランプ発言ショックで大幅続落(19/12/4)

12月2日昼高値からの下げ幅は1.24円まで拡大し、11月15日未明安値108.24円と11月21日安値108.26円によるダブルボトムに迫った。

ドル円見通し、ISMショックに続くトランプ発言ショックで大幅続落(19/12/4)

【概況】

12月2日昼に109.72円をつけて8月26日以降の高値を更新したが、11月27日に成立した米国の「香港人権・民主主義法」への対抗措置が中国側から発表され、2日夜の米ISM製造業景況指数が予想を下回ったことやブラジルとアルゼンチンに対する鉄鋼アルミ関税発動により金融市場全般がリスク回避へ向かい株安ドル安によりドル円は12月3日未明に108.91円まで急落した。

12月3日の日中は109円割れに対する突っ込み警戒感から買い戻されたものの109.20円が抵抗となり、3日夜はトランプ大統領の米中協議の長期化を示唆する発言から一段安となり、12月4日未明安値では108.48円をつけた。12月2日昼高値からの下げ幅は1.24円まで拡大し、11月15日未明安値108.24円と11月21日安値108.26円によるダブルボトムに迫った。
NYダウは前日比280.23ドル安で3日続落となった。一時は450ドル安まで売られたところから戻して終了しているので日足は下ヒゲをつけているが戻りは鈍い。株安により米長期債が買われ、米10年債利回りは前日比0.10%低下の1.72%となった。

【米中協議は越年、第4弾の対中制裁関税も発動か】

トランプ大統領はNATO首脳会議のため英国を訪問中だが、現地の記者による中国との通商協議における第1段階の合意についての問いに「期限はない」と述べた。また「中国との合意を大統領選挙後まで待つのは良い考えだと思うが、中国はいま合意することを望んでいる。合意が適切なものとなるかどうか見てみよう」とも述べた。ロス米商務長官もCNBCのインタビューに対して「12月15日の期限が来ても何も変わらなければ中国製品に追加関税を課す計画を実行する」とし、「双方の協議は続いているが、特に重要な会合は予定されていない」と述べた。これらの発言により米中通商協議の段階的合意としての第1段階合意が12月15日の米国による対中国制裁関税第4弾発動期限に間に合わず、越年する可能性が高まったと市場は受け止めた。
米中協議も大詰めの段階とされ、11月7日には中国商務省が「双方が段階的に追加関税を撤廃することで合意した」としたことから年内の合意と米国による関税拡大発動の見送りが期待されたこともあったが、その時も翌日にトランプ大統領が「合意していない」と水を差している。

11月27日には米上下院が可決した「香港人権・民主主義法」にトランプ大統領が署名して成立となり中国側が猛反発している。12月2日に米政権はブラジルとアルゼンチンへの鉄鋼・アルミ関税発動を宣言したが、これも米国第一主義による通商協議の強硬姿勢を示すものとして米中通商協議における米国側の強硬姿勢を暗示させるものと市場は受け止めている。
12月2日に中国人民日報系の環球時報が12月2日に消息筋の話として、「米国が中国による米農産品購入拡大の数値目標や産業補助金など中国の構造改革問題の棚上げを決断すれば合意はすぐにも可能だ」としつつ、「米国が12月15日に予定される対中制裁関税第4弾が発動されれば通商協議は頓挫する」と報じているが、これが中国側の基本姿勢とすれば、12月15日の関税拡大と中国側の対抗、米中対立が深刻化したまま越年する可能性も高まってきた印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月29日夜へ高値を切り上げてから一旦失速し、12月2日午前に高値を更新した後で急落したため、12月3日朝時点では11月30日未明安値を直近のサイクルボトムとし、底割れから弱気サイクル入りしている可能性があるとし、12月3日夜以降へ一段安する場合は12月5日未明から9日朝にかけての間への下落を想定するとした。12月3日夜に大幅続落し、その後も反騰しきれずにいるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には109円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では12月2日深夜の急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。3日夜の大幅続落により両スパン悪化が継続している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からはいったん戻りを試しにかかるとみて先行スパン下限を目指す可能性ありとみる。ただし先行スパン突破まで切り返せない場合は遅行スパンが好転した後に再び悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は28日早朝高値から12月2日午前高値への高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行を発生させてから急落した。12月3日未明安値から4日未明安値へ一段安となっているが、指数のボトムは切り下がっているのでまだ強気逆行が見られないため一段安への懸念も継続していると思われる。強気回復にはさらに相場が一段安したところで指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント以上へ上昇する必要があると思う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月4日未明安値108.48円を下値支持線、108.85円を上値抵抗線とする。
(2)108.85円以下での推移中は一段安警戒とし、4日未明安値割れからは108.00円前後試しを想定する。108円以下は反騰注意とするが108円割れから続落の場合は107.75円前後まで下値目処を引き下げる。また108.75円以下での推移が続く場合は5日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)108.85円超えからは反騰入り注意として109円試しとするが、その手前では戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な予定】

12/4(水)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前期比 (前期 0.5%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 7-9月期 GDP 前年同期比 (前期 1.4%、予想 1.7%)
10:45 (中) 11月 財新サービス業PMI (10月 51.1、予想 51.2)
17:50 (仏) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 52.9。予想 52.9)
17:55 (独) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.3、予想 51.3)
18:00 (欧) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.5、予想 51.5)
18:30 (英) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 48.6、予想 48.6)


22:15 (米) 11月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (10月 12.5万人、予想 14.0万人)
23:45 (米) 11月 サービス業PMI改定値 (速報 51.6、予想 51.6)
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
24:00 (米) 11月 ISM非製造業景況指数 (10月 54.7、予想 54.5)
24:00 (米) クオールズFRB副議長、下院金融サービス委員会で証言


12/5(木)
OPEC総会(ウィーン)
09:30 (豪) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.2%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 10月 貿易収支 (9月 71.80億豪ドル、予想 68.00億豪ドル)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 1.3%、予想 2.2%)
16:00 (独) 10月 製造業新規受注 前年同月比 (9月 -5.4%、予想 -2.2%)

19:00 (欧) 10月 小売売上高 前月比 (9月 0.1%)
19:00 (欧) 10月 小売売上高 前年同月比 (9月 3.1%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前期比 (速報 0.2%、予想 0.2%)
19:00 (欧) 7-9月期 GDP確定値 前年同期比 (速報 1.2%、予想 1.2%)
22:30 (米) 10月 貿易収支 (9月 -525億ドル、予想 -489億ドル)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 )
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 164.0万人、予想 )
24:00 (米) 10月 製造業新規受注 前月比 (9月 -0.6%、予想 0.1%)
24:00 (米) クオールズFRB副議長、上院銀行委員会公聴会で証言

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