トルコリラ円見通し 11月27日深夜安値を割り込み10月末からの持ち合い下限を試す(19/12/4)

12月3日夜もドル円の一段安によりトルコリラ円も3日深夜には18.83円まで大幅続落した。

トルコリラ円見通し 11月27日深夜安値を割り込み10月末からの持ち合い下限を試す(19/12/4)

【概況】

11月27日深夜安値18.87円から12月2日午後高値19.08円まで上昇してきたが、その間の上昇を支えていたのはドル/トルコリラにおけるリラ安一服とドル円におけるドル高円安によるものだった。しかし12月2日深夜の米ISM製造業景況指数の悪化からドル円が急落となりトルコリラ円も19円割れへ失速し、12月3日夜もドル円の一段安によりトルコリラ円も3日深夜には18.83円まで大幅続落した。12月3日夜のドル円急落はトランプ大統領による米中通商協議の決着が大統領再選の時期まで伸びても構わない旨の発言でリスク回避感が強まったことによるものだ。

【物価は落ち着く】

【物価は落ち着く】

12月3日夕刻にはトルコの消費者物価と生産者物価の発表があった。
11月の消費者物価は前年比(年率)でプラス10.56%となり10月の8.55%からは上昇したが、今年8月まで続いた15%超の高インフレ状態からはかなり落ち着いた。前月比プラスは0.38%で10月の2.00%から低下した。

生産者物価の11月は前年比4.26%で10月の1.70%から上昇したが、今年8月時点の13.45%、7月時点の21.66%からはかなり落ち着いた状況を維持している。前月はマイナス0.08%で10月の0.17%から低下している。

高インフレ状態が落ち着いていることはトルコ経済及びトルコリラが安定を取り戻していることを示すが、米中貿易戦争を中心とする保護主義の拡大が金融市場全般を再び萎縮させ始めるとトルコ経済及びトルコリラへの不安感が再燃しかねないと注意したい。また相場への影響材料としては為替市場全般が米中問題へ集中しているため、トルコリラ円における変動要因としては影響も限定的なものだった。

【持ち合い下放れ警戒期】

トルコリラ円は10月末以降、18.80円前後を支持線とし19円台に乗せても維持できずに失速する持ち合い相場を継続してきた。持ち合い中の高値は10月31日未明の19.08円、安値は11月15日未明の18.77円であるが、11月15日未明安値18.77円から11月27日深夜安値18.87円へと底上げし、11月21日深夜高値19.07円から12月2日午後高値19.08円と高値が切り上がってきていたために持ち合いを上放れに挑戦するところとなっていた。しかし10月31日高値を超えられずに反落となり、11月27日深夜安値を割り込んだために底上げパターンが崩れた。60分足レベルでは11月21日深夜と12月2日午後の両高値をダブルトップとした下落期入りという印象も出てきた。

12月2日午後高値からの下落規模は10月31日未明高値から11月1日夜安値への下げ幅並であり、11月15日未明安値を割り込まないか、わずかに割り込んでも早々に切り返すなら持ち合いの継続と言えるだろうが、持ち合いもすでに1か月を経過していること、概ね4か月周期で戻り高値をつけてきた高値形成サイクルにおいては7月31日高値から4か月を経過していることから、持ち合い下放れへ進みやすい時間帯に来ていると警戒される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月27日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11月28日夕刻から12月3日午後にかけての間への上昇を想定してきたが、12月2日深夜の急落で弱気転換目安とした12月2日朝安値を割り込んだため、12月3日午前時点では12月2日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期は12月2日夜から4日深夜にかけての間とし、19円台を回復できない内はまだ一段安しやすいとした。12月3日深夜へ大幅続落したためまだ一段安余地ありとするが、前回ボトムから4日を経過しているのでボトムをつけての反騰注意期とし、18.93円超えからはいったん強気サイクル入りとして12月5日午後から9日にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では12月2日深夜への急落で遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落した。12月3日夜の一段安により両スパン揃っての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中はまだ一段安余地ありとする。遅行スパン好転からは強気サイクル入りの可能性ありとして高値試し優先とするが先行スパンが抵抗になりやすいとみる。

60分足の相対力指数は12月3日深夜の下落時に30ポイント割れまで突っ込んでからやや戻しているが、3日未明安値からの一段安に対して指数のボトムが切り上がる強気逆行はみられないためまだ一段安余地が残るとみる。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がるなら強気逆行による上昇再開の可能性ありとみて50ポイント超えから高値試し優先とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12月3日深夜安値18.83円を下値支持線、18.93円を上値抵抗線とみる。
(2)18.93円を下回る内は12月3日深夜安値割れからもう一段安へ進むとみて11月15日未明安値18.77円試しを想定する。18.80円以下は反発注意だが、18.90円以下での推移なら5日の日中も安値試しが続きやすいとみる。
(3)18.90円超えを強気転換注意とし、18.93円超えからはいったん強気サイクル入りとみて18.95円から18.97円にかけてのゾーンを試すとみる。18.95円以上は反落注意圏でもあるが、18.93円を超えた後も18.90円以上での推移なら5日の日中も戻り高値を試す余地ありとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

12月11日
16:00 10月経常収支 (9月 24.8億ドル)

12月12日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 14.00%)

12月13日
16:00 10月鉱工業生産 前年同月比 (9月 3.4%)

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