【概況】
11月19日のドル円は午前に108.45円まで続落したところから夜には108.83円までいったん戻したものの、米中協議を巡るトランプ大統領のネガティブ発言から一段安となり、20日朝には108.30円台へ続落して15日未明安値108.24円に対する余裕が乏しくなっている。
11月18日夜高値から19日夜の戻り高値が切り下がり、その後の下落で19日午前安値を割り込んだために18日夜からは二段下げ型に入っている。11月15日未明安値108.24円を割り込まないか、わずかに割り込んでも切り返せば両安値をダブル底として持ち直す可能性もあるが、安値更新の場合は11月1日安値107.88円試しへ下値支持線が切り下がり、さらに米中関連でネガティブ報道が続く場合は底割れによる一段安も警戒されつつある。
11月19日夜の米住宅統計は良好だったがドル円の反応は限定的だった。10月の米住宅着工件数は年率換算で前月比3.8%増の131万4000戸となり市場予想の132万戸を若干下回ったものの9月の126.6万戸から増加した。住宅着工許可件数は146.1万戸となり市場予想の138.5万戸を上回り、9月の139.1万戸も上回って12年5か月振りの高水準となった。米連銀による今年三度の利下げ効果で住宅ローン金利が低下していることが住宅市場を下支えしているようだ。
米債券市場はややリスクオフ優勢で債券買いが進み、米10年債利回りは前日比0.03%低下の1.79%となった。しかし株式市場はまちまちで、NYダウは立ち合い中の史上最高値を更新したものの失速して前日比102.20ドル安と3日ぶりに反落で終了したが、ハイテク株中心のナスダック総合指数は20.72ポイント高で終値ベースでも3日連続の史上最高値更新となった。
米中問題での不透明感を抱えつつも株式市場は経済指標の持ち直しもあって好調さを維持しているが、債券市場及び為替市場と商品市場は株式市場よりもリスク回避感が強い印象だ。
【米中協議、大詰めの段階で米政権内はまとまらず】
米中協議進展期待と米経済指標の持ち直しにより11月8日未明高値109.48円へ上昇して8月26日以降の高値を更新したが、その後はトランプ大統領が米中合意を否定したことで流れが変わり、11月13日のWSJ紙や14日の英フィナンシャルタイムズ紙が米中協議が暗礁に乗り上げている旨を報じて11月15日未明には108.24円の安値を付けた。
11月15日朝にクドロー米国家経済会議(NEC)委員長が中国との貿易協議が非常に建設的に進んでいる述べたことから先週末は反発基調で終了し、週明けも買い戻しが続いて18日夜には109.07円を付けたが、米CNBCテレビが「米中貿易協議第1段階の合意への署名に中国は悲観的になっている」と報じたことで18日夜に急落となり、19日午前には108.45円まで下げた。
11月19日夜には108.83円まで戻す場面もあったが109円には届かず、トランプ米大統領が閣議の席で「中国は自分自身が気に入るディールを行う必要がある」「中国とディールを行えなければ単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べたと報じられたことで再び売られ20日未明には19日午前安値を割り込んだ。20日朝も108.30円台まで続落している。
米中通商協議は大詰めの段階にはあるのだろう。合意に至れば段階的に関税の引き下げないしは撤回もあり得るというところでの条件交渉中と思われるが、米政権内では関税撤回の時期や規模について意見が割れており、特にトランプ大統領は消極的だと報じられている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月15日未明安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしてたが、12日夕高値から4日目となる18日夜高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りとなった。ボトム形成期は20日未明から22日未明にかけての間と想定されるので既にボトムを付けての反騰注意期に入っているが、19日夜高値108.83円を超えないうちはもう一段安余地ありとみる。新たな強気サイクル入りは19日夜高値超えからとするが、その場合は直前安値をボトムとした新たな強気サイクル入りとして21日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、18日深夜の急落で遅行スパンが悪化し、その後も悪化状況が続いている。19日夜の反発では先行スパンを上抜けずに深夜の反落で先行スパンから転落している。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。
60分足の相対力指数は19日夜への上昇では60ポイント止まりで、20日朝には40ポイントを割り込んでいるためまだ一段安余地ありとみる。強気転換には60ポイントを超え、その後も50ポイント以上で推移するような展開が必要と思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月15日未明安値108.24円を下値支持線、108.75円を上値抵抗線とみておく。
(2)108.60円以下での推移中は一段安余地ありとし、15日未明安値割れからは11月1日安値107.88円試しへ向かうとみる。108円割れは買い戻されやすいとみるが、米中協議関連報道等で悲観売りとなる場合は11月1日安値割れから107円台中盤試し、さらに21日以降へ続落しやすくなると警戒する。
(3)108.60円超えからは反騰入りの可能性ありとするが、強気転換は108.75円超えからとし、109円を再び試しにかかるとみる。ただし、18日夜高値109.07円を超えられないと11月8日からの高値切り下がりパターンの継続としてその後の下落で8日以降の安値を更新してゆく可能性が残るとみる。
【当面の主な予定】
11/20(水)
休場 ブラジル(黒人意識の日、株式休場、債券・為替通常取引)
16:00 (独) 10月 生産者物価指数 前月比 (9月 0.1%、予想 0.0%)
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨10月29-30日開催分
11/21(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行、政策金利 (現行 6.50%、予想 6.50%)
13:30 (日) 9月 全産業活動指数 前月比 (8月 0.0%、予想 1.5%)
21:30 (欧) 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨
22:30 (米) 11月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (10月 5.6、予想 6.6)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.5万件、予想 21.9万件 )
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.3万人、予想 168.3万人
22:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
24:00 (米) 10月 景気先行指数 前月比 (9月 -0.1%、予想 -0.2%)
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感・速報値 (10月 -7.6、予想 -7.2)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (9月 538万件、予想 550万件)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数 前月比 (9月 -2.2%、予想 2.2%)
24:10 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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