ドル円、米中報道に振り回される展開。109円乗せも束の間、108円ミドルへ反落
海外時間の為替概況
18日(月)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@クドロー米国家経済会議(NEC)委員長による「米中合意は近い」との発言(11/15)や、A中国の新華社通信による「ムニューシン米財務長官、ライトハイザー米通商代表部代表、劉鶴中国副首相による米中閣僚級電話会談は建設的な結果となった」との報道(11/16)を背景に、週明けの為替市場では、グローバルにリスク選好ムードが広がりました。ドル円は欧州時間序盤にかけて高値109.07まで上昇するなど、市場参加者が注目する200日移動平均線109.00を再度上抜ける場面も見られました。
しかし、BCNBCより「中国政府が米国との通商合意を巡り悲観的なムードになっている」との報道を契機に急落に転じると(米中リスク再燃→リスク回避ムード)、Cトランプ米大統領がパウエルFRB議長と会談し、「マイナス金利やドルについて協議している」との報道や、D上記BCを受けて米長期金利が急低下したこと(米10年債利回りは、1.853%→1.796%)等が重石となり、米国時間午後にかけては、108.51まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間朝4時15分現在)では、108.60近辺で推移しております。
一方、ユーロドル相場は続伸。ユーロ圏の独自材料に乏しい中、1日を通して、英ポンドや米ドルの動きにつられる主体性を欠いた値動きとなりました。@英調査会社ICMの世論調査で12/12投開票の英総選挙でジョンソン首相率いる与党保守党の優勢が報じられたこと(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)や、A上記CBNCの報道や、Bトランプ米大統領とパウエルFRB議長の会談を経て、C米長期金利急低下→ドル売りの流れが強まった事などが支援材料となり、ユーロドルは米国時間にかけて、11/7以来となる高値1.1090まで上昇しました。もっとも、心理的節目1.1100を前に伸び悩むと、引けにかけて小反落。本稿執筆時点(日本時間朝4時15分現在)では、1.1079近辺で推移しております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、一時109.07まで上昇するも、200日移動平均線109.00に続伸を阻まれる形で反落に転じました。この間、年初来安値104.45(8/26)を起点とした中期サポートライン108.90や、一目均衡表転換線108.88、ボリンジャーミッドバンド108.76を割り込むなど、テクニカル的に見て、上値の重さが意識されるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策格差(利下げに踏み切ったFOMCと、追加緩和の見送りを決めた日銀)や、Aトランプ米大統領の弾劾リスク(米下院はロシア疑惑捜査への虚偽報告を巡りトランプ米大統領の調査を再開)、B米経済の先行き不透明感、C香港情勢の悪化、D米中協議を巡る先行き不安など、ドル安・円高に繋がり易い材料が増えつつあります。
以上の通り、ドル円はテクニカル的も、ファンダメンタルズ的にも、上値の重さが意識されます。米中報道が二転三転する中、最終合意締結までは米中を巡るヘッドラインに振り回される不安定な動きが続きそうです。目先は先週11/14に記録した安値108.25がターゲットとなりますが、アジア株や欧米株が底堅く推移すれば(崩れなければ)、再度ドル円が反発に転じる可能性もあります。ヘッドライン次第で急伸する恐れ(内容次第では再び109円台に戻す展開)もあることから、ドル安・円高をメインシナリオとして見込みつつも、安値圏での突っ込み売りは避けたいところ(戻りを丁寧に売っていく戦略が適する)。尚、本日海外時間は、米・10月住宅着工件数や、米・10月建設許可件数等、米国の主要経済指標が予定されております。冴えない結果となれば、米経済を巡る悲観論再燃→米利下げ観測再燃→米長期金利低下→ドル売りに繋がる可能性もあり、ダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。(本日の予想レンジ:108.00ー109.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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