ドル円 FOMC結果公表後高値更新するも反落、日銀はフォワードガイダンス修正
31日午前の東京市場でドル円は軟調推移。日銀政策決定会合の結果公表を控え様子見気分の強い中、発表された10月の中国の製造業PMI(10月)が49.3と事前予想を下回ったことから、一時108.59まで下値を拡大しました。
その後昼過ぎに公表された日銀政策決定会合の結果では、政策金利、資産買い入れ方針に変化はなかったものの、従来は「少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い金利水準を維持することを想定している。」としていたフォワードガイダンスの期間の部分を「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる惧れに注意が必要な間」との表現に変更、後半部も「現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移すること」として、利下げの可能性も示唆しています。
同時に公表された「経済・物価情勢の展望」では海外経済の減速の影響は限定的で景気拡大が続き、物価も2%に向けて上昇するとの見込みを示しながらも、従来よりも成長率、物価とも見通しを全期間について下方修正、リスクバランスも経済、物価ともに下振れリスクが大きいとしています。
日銀の決定公表に通常よりやや時間がかかっていたことから、追加緩和期待からドル円は昼過ぎにかけ108.75まで値を戻す動きとなりましたが、結果フォワードガイダンスの修正で緩和的姿勢を示したものの想定範囲内、実際の政策変更は無しということで、公表後はやや値を下げています。東京時間13:00現在は108.60-65レベルの取引、いずれにせよ値動きは限られました。日経平均株価は13:00現在で前日比86円高、未明のFRB利下げの動きを好感、また本日HSBCが11年ぶりに香港のプライムレートを引き下げたこともあり、アジア株はおおむね堅調に推移しています。
昨晩注目されたFOMCは市場予想通り0.25%の政策金利を引き下げると同時に、声明文の文言から「景気拡大を維持するために適切に行動する」の文言が消え利下げ打ち止め感を強く出す内容。これを受けて未明のパウエル議長の記者会見開始直後にはドル円は一時109.29の高値をつけました。しかし、会見中パウエル議長が「利上げには著しいインフレ率の上昇が必要であり、現時点で利上げは考えていない」と述べたこと等から、当初の印象ほどタカ派的でないと受け止められて反落。会見終了前後には昨日の安値圏の108.75-80レベルまで下げ、そのまま東京時間につなぎました。
テクニカルには未明の上昇時にドル円は一時200日移動平均線を明確に上抜けましたが滞空時間は短く、逆に現状では昨日までサポートしていた転換線を割り込んできています。
フォワードガイダンスの変更により、日銀は緩和感を出し一旦はドル円の失望売りを回避した形ですが、展望レポートの経済物価見通し下振れにもかかわらず実際のアクションがなかったこと、事実として日米の金利差が縮小したことを海外勢がどう評価するかがやや気になるところ。夕刻ドル売りが強まった場合には久々に21日移動平均線(現状108.26レベル)を試す動きとなる可能性もあり要注意です。
尚、この後15:30から本日の決定に関する黒田総裁の記者会見があります。
ドル円日足
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