ドル円、タカ派寄りのFOMCを受けて急伸するも、長い上髭を残す形で急反落
海外時間の為替概況
30日(水)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。@米・10月ADP雇用統計(結果12.5万人、予想12.0万人)が良好な結果となったことや、A米・第3四半期GDP速報値(結果1.9%、予想1.6%)が市場予想を上回ったこと、B注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)で予想通りFF金利の25bpの引き下げ(結果1.50%ー1.75%、前回1.75%ー2.00%)が決定しつつも、次回利下げを示唆する「適切に行動する」との文言が削除されたこと(予防的利下げ打ち止め示唆→中立姿勢に転換→金利先安感の後退→ドル買いの流れ)、CパウエルFRB議長・記者会見にて「金融政策は良い状況にある」「見通しに対するリスクは前向きな方向に進んでいる」などタカ派的な発言が見られたことが支援材料となり、ドル円は一時109.29(※約3ヶ月ぶり高値)まで急伸しました。
しかし、直近高値109.33(8/1高値)を前に伸び悩むと、D米長期金利の低下や、E反政府デモの激化を受けて11月にチリで開催される予定であったアジア太平洋経済協力会議(APEC)の開催断念が決定されたこと(※同会議で米中合意締結署名が見込まれていたが、APECの開催断念を受けて先行き不透明感が再燃)、FFOMCを終えて「sell the fact」の動きが強まったこと等が重石となり、米国時間引けにかけては、一時108.72まで急落しました。本稿執筆時点(日本時間4時30分現在)では108.80付近で推移しております。
ユーロドル相場は下落後に急反発。@良好な米経済指標(米・10月ADP雇用統計や、米・第3四半期GDP速報値)を受けたドル買いの流れや、Aややタカ派寄りとなったFOMC及びパウエルFRB議長記者会見(予防的利下げ打ち止め示唆→中立姿勢に転換→金利先安感の後退→ドル買い)が重石となり、ユーロドルは一時1.1080まで急落しました。しかし、B米長期金利が伸び悩んだことで一転して「ドル売り」が強まると、ユーロドルも1.1150まで反発する荒々しい値動きとなりました。本稿執筆時点では、1.1143付近で推移しております。尚、欧州時間午後に発表されたドイツ・10月HICP(結果0.1%、予想0.0%)は市場予想を上回る伸びを示しましたが、市場の反応は限定的となっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、一時3ヶ月ぶり高値圏へと急伸するも、直近高値(8/1高値)109.33トライに失敗すると、その後反落に転じました。足元では108.72近辺まで押し戻されるなど、テクニカル的には、やや上値の重さが意識されるチャート形状(長い上髭を残す「騙し」の形状)となっております。また、ファンダメンタルズ的に見ても、本日予定されている日銀金融政策決定会合で「追加緩和の見送り」が予想されていること(@日米金融政策格差を背景としたドル売り・円買い、A一部で日銀の追加緩和やマイナス金利の深掘りを予測する向きもいることから、追加緩和見送りとなった場合は少なからず失望的なドル売り・円買いが発生する可能性大)や、チリの反政府暴動激化を受けて、第1段階の米中合意文書署名を巡る先行き不透明感が再燃していること等、ややドル円の下押しに繋がりやすい材料が増えつつあります。本日は、日銀金融政策決定会合(時間未定)や、黒田日銀総裁記者会見(15:30)、米・9月個人消費支出(21:30)、米・10月シカゴ購買部協会景気指数(22:45)等の結果を睨みつつも、ドル円の下落リスクに注意が必要でしょう。(本日の予想レンジ:108.25ー109.25)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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