【概況】
10月3日深夜安値106.50円から10月17日高値108.93円までの上昇が一服して10月23日午前安値108.25円まで下落したが、その後は持ち直して24日、28日と戻り高値を切り上げて28日夜には109.03円まで上昇して10月17日高値を超えた。8月1日に109.31円の高値を付けてから急落した時以来の109円台回復だったが、29日午前に109.06円までわずかに高値を切り上げた後は109円台を維持できずにややジリ安の展開につかまっている。
米中通商協議の進展やブレクジットでのハードランディング回避の動きがリスク選好となってドル円を押し上げてきたが、30日の米GDPや31日未明のFOMC、さらに週末の米雇用統計やISM製造業景況指数の発表へと続く一連の重要イベントを控えた状況のため、109円到達をきっかけに一段高へ進むところまでは行けずにややポジション調整的な動きでジリ安となっている印象だ。
10月29日は英下院が野党の賛成もあって12月の総選挙を決定し、EUが正式に離脱期限の延期を承認したことでポンドが一時買われる場面もあったが、喫緊の合意無き離脱は回避されているものの先行きの不透明感は残るという印象だった。また米中通商協議の第1段階合意についてもAPECに合わせた調印の見込み報道とともにAPECに間に合わない可能性があるとの報道もあって市場をやや慎重にさせた。
米経済指標はまちまち。米不動産業者協会が発表した9月の中古住宅販売仮契約指数は前月比1.5%上昇で市場予想の0.9%上昇を上回ったが、8月のS&Pケース・シラー住宅価格指数は前年比2%上昇で市場予想の2.1%を下回った。また米コンファレンス・ボードが発表した10月の消費者景気信頼感指数は125.9で前月の126.3から低下し、市場予想の128.0を下回った。
【FOMCと英総選挙、米中協議動向】
米連銀(FRB)は10月29日から30日までの連邦公開市場委員会(FOMC)を始めた。米中貿易摩擦等のリスクへの予防的な金融政策としてこれまで2会合連続で小幅利下げを決定してきたが、今回で3会合連続の利下げが見込まれている。声明発表は日本時間10月31日午前3時で市場は0.25%の小幅利下げを確実視してほぼ織り込んでいるが、声明や議長会見で利下げ継続姿勢が示されるのか、いったん打ち止めとして様子を見るスタンスとなるのか内容を見定めたいとしている。
EUは29日にブレクジットの期限延期を正式に承認し、離脱期限を来年1月末まで3か月延長した。また延期期間中に離脱案の再交渉をしないとした。
英下院は10月29日に総選挙法案を賛成多数で可決した。投票日は12月12日となる見込みで実質的なブレクジットの是非を問う国民投票の意味合いも持つ。与党勝利なら延長期限内での合意ある離脱ないしは合意無き離脱の可能性がいずれも残る。野党勝利なら再度の国民投票が行われて離脱回避へ転換する可能性もあるが、まとまらなければこの問題の長期化ないしは、かえって合意無き離脱を余儀なくされる可能性もあるところだ。ひとまず10月末、11月中のハードランディングは回避される。
米中通商協議について、ロイター通信は米政権当局者の話として米中貿易協議の第1段階合意文書への署名が11月16日から17日に開催されるAPECの場で行われない可能性があると報じた。報道では合意文書作成は「かなり進展している」とする一方で「間に合わない場合もある」とされた。一方で香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストはAPEC首脳会議に合わせて11月17日に米中首脳会談が行われて署名される見通しと報じている。この問題は実際に署名されるまでは油断できない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
ドル円60分足
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月21日未明安値と23日午前安値のダブルボトムを直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして、トップ形成期を25日から29日午前にかけての間としてきたが、29日午前高値からの反落で109円を割り込んでいるため、29日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りと仮定する。23日午前安値を基準とすればボトム形成期は29日の日中から30日午前にかけての間と想定されるため、すでにボトムを付けての反騰注意期にあるが、ボトム形成の延長か、ないしは25日夜安値を基準として11月1日夜にかけての間へ延長される可能性も検討される。このため10月29日午前高値を超えないうちは一段安余地ありとし、29日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして11月1日から5日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では28日への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたが、その後のジリ安で遅行スパンは悪化してきた。先行スパンからの転落には至っていないが、転落しやすい状況にある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、遅行スパン好転からは強気転換注意とし、29日午前高値超えからは新たな強気サイクル入りとして遅行スパン好転中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は28日深夜に70ポイントを超えたが、その後はジリ安で50ポイントを割り込んでいる。60ポイント超えからは上昇再開とみるが60ポイントを下回るうちは一段安余地ありとし、40ポイント割れからは下げが加速しやすいと注意する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108.75円を下値支持線とし、10月29日午前高値109.06円を上値抵抗線とする。
(2)109円を下回るうちは108.75円割れからの一段安警戒とし、108.75円割れからは108.50円前後への下落を想定する。米中関連でのネガティブ材料が出てこないうちは108.50円台ではしっかりすると思われるが、夜間の米経済指標等から下落する場合は108.30円台へ下値目途を引き下げ、さらにFOMCを弱気反応する場合は108円割れを試す流れとみる。
(3)109.06円超えからは新たな強気サイクル入りとして109.25円前後への上昇を想定する。米GDPからFOMCに至る過程で急伸する場合は109.50円前後まで上値目途を引き上げる。また109円台を維持しての推移なら31日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
【当面の主な予定】
10/30(水)
未 定 (日) 日銀・金融政策決定会合(1日目)
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前期比 (前期 0.6%、予想 0.5%)
09:30 (豪) 7-9月期消費者物価 前年同期比 (前期 1.6%、予想 1.7%)
17:55 (独) 10月 失業者数 前月比 (9月 -1.00万人、予想 0.20万人)
17:55 (独) 10月 失業率 (9月 5.0%、予想 5.0%)
19:00 (欧) 10月 経済信頼感 (9月 101.7、予想 101.1)
19:00 (欧) 10月 消費者信頼感確報値 (9月 -7.6、予想 -7.6)
21:15 (米) 10月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (9月 13.5万人、予想 12.0万人)
21:30 (米) 7-9月期GDP速報値 前期比年率 (前期 2.0%、予想 1.6%)
21:30 (米) 7-9月期GDP個人消費速報値 前期比 (前期 4.6%、予想 2.6%)
21:30 (米) 7-9月期コアPCE・速報値 前期比 (前期 1.9%、予想 2.1%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前月比 (9月 0.0%、予想 0.0%)
22:00 (独) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 1.2%、予想 1.1%)
23:00 (欧) ドラギECB総裁退任イベント(ラガルド次期総裁等スピーチ)
23:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 1.75%、予想 1.75%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 (現行 1.75-2.00%、予想 1.50-1.75%)
27:30 (米) パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
10/31(木)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 (現行 -0.10%)
未 定 (日) 日銀展望レポート
06:45 (NZ) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 0.8%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前月比 (8月 -1.2%、予想 0.4%)
08:50 (日) 9月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (8月 -4.7%、予想 -0.3%)
09:00 (NZ) 10月 NBNZ企業信頼感 (9月 -53.5)
09:01 (英) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 -12、予想 -13)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前月比 (8月 -1.1%、予想 0.0%)
09:30 (豪) 9月 住宅建設許可件数 前年同月比 (8月 -21.5%、予想 -25.7%)
09:30 (豪) 7-9月期 輸入物価指数 前期比 (前期 0.9%、予想 0.3%)
10:00 (中) 10月 国家統計局製造業PMI (9月 49.8、予想 49.7)
14:00 (日) 9月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (9月 -7.1%、予想 -6.7%)
14:00 (日) 10月 消費者態度指数・一般世帯 (9月 35.6)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
16:00 (ト) 9月 貿易収支 (8月 -25.0億ドル)
19:00 (欧) 9月 失業率 (8月 7.4%、予想 7.4%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP速報値 前期比 (前期 0.2%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 7-9月期GDP速報値 前年同期比 (前期 1.2%、予想 1.0%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (9月 0.9%、予想 0.7%)
19:00 (欧) 10月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (9月 1.0%、予想 1.0%)
21:30 (米) 7-9月期 雇用コスト指数 前期比 (前期 0.6%、予想 0.7%)
21:30 (米) 9月 個人所得 前月比 (8月 0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 個人消費 前月比 (8月 0.1%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 PCEデフレーター 前年同月比 (8月 1.4%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前月比 (8月 0.1%、予想 0.1%)
21:30 (米) 9月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (8月 1.8%、予想 1.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.2万人)
22:45 (米) 10月 シカゴ購買部協会景気指数 (9月 47.1、予想 49.0)
オーダー/ポジション状況
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