ドル円見通し 10月21日朝安値から戻すも「戻り高値切り下がり」型(10/23)

新たな円安材料が出てこないと108.72円超えへ進むのは今のところ難しいと思う。

ドル円見通し 10月21日朝安値から戻すも「戻り高値切り下がり」型(10/23)

【概況】

10月3日深夜安値106.50円から10月17日高値108.93円まで10営業日の上昇だったが、16日未明高値108.89円と17日高値のいずれも109円手前に止まってダブルトップ型となり、21日朝には108.29円まで下落した。22日は午前に108.72円まで戻したもののその後は失速気味で108.50円を割り込み、23日朝は21日朝安値を割り込んでいる。
10月3日への下落背景は10月1日の米ISM製造業景況指数の悪化から続いた米経済指標の悪さを嫌気したドル売りだった。それが10月4日夜の米雇用統計で9月の失業率が3.5%へと予想外の改善となったことで流れが断ち切れ、その後は米中協議進展期待を背景としたリスクオン型の上昇に入って109円手前まで上昇してきたわけだ。

しかし、再び米経済指標の悪化が目立ち始め、10月16日夜は米小売統計が予想以上に悪く、17日も米住宅着工件数と許可件数が前月から悪化、米鉱工業生産も不調となり、18日は中国の7-9月期GDPが6.0%へ低下して29年振りの低水準となったためにドル円は109円に届かないまま失速した。
10月21日早朝は、英国のブレクジット合意案が19日の下院審議で承認されなかったことで108.29円の安値をつけたが、ブレクジット問題もハードランディングは回避される可能性が高まっているため売り一巡後は戻した。
米中は先の閣僚級協議において大筋で部分合意に達し、その後は事務方による合意文書作成が継続しているところだが、21日は第一段階とされる合意文書作成が順調との報道でリスクオンがやや優勢となってドル円も上昇、しかしその後に未解決問題も残るとの報道で戻りも続かずに失速、米中住宅統計も悪かったとして108.50円割れに至った。

ブレクジットでの混乱も続いているが、今のところの流れは10月末の合意無き離脱によるハードランディングは回避されたという受け止め方がされている。10月19日に英・EU首脳会談で合意された修正案は英下院で採決が見送られ、その後もジョンソン首相による離脱協定法案の審議継続動議は否決、また迅速審議のための動議も否決された。既に英国はEUに対して1月末までの再延期を要請しており、EUのトゥスク大統領は22日に「英国のEU離脱期限延長を加盟国に提案する」と表明している。

米不動産業者協会(NAR)が発表した9月の中古住宅販売件数は季節調整済み年換算で前月比2.2%減の538万戸で3カ月ぶりにマイナスとなった。市場予想の0.7%減の545万戸だった、8月は速報の549万戸から550万戸に上方修正された。米経済指標の伸び鈍化ないし悪化が再び目立ち始めている。10月29-30日には米連銀のFOMCもあり、市場は今年三度目の小幅利下げを想定しているが、経済指標悪化や株安は大幅利下げを催促するものになるかもしれない。

【米中の第1段階合意文書、まだ出来ず】

10月21日、米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は「米中貿易協議は非常にうまく行っているように見える」「第一段階の署名に向けた協議が順調に進めば12月15日に予定されている対中関税第4弾の発動が見送られる可能性がある」との見通しを示した。また、トランプ大統領も同日に「順調だ」と述べたと報じられたことで、21日は合意形成へ順調との期待感がやや強まった。
しかしその後には、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が「第1段階の合意にはまだ解決すべき課題がいくつかある」と述べ、ロス商務長官とクドロー国家経済会議(NEC)委員長も「中国との貿易協議では合意破りを防ぐ仕組みが必要」との認識を示したことで協議進展への楽観がやや押し返された。10月25日には米中が閣僚級の電話協議を行うことも示された。

米中通商協議の第1段階における部分合意内容は、中国の米農産物購入拡大、知的財産権保護、金融サー ビス開放、通貨安定等に限定されており、中国政府による中国企業優遇政策や構造改革問題等は継続協議となっている。第1段階の合意が正式文書にまとまったとされれば11月のAPECにおける米中首脳会談での署名が実現し、米国による中国製品すべてへ高関税を課す対中制裁第4弾の発動は見送られる可能性が高まる。しかし合意文書作成でもめれば署名も危うくなり、第4弾発動の確率が高まれば年末へ向けて市場も悲観に走る可能性がある。米中問題は昨年6月の閣僚級協議で大筋合意に至っていたところをトランプ大統領の鶴の一声でぶち壊しになった経緯もあるので、まだ紆余曲折ありと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、10月14日夜安値から4日半となる10月21日朝安値で直近のサイクルボトムをつけた。17日夕高値を基準としてトップ形成期は22日から24日にかけての間と想定されるが、23日朝への下落で21日朝安値を割り込んでいるため、22日午前高値ですでにサイクルトップをつけて弱気サイクル入りしたと思われる。ボトム形成期は24日朝から28日朝にかけての間と想定されるので、22日午前高値を超えない内は一段安警戒とする。新たな強気サイクル入りは22日午前高値超えからとし、その場合は25日から29日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では23日朝の下落で先行スパンから転落しているため、遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。
60分足の相対力指数は22日の上昇時に60ポイントを超えたがその後の下落で30ポイント台へ低下し、強気逆行等はみられないためまだ下落継続余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、108円を下値支持線、10月22日高値108.72円上値抵抗線とする。
(2)108.50円以下での推移が続くうちは108円試し、さらに108円を割り込む場合は10月3日深夜からの上昇に対する逆流として107.50円への下落を想定する。またその場合は先行きで107円台序盤へ下値目途を引き下げる。
(3)108.50円が戻り抵抗と思われるが、108.50円超えからは108.72円試しとする。108.72円超えからは上昇再開と一段高入りとするが、新たな円安材料が出てこないと108.72円超えへ進むのは今のところ難しいと思う。

【当面の主な予定】

10/23(水)
休場、タイ(チュラロンコーン大王祭)
香港立法会で逃亡犯条例改正案正式撤回
22:00 (米) 8月 住宅価格指数 前月比 (7月 0.4%、予想 0.3%)
23:00 (欧) 10月 消費者信頼感速報値 (9月 -6.5、予想 -6.7)

10/24(木)
14:00 (日) 8月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 91.7)
14:00 (日) 8月 景気一致指数(CI)改定値 (速報 99.3)
16:30 (独) 10月 製造業PMI (9月 41.7、予想 42.0)
16:30 (独) 10月 サービス業PMI (9月 51.4、予想 52.0)
17:00 (欧) 10月 製造業PMI (9月 45.7、予想 46.0)
17:00 (欧) 10月 サービス業PMI (9月 51.6、予想 51.9)
20:00 (ト) トルコ中銀、政策金利 (現行 16.50%、予想 15.50%)
20:45 (欧) 欧州中銀行(ECB)政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)

21:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、定例記者会見
21:30 (米) 9月 耐久財受注 前月比 (8月 0.2%、予想 -0.6%)
21:30 (米) 9月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (8月 0.5%、予想 -0.2%)
21:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 前週分 失業保険継続受給者数 (前週 167.9万人、予想 167.5万人)
22:45 (米) 10月 製造業PMI (9月 51.1、予想 50.8)
22:45 (米) 10月 サービス業PMI (9月 50.9、予想 51.0)
22:45 (米) 10月 総合PMI (9月 51.0)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (8月 71.3万件、予想 70.2万件)
23:00 (米) 9月 新築住宅販売件数 前月比 (8月 7.1%、予想 -1.5%)

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