<< 東京市場の動き >>
16日の東京市場は、ドルが小安い。8月1日以来、2ヵ月半ぶりの高値圏で推移するも上値は追えず、小反落している。
ドル/円は108.80-85円で寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。108.75-85円といった極めて狭いレンジ取引をたどるも、底割れすると日中安値である108.60円レベルへと小幅に値を下げた。その後、ドルは小反発に転じたが、かつてのサポートが今度は抵抗になった感を否めず上値も重い。108.75円レベルをしっかりとは超えられず、16時時点では108.70-75円で推移、欧米時間を迎えている。
材料的に注視されていたものは、「英国情勢」と「米中問題」について。
前者は、EU離脱について、週内17-18日のEU首脳会議で決着が付くのか否か市場の関心が集まるなか、英ブレグジット担当相から「合意の可能性は非常に高い」と楽観的な発言が聞かれた反面、EU首席交渉官は「最新の英国の提案は十分でない」とややネガティブなコメント。
材料が交錯する状況下、EU当局者の話として「英国とEUはブレグジット協定合意案の作成に近づいている」と伝えられたことが好感、一時ポンドが急騰する主因となっていた。ただ、その後もロイターがやはりEU当局者の話をもとに「合意近づくとの見方は時期尚早」と報じるなど、協議が難航している感もうかがわせている。
対して後者は、ブルームバーグが「中国、米国に対する報復関税を維持する限り年間500億ドル相当の米国産農産物の購入は難しい」と報じ、先週末に部分合意した米中貿易協議への警戒感が高まるとドルの売り要因に。また、米下院が「香港人権・民主主義法案を可決」したのに対し、中国サイドは即座に「米国で香港法案成立なら報復」を示唆するなど、貿易問題とは別の観点で対立が強まっているようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
部分合意した米中貿易問題で綻びが露呈しているだけでなく、前述したように「香港問題」をめぐり米中の対立が強まりつつある。材料的には、もう少しドルが売られも不思議はない気もするが、何故か非常に底堅く、実際ドル/円は2ヵ月半ぶりの高値圏で推移している。油断は禁物ながら、チャートを素直に見ればリスクはドル高方向か。移動平均の200日線なども位置する109円レベルに向けた続伸も否定出来ない。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン・サウジ情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」のほか「トランプ氏のウクライナ疑惑」、そして「トルコ情勢」など百花繚乱の様相。それぞれ気になるところはあるものの、敢えて2つをチョイスすれば「英国情勢」と貿易問題を中心とした「米中関係」になりそうだ。前者については、離脱条件をめぐり英とEUが引き続き詰めの協議を行っており、本日16日にも協議が実施されるもよう。17-18日のEU首脳会議を前にした、進捗状況は気掛かりだ。
テクニカルに見た場合、直近安値から2週間で2円を超える上昇をたどっており、レベル的には2ヵ月半ぶりの高値圏で推移している。素直に解釈すれば、リスクは間違いなくドル高で続伸には要注意。移動平均の200日線なども位置する109円レベル、8月高値の109.32円などを目指した動きが予想されている。
ただ、短期的にはやや上げ過ぎのきらいがあるうえ、部分合意した米中貿易協議などについて再び先行き不透明感が台頭しているのは気になる。取り敢えずは調整だろうが、ドルの下押しにも一応要注意。
この後、9月小売売上高や10月NAHB住宅市場指数といった米経済指標が発表されるほか、米地区連銀経済報告の公表も予定されている。
他にも、エバンス・シカゴ連銀総裁やブレイナードFRB理事による講演や、バンク・オブ・アメリカなど米大手金融による決算発表も実施される見込みだ。それらの内容には注意を払いたい。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、108.10-109.10円。ドル高・円安方向は、昨日記録したドル高値108.90円が最初の抵抗。上抜ければ、移動平均の200日線なども位置する109円前後、そして109.32円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、昨日までの抵抗だった108.60円レベルが、逆にサポートとして機能している感。まずは同レベルの攻防が注視されている。割り込んだ場合には108.15円レベルや108円前後などが意識されそうだが、いずれにしても底堅いイメージ。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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