ドル円、ISM非製造業景況指数の悪化で約1ヶ月ぶり安値圏へと急落
海外時間の為替概況
3日(木)の海外市場でドル円は急落。@朝鮮半島を巡る地政学的リスクの高まりや、Aシカゴ連銀エバンス総裁による「直近2回の利下げは適切であり、必要に応じて一段の調整を行う用意がある」とのハト派的な発言、B米・9月ISM非製造業景況指数(結果52.6、予想55.0)の冴えない結果(※2016年8月以来、約3年2ヶ月ぶり低水準)、C上記Bを受けて、米株急落(米ダウ平均は一時334ドル安)・米長期金利急低下(米10年債利回りは1.597%から1.517%まで急低下)の流れが一段と加速したこと等が重石となり、ドル円は一時、9/5以来、約1ヶ月ぶり安値となる106.49まで急落しました。
しかし、トランプ米大統領が「中国の貿易交渉団が来週米国を訪れ、通商協議を行う見通し。順調に進んでいる」と発言すると、米中閣僚級通商協議への期待感から米株が反発(前日比プラス圏へ浮上)し、ドル円も106.96付近まで持ち直す動きとなりました。もっとも、107円手前では戻り売り意欲も根強く、引けにかけては再び反落。結局106.85近辺でのクローズとなっております。
一方、ユーロドルは急伸後に急反落。@シカゴ連銀エバンス総裁によるハト派的な発言や、A冴えない米経済指標、B米長期金利の急低下が支援材料となり、米国時間に一時1.0999まで上昇しました、もっとも、1.1000台回復が阻まれると反落に転じ、結局1.0960台まで押し返されてのクローズとなっております。尚、欧州時間に発表されたユーロ圏・8月生産者物価指数(結果▲0.8%、予想▲0.5%)は冴えない結果となりましたが、ユーロ売りでの反応は一時的なものに留まりました。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は、サポート水準と見られていた一目均衡表基準線(107.11)、9/25安値(107.00)、9/24安値(106.97)、一目均衡表雲上限(106.89)を割り込み、一時106.49まで下げ幅を広げました。米主要株価指数がプラス圏に転じたことでドル円もその後反発に転じましたが、107円台を回復するには至りませんでした。9/18高値108.48と、10/1高値108.47を起点とするダブルトップからの下放れが完成するなど、テクニカル的にみて、下落リスクが意識されるチャート形状となりつつあります、
ファンダメタンルズ的にも、@米中交渉を巡る先行き不透明感に加えて、A香港デモ激化の恐れ、Bトランプ米大統領・弾劾リスク、C英国情勢の不安定化、D欧米ファンダメンタルズの急速な悪化、E朝鮮半島を巡る地政学的リスクなど不安材料は山積みです。特に米国経済指標については、米・ISM製造業景況指数や米ADP雇用統計のネガティブサプライズに続いて、米・ISM非製造業景況指数までもが冴えない結果となりました。本日日本時間21:30に発表される米・9月雇用統計が市場予想を下回る結果となれば、米国経済に対する悲観的な見方が一段と強まり、次回FOMC(10/29ー10/30)での追加利下げを織り込む形でドル円が心理的節目106円ちょうどを試すシナリオも想定されます。
通貨オプション市場ではリスクリバーサルが急拡大(円コールオーバーの急拡大)するなど、ダウンサイドを織り込む動きが一段と広がりを見せております。本日もドル安・円高基調の継続(戻り売り)をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:106.00ー107.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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