ドル円見通し 9月19日とのダブルトップ、底上げパターン崩れる急落(10/2)

3か月前後の底打ちサイクルにおいて戻り一巡からの下落期入りという印象も強まるため、8月26日安値104.45円試しへ向かう可能性も強まると思われる。

ドル円見通し 9月19日とのダブルトップ、底上げパターン崩れる急落(10/2)

【概況】

9月19日高値108.47円から9月25日安値106.94円までの下落は米中協議の先行き不透明感が背景だったが、25日夜にトランプ大統領が米中協議早期合意の可能性に言及したこと等をきっかけとして協議進展期待が再燃して揺れ返しの上昇に入ってきた。

26日夜、27日午後、30日夕と安値を切り上げつつ10月1日夕刻には108.46円まで高値を切り上げて9月19日高値にあとわずかというところまで迫ったのだが、1日23時発表の米ISM製造業景況指数が予想外に悪化し、トランプ大統領が米連銀批判を強める中でユーロやポンド、豪ドル等が反騰してドルストレートでのドル安感が強まり、ドル円も一挙に108円を割り込む円高ドル安へ急旋回した。

【ISM製造業景況指数悪化がドル反落のきっかけに】

米サプライ管理協会(ISM)が発表した9月の製造業景況指数は47.8となり、市場予想の50.1を下回り、前月の49.1から低下したが、これはおよそ10年ぶりの低水準だった。景気拡大の目安とされる50を2ヶ月連続で割り込んだため、景況感悪化が印象付けられた。また米商務省が発表した8月の建設支出も前月比0.1%増となったものの市場予想の0.4%増を下回った。

トランプ米大統領はISM景況指数発表直後に米連銀及びパウエル議長を強烈に批判した。すなわち「金利は高すぎる」「予想通りパウエル(議長)と米連銀はドルが他国通貨に比べて強くなることを容認し、我々の製造業は打撃を受けている」「彼らはやっていることが分かっていない」等と罵倒している。


株式市場はISM指数悪化を嫌気してNYダウが前日比343.79ドル安、ナスダック総合指数も90.66ポイント安と大幅下落した。NYダウは7月16日の史上最高値へ9月12日に迫ったものの高値更新できずにジリ安推移していたが、1日の下落でダブル天井感が強まってきた。7月末から8月15日へ急落した時も7月31日の前日比333.75ドル安から始まっているので、今回も同様の下落規模へ発展しかねず、そうなると株安からの円高圧力も強まってくるのではないかと警戒すべき状況と思う。

中国が国慶節の大型連休に入っているため、米中通商協議関連では30日にナバロ補佐官が米政権が対中投資規制を検討中との報道を否定した後は特段の動きが見られないので、市場の関心は週末の米雇用統計へ集中し、その前後で相次ぐ米連銀地区総裁等の講演等に注目してゆく流れと思われる。

【3か月サイクルのダブルトップ形成か】

9月18日高値とほぼ同値まで戻したところで反落したために日足、60分足レベルではダブルトップ感が出始めている印象だ。ダブルトップ完成のためにはその中間の谷間にある9月24日(25日未明)安値106.94円を割り込む必要があるが、その前に9月24日安値を下支えした26日移動平均(現在107.37円)を割り込むようだと警戒感がかなり強まると注意したい。

ダブルトップ完成となる場合はその間の値幅の2倍値で下値計算値が105.41円まで切り下がる可能性が出てくる。また3か月前後の底打ちサイクルにおいて戻り一巡からの下落期入りという印象も強まるため、8月26日安値104.45円試しへ向かう可能性も強まると思われる。
前回の3か月サイクルにおける戻り天井は8月1日高値だったが、その時も7月10日高値を若干上回りつつ上ヒゲの日足陰線でダブルトップ型を形成して崩れている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月25日未明安値をサイクルボトムとして上昇してきたが、27日夜高値108.18円から30日午後安値107.74円までいったん下げてから切り返したために10月1日朝時点では27日夜高値を上抜くところからは30日午後安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りと仮定して10月2日夜から4日夜にかけての間への上昇を想定するとした。

10月1日に27日夜高値を超えたためにいったんは新たな強気サイクル入りしたが、その後の急落で30日午後安値を割り込んだため、現状は底割れによる新たな弱気サイクル入りとなっている。30日午後安値を基準としてボトム形成期は10月3日午後から7日午後にかけての間と想定される。108円以下での推移中は一段安警戒とし、108円超えからは強気転換注意とするが、新たな強気サイクル入りには1日夕高値を上抜く必要がある。

60分足の一目均衡表では1日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパン突破試しとするが、突破できない内はその後の遅行スパン悪化から下げ再開とし、強気転換は両スパン揃って好転するところからとする。

60分足の相対力指数は27日夜高値から1日夕高値への高値更新に対して指数のピークが切り下がる弱気逆行となって急落した。また1日夕高値を中心として小規模な指数三尊天井が形成された。50ポイントを下回る内は一段安警戒とし、20ポイント台前半への下降もあるのではないかとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、107.50円を下値支持線、108.00円を上値抵抗線とする。
(2)108円以下での推移中は下向きとし、2日未明安値107.62円割れからは107.50円試しとし、107.50円割れから続落の場合は107.25円前後への下落を想定する。107.25円以下は反発注意だが、107.75円以下での推移が続く場合は3日にかけてさらに一段安しやすい状況が続くとみる。
(3)108円前後では戻り売りにつかまりやすいとみて107.75円割れから下げ再開とするが、108円超えから続伸の場合は強気転換注意として108.25円前後への上昇を想定する。108.25円以上は反落警戒とし、その後の108円割れからは下げ再開と一段安警戒とする。

【当面の主な予定】

10/2(水)
休場 中国(国慶節)
14:00 (日) 9月 消費者態度指数・一般世帯 (8月 37.1、予想 36.5)
21:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
21:15 (米) 9月 ADP・非農業部門民間雇用者数 前月比 (8月 19.5万人、予想 14.0万人)
22:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
23:50 ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会参加(サンディエゴ)

10/3(木)
休場 中国(国慶節)
10:30 (豪) 8月 貿易収支 (7月 72.68億豪ドル)
16:45 (欧) デギンドスECB副総裁、エバンス・シカゴ連銀総裁、講演(マドリード)
16:55 (独) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 52.5、予想 52.5)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 52.0、予想 52.0)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI (8月 50.6、予想 50.3)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前月比 (7月 0.2%)
18:00 (欧) 8月 生産者物価指数 前年同月比 (7月 0.2%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -0.6%、予想 0.3%)
18:00 (欧) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 2.2%、予想 2.1%)

21:30 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演(ブリュッセル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 165.0万人)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9)
22:45 (米) 9月 総合PMI改定値 (速報 51.0)
23:00 (米) 8月 製造業新規受注 前月比 (7月 1.4%、予想 -0.5%)
23:00 (米) 9月 ISM非製造業景況指数 (8月 56.4、予想 55.2)
25:10 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会
26:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、講演

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