ドル円見通し 4日連続陰線から戻すも108円に届かず、60分足逆三尊も未完成(9/27)

26日はトランプ大統領弾劾への動き等からNYダウが下落する等、リスク回避感を助長する動きもあるため108円に届かず、上値が重くなってきている印象もある。

ドル円見通し 4日連続陰線から戻すも108円に届かず、60分足逆三尊も未完成(9/27)

【概況】

米中協議への先行き不透明感等を背景として9月19日高値108.47円から25日未明安値106.94円まで下落してきたが、25日夜にトランプ大統領が「中国との貿易協議の妥結が思われているよりも早く起きる可能性がある」と発言したこと等をきっかけとして反騰入りし、26日未明には24日高値を超えてきた。26日夜はいったん107.50円割れまで反落したものの切り返し、ユーロ安ドル高、米中協議進展期待を助長する報道から続伸して27日未明には107.95円まで戻り高値を切り上げてきた。現状は25日未明安値から二段目の上昇で戻りを試しているところだが、26日はトランプ大統領弾劾への動き等からNYダウが下落する等、リスク回避感を助長する動きもあるため108円に届かず、上値が重くなってきている印象もある。

【中国の米国産豚肉・大豆大量購入、ユーロ安、株安で強弱感交錯】

米中貿易摩擦問題では、中国商務省が26日に「中国企業が米国産大豆と豚肉をかなりの規模で買い付けた」と表明したことで協議進展への期待感が拡大した。しかしその一方ではブルームバーグ通信が「中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)と米企業の取引猶予措置を延長する可能性が低い」との米政府高官発言を報じており、強弱入り混じりとなった。トランプ大統領が早期の合意可能性に言及した後に国連での演説で中国を批判する等、大統領発言もころころ変わるので、先行き不透明感が払拭されて楽観的な期待が満たされる状況ではないようだ。仮に週末週明けにかけてトランプ大統領が対中強硬姿勢を示すようなら市場の空気もガラリと変わる可能性がある。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「米経済が潜在成長に達していない」として追加利下げ姿勢を示した。同総裁は先のFOMCで0.5%の下げ幅を主張したとみられている。欧米及び中国の景気指標が回復し、株高基調が続けば米連銀も追加利下げを急ぐ必要がなくなりトランプ大統領の批判を受け流すこともできるだろうが、株安が深刻化するようだと追加利下げに追い込まれる可能性も高まる。
米労働省が発表した週間新規失業保険申請は季節調整済みでは21万3000件で前週比3000件増加、市場予想の21万2000件を上回った。米商務省が発表した4〜6月期GDP確定値は季節調整済み年率換算で前期比2.0%増と改定値から据え置かれた。

ユーロが27日未明に1.0910ドルまで下落、約2年4カ月ぶりの安値をつけた。ECB内部でタカ派として知られるラウテンシュレーガー専任理事が10月末で辞任すると発表された事がきっかけで、ECBの金融緩和拡大期待が強まるのではないかという思惑によるものと解説されているが、欧州景況感悪化による先行き不透明感が投機マネーの現金化=ドル還流を促していることがドル高の背景とも考えられる。
ユーロドルは2018年2月天井1.2555ドルからの長期下落トレンドが継続しており、下落期も1年7月を経過している。チャート上の節目は2017年1月大底の1.0341ドルまで見当たらない。
ユーロ安ドル高はドル円にとってもドル高要因となりえるが、リスク回避感が強まる中でのユーロ安は、ユーロ円の下落やクロス円全般の下落を伴ってドル円での下落要因にもなりうるので注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、9月23日夕安値から24日夜へいったん戻してから一段安となったために25日朝時点では24日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、25日深夜への上昇で24日夜高値を上抜き返したために26日朝時点では前回のサイクルボトムを19日午前安値とし、25日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改めた。また20日朝高値を起点として今回のトップ形成期を25日から27日朝にかけての間と想定し、107.50円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとした。
26日夜に107.42円まで下げたが切り返して27日未明には107.95円をつけて26日未明高値107.87円を超えているので、25日未明安値からの戻りがまだ継続している。ただし前回サイクルトップから5日目に入るので26日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして28日未明から10月2日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では25日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを突破した。26日夜の下落では先行スパンが支持線となった。先行スパンを上抜いた状況の内は高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、26日夜安値割れから続落の場合は先行スパンからの転落とも重なるので下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は26日未明高値を27日未明高値で上抜いたところで指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので下げ再開注意とする。50ポイント割れからは下向きとして30ポイント台への下降を想定する。

9月25日未明安値を頭、23日安値と26日夜安値を両肩とすれば60分足レベルでの逆三尊型となるが、完成目安のネックライン=24日夜高値と26日未明高値を結ぶ抵抗線を上抜けきれずにいるので未完となっている。27日未明高値超えからは逆三尊完成により19日高値試し、あるいは突破へ進む可能性も出てくるが、未完の内は二段戻しすぎず、そのまま崩れる可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.60円、次いで26日夜安値107.42円を下値支持帯、27日未明高値107.95円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.60円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、107.95円超えの場合は9月19日高値108.47円を目指す上昇を想定する。108.25円以上は反落警戒とするが、107.70円以上での推移なら週明けも高値を試しやすいとみる。
(3)107.60円割れを弱気転換注意、107.42円割れからは弱気サイクル入りとして25日未明安値106.94円試しを想定する。107円割れはもう一度買い戻しも入りやすいとみるが、材料を伴って106.94円割れする場合は106.50円台まで下値目途を引き下げてゆく。

【当面の主な予定】

9/27(金)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -0.2%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 -2.1%、予想 -2.7%)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 103.1、予想 103.0)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感 確定値 (8月 -6.5)

21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCE) 前月比 (7月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEデフレーター) 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (7月 1.6%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 2.1%、予想 -1.2%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 92.0、予想 92.1)
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

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