【概況】
米中貿易摩擦問題と米中双方の対応やトランプ大統領発言に振り回される展開が続いているが、9月18日高値で108.47円を付けた後は24日まで4営業日連続で日足は陰線となり、25日未明安値では106.94円をつけて重要な下値支持線となる26日移動平均(106.96円)に到達した。
26日移動平均を割り込んでさらに続落に入れば下げ再開感が強まり、概ね3か月周期のサイクルにおける下落期入りという印象が強まるところだったが、25日はトランプ大統領が「中国との貿易協議の妥結が思われているよりも早く起きる可能性がある」と発言したことで米中協議の進展期待が再燃、8月の新築住宅販売も好調だったことで株式市場のリスクオン心理が回復してNYダウが162.94ドル高と上昇、逆に債券売りから米10年債利回りが前日比0.09%上昇の1.74%へ戻し、為替市場ではドルがほぼ全面高となったことからドル円も反騰して5日ぶりに日足は陽線引けした。
ひとまず26日移動平均まで下げたところで下げ一服した状況と思われる。さらに続伸に入ればここを押し目としてもう一度9月18日高値を試す可能性も出てくるが、25日の陽線レンジの半値を削る失速となれば、短期的な買い戻し一巡による下げ再開へ向かい、25日未明安値を割り込むところからは26日移動平均割れによる下げ再開感が強まり、9月18日からの下落も二段下げへと発展してゆくこととなる。踏みとどまれるかどうか、重要なところと思われる。
【トランプ相場続く】
米商務省が発表した8月の新築一戸建住宅販売は季節調整済み年率換算で前月比7.1%増の71万3000戸となり、市場予想の66万戸を上回った。また2か月振りのプラスで前年同月比では18.0%増だった。
トランプ米大統領は25日に記者団に対し、米中協議について「中国は合意を非常に強く望んでいる。合意できるかもしれない」と述べて中国との貿易協議の妥結が思われているよりも早期に起きる可能性を示唆した。具体的な進捗については言及していないので現状ではリップサービスの範囲にとどまっている。米中は10月第2週に閣僚級協議を開く予定となっているが、トランプ大統領は暫定合意や部分合意を望まないとして強硬姿勢を繰り返し、24日の国連演説でも中国批判を繰り返している。ウクライナ問題で大統領弾劾への動きが出ているため、米中協議進展への成果をアピールしたかったのかもしれない。
トランプ大統領が野党民主党のバイデン前副大統領の次男に関する疑惑を調査するようウクライナ大統領へ圧力をかけたとされる問題について、ホワイトハウスは25日、ゼレンスキー大統領との電話会談の記録を公表した。記録ではトランプ氏が調査を進めることが望ましいとし、軍事援助を示唆していたことが分かった。米下院はトランプ大統領弾劾へ動き始めているが、下院で過半数を得られなければ訴追に至らず、訴追しても上院で3分の2を得なければ大統領罷免には至らない。ロシア疑惑問題と同様に今回の問題も金融市場への影響は限定的なものと思われる。仮にトランプ大統領が罷免されたとしても、次期大統領が米中対立が融和へ転換して市場にとっては好都合かもしれない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の高値・安値形成サイクルでは、9月23日夕安値から24日夜へいったん戻してから一段安となったために25日朝時点では23日夕安値を直近のサイクルボトム、24日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、25日深夜への上昇で24日夜高値を上抜き返したため、前回のサイクルボトムを19日午前安値とし、25日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改める。20日朝高値を起点として今回のトップ形成期を25日から27日朝にかけての間と想定するため、すでにサイクルトップを付けての反落注意期にあるが、107.50円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、26日未明高値を上抜く場合は19日未明高値108.47円試しを想定する。ただし107.50円割れからは弱気転換注意とし、107.30円割れからは下げ再開とみて25日未明安値試しを想定する。さらに底割れからは弱気サイクル入りとして28日未明から10月2日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では25日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを突破した。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値切り上げへ進めないと遅行スパンは悪化しやすくなる。遅行スパン悪化からは下げ再開と仮定して安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げが加速しやすいと注意する。
60分足の相対力指数は25日深夜への上昇で70ポイントを超えたがその後は失速している。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとするが、26日未明高値を超える際に指数のピークが切り下がる場合は弱気逆行発生から下落に転じやすくなると注意する。
9月26日未明高値から失速して107.30円前後へ下げた場合、その後の反騰で107.50円超えへ切り返し、さらに26日未明高値を上抜く場合は60分足レベルでの逆三尊形成となる可能性がある。25日未明安値を割り込む場合は9月19日からの下落規模が25日未明までを一段目とし、二段下げへ発展するために下げが厳しくなる可能性がある。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.50円から107.30円を下値支持帯、26日未明高値107.87円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.50円を割り込んでも切り返すうちは上昇余地ありとし、107.87円超えの場合は当初の上値目途を108.00円から108.25円にかけての間と想定する。材料を伴って上昇に勢いがつく場合は19日高値108.47円手前を試すとみるが、そこは戻り売りにつかまりやすいとみる。
(3)107.50円割れを弱気転換注意、107.30円割れからは下げ再開とみてまず25日未明安値106.94円試しを想定する。107円割れはもう一度買い戻しも入りやすいとみるが、材料を伴って106.94円割れする場合は106.50円台まで下値目途を引き下げてゆく。
【当面の主な予定】
9/26(木)
15:00 (独) 10月GFK消費者信頼感 (9月 9.7、予想 9.7)
15:35 (日) 黒田東彦日銀総裁、全国証券大会で挨拶
21:30 (米) 4-6月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 2.0%、予想 2.0%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・確定値 前期比 (改定値 4.7%、予想 4.7%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・確定値 前期比 (改定値 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.8万件、予想 21.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.1万人、予想 166.5万人)
22:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、講演
22:30 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、開会挨拶
22:45 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 -2.5%、予想 0.9%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 1.7%、予想 1.3%)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、挨拶
24:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、会合挨拶
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.00%、予想 7.75%)
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁裁、タウンホールミーティング
29:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
9/27(金)
08:01 (英) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -14、予想 -14)
08:30 (日) 9月 東京都区部消費者物価指数(生鮮食料品除く) 前年同月比 (8月 0.7%、予想 0.6%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -0.2%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 -2.1%、予想 -2.7%)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 103.1、予想 103.0)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感 確定値 (8月 -6.5)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCE) 前月比 (7月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEデフレーター) 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (7月 1.6%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 2.1%、予想 -1.2%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 92.0、予想 92.1)
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
オーダー/ポジション状況
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25日(水)の外国為替市場でドル円は上昇。
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