ドル円 欧米日の金融政策通過、米中問題再び不透明、8月26日からの戻り一巡となるか(週報9月第4週)

8月26日からのドル高円安基調が9月19日高値からの失速によりブレーキがかかった状況、ないしはすでに戻り一巡から下落期に入ってきた印象がある。

ドル円 欧米日の金融政策通過、米中問題再び不透明、8月26日からの戻り一巡となるか(週報9月第4週)

【概況】

米中対立の深刻化を背景として8月26日に104.45円まで下落して今年1月3日及び昨年3月26日以来の105円割れとなったが、その後は米中通商協議再開報道から楽観ムードへ変わって揺れ返しの上昇に転じてきた。
9月14日にサウジ石油施設への無人機攻撃事件が発生して16日早朝には107.44円まで小反落したが、19日未明のFOMCで0.25%利下げを決定するも市場の予想通りだったとしてイベント通過感からドル高となり19日未明には108.47円まで続伸した。

しかし19日の日銀金融政策が現状維持にとどまったことでドル高円安にブレーキがかかり108円割れへ失速。20日は108円弱での持ち合いで推移していたが、中国が米国の農場訪問をキャンセルしたとの報道から米中協議進展への過度な楽観が後退したために107.50円まで下落して先週を終えた。
週明け23日は夕刻に発表された9月のドイツ製造業PMIが41.4となり予想の44.0を下回り8月の43.5から低下したこと、欧州製造業PMIも45.6で予想の47.3を下回り8月の47.0から低下する等、欧州の景況感悪化からユーロが下げたが、ドル円はリスク回避的な反応で107.30円へ下落、週末最終の安値及び9月16日早朝安値を割り込んだ。

【欧米日の金融政策発表を通過して上値が重くなる】

9月19日未明のFOMC声明ではメンバーの2019年における利下げ予想中央値が2回となり、7月末と今回の利下げで打ち止めとなる可能性が高まった。ただ17名のうち7名が3回の利下げ予想をしたため、今後の状況次第では追加利下げの可能性もまだ残るという状況だった。パウエル議長の会見も必要に応じて利下げする含みを示したが、市場の利下げ継続期待度はやや鈍った印象だった。
9月19日の日銀金融政策では10月の次回会合で経済・物価動向を再点検する方針を示したが、ECBや米連銀による利下げが相次ぐ中で現状維持とすることによる円高をけん制するリップサービスという印象にとどまったために円高反応となったようだ。

米連銀は昨年末までの利上げ継続姿勢から利上げ棚上げ、さらに7月と9月の利下げへと姿勢を転じてきたが、米中対立による世界景気の先行き不安を口実としつつ、米トランプ政権による強烈な利下げ要求に屈してきた印象もある。ドイツの景気後退懸念が深刻化し始めているECBもマイナス金利の深掘りを余儀なくされており、先行きの緩和拡大観測も強まっている。欧米の金融緩和姿勢に対して日銀が現状維持に留まれば長期金利差からの円高感が徐々に増しやすい状況に入っていると思われる。

【楽観的な株高にブレーキ】

S&P500株価指数は7月26日に史上最高値3029.00を付けたが、9月19日高値で3020.50を付けたものの9月20日には反落しており高値更新へ進めていない。史上最高値更新ならダブルトップ破りとしてさらに上昇に弾みがつくのだろうが、高値更新に失敗したままだとダブルトップ型でいったん調整を入れやすい状況となってくる事も考えられる。NYダウも同様に7月16日の史上最高値に対して9月12日に迫ったものの超えられずにいる。

米中対立の影響を懸念して7月末から急落したが、その後は米中協議再開期待で持ち直してきた。ダブルトップ破りで一段高へ走るには米中合意実現へ向けた相当程度に前向きな情勢が必要と思われる。また9月14日のサウジ石油施設への攻撃事件から米国がサウジへの増兵とイラン批判を強めていることも中東情勢不安の再燃として株高及び金融市場全般におけるリスクオン心理にブレーキがかかる。
ムニューシン米財務長官は次官級協議終了後、再来週に閣僚級協議を開催すると述べている。

【3か月サイクルの戻り一巡か】

ドル円は概ね10か月から1年周期の高値・安値形成サイクルで推移してきた。近年では2015年8月24日、2016年6月24日、2017年4月17日、2018年3月26日、2019年1月3日にサイクルの底を付けている。2019年4月24日高値からの下落で1月3日安値を割り込んでいるため、現状は4月24日高値をサイクルトップとした下落期にあると考えられる。1月3日底を起点とすれば次の底形成期は11月から2020年1月にかけての間と想定されるため、8月26日安値ではまだ底打ちの必要十分条件を満たしていない。

概ね10か月から1年周期のサイクルは、概ね3か月前後(2か月から3か月強)のサイクル複数で構成されている。2018年3月26日底からのサイクルは3か月サイクル4つで構成された。2019年1月3日からの3か月サイクルは、2019年3月25日、6月25日、8月26日と3つの底を付けてきたが、もう一つ分、ないしはもう二つ分の下落サイクルを入れて4つないし5つ目の底形成で1年サイクルの底形成と一致する流れではないかと思われる。

9月18日高値から日足は2日連続陰線で下落しており、3か月サイクルの戻りを一巡させて下落期に入ってきている可能性がある。上昇中の26日移動平均(現在106.95円)を割り込まないうちは上昇継続性が残るが、26日移動平均割れからは3か月サイクルの下落期入りとして10月末から11月にかけての間へ下落継続しやすくなると考える。その際に8月26日安値とダブル底形成で踏みとどまるかもしれないが、底割れの場合は8月26日安値からの戻り幅の倍返しクラスでの下落規模(現状の計算では100.43円前後試し)となる可能性も考えられる。

【当面のポイント】

8月26日からのドル高円安基調が9月19日高値からの失速によりブレーキがかかった状況、ないしはすでに戻り一巡から下落期に入ってきた印象がある。107.50円を割り込んでも切り返すうちは高値をさらに試す可能性も残るが、107.50円割れから続落の場合は107円試しとなり、さらに107円割れとなれば中勢レベルの下値支持線である26日移動平均も割り込んでゆくことになるため円高感が強まると思われる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、9月23日夕安値107.30円を下値支持線、9月19日午後高値108.13円を上値抵抗線とする。

(2)107.50円を割り込んでも早々に切り返すうちはまだ上昇余地ありとする。108円を超えても維持できないうちは下げ渋りの範囲に留まるが、108.13円を超えてくれば上昇再開とみて19日未明高値108.47円試しへ向かう可能性が出てくると思われる。仮に高値更新の場合は8月1日高値109.31円試しまで上値目途を引き上げるが、現状では9月19日未明高値とのダブルトップ形成で終わる可能性ありとみて108.30円以上は反落警戒とし、19日高値を超えずに107.70円割れするところからは下げ再開注意とする。

(3)107.30円割れからは下落期入りと仮定してまず107.00円試しを想定する。107円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、107円割れから続落の場合、特にリスク回避材料を伴って下落する場合は106.50円前後まで当面の下値目途を引き下げる。また先行きは8月26日安値104.45円試しへ向かう流れとなる可能性も出てくると考える。

【当面の主な予定】

9/24(火)
休場 南ア
14:00 (日) 7月 景気一致指数(CI)改定値 (速報 99.8)
14:00 (日) 7月 景気先行指数(CI)改定値 (速報 93.6)
14:35 (日) 黒田東彦日銀総裁、発言
17:00 (独) 9月 IFO景況感指数 (8月 94.3、予想 94.5)
22:00 (米) 7月 住宅価格指数 前月比 (6月 0.2%、予想 0.3%)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 (6月 217.65)
22:00 (米) 7月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (6月 2.1%、予想 2.2%)
23:00 (米) 9月 リッチモンド連銀製造業指数 (7月 1、予想 1)
23:00 (米) 9月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (8月 135.1、予想 133.0)

9/25(水)
07:45 (NZ) 8月 貿易収支 (7月 -6.85億NZドル、予想 -13.50億NZドル)
08:50 (日) 日銀・金融政策決定会合議事要旨
08:50 (日) 8月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (7月 0.5%、予想 0.5%)
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 (現行 1.00%、予想 1.00%)
15:00 (独) 10月 GFK消費者信頼感 (9月 9.7、予想 9.6)
21:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
23:00 (米) ジョージ・カンザスシティー連銀総裁、上院銀行委員会証言
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数 年率換算件数 (7月 63.5万件、予想 65.6万件)
23:00 (米) 8月 新築住宅販売件数 前月比 (7月 -12.8%、予想 3.3%)

9/26(木)
08:00 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、Q&A参加
15:35 (日) 黒田東彦日銀総裁、全国証券大会で挨拶
21:30 (米) 4-6月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 2.0%、予想 2.0%)
21:30 (米) 4-6月期 GDP個人消費・確定値 前期比 (改定値 4.7%、予想 4.7%)
21:30 (米) 4-6月期 コアPCE・確定値 前期比 (改定値 1.7%、予想 1.7%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.8万件、予想 21.1万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 166.1万人、予想 166.6万人)

22:30 (欧) ドラギ欧州中銀(ECB)総裁、講演
22:30 (米) カプラン・ダラス連銀総裁、開会挨拶
22:45 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、講演
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前月比 (7月 -2.5%)
23:00 (米) 8月 住宅販売保留指数 前年同月比 (7月 1.7%)
23:00 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、挨拶
24:45 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、会合挨拶
27:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 8.00%、予想 7.75%)
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁裁、タウンホールミーティング
29:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

9/27(金)
08:01 (英) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -14、予想 -14)
08:30 (日) 9月 東京都区部消費者物価指数(生鮮食料品除く) 前年同月比 (8月 0.7%、予想 0.6%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 -0.2%、予想 -0.4%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 -2.1%、予想 -2.7%)
18:00 (欧) 9月 経済信頼感 (8月 103.1、予想 103.0)
18:00 (欧) 9月 消費者信頼感 確定値 (8月 -6.5)
21:30 (米) 8月 個人所得 前月比 (7月 0.1%、予想 0.4%)

21:30 (米) 8月 個人消費(PCE) 前月比 (7月 0.6%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEデフレーター) 前年同月比 (7月 1.4%、予想 1.4%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前月比 (7月 0.2%、予想 0.2%)
21:30 (米) 8月 個人消費(PCEコア・デフレーター) 前年同月比 (7月 1.6%、予想 1.8%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注 前月比 (7月 2.1%、予想 -1.2%)
21:30 (米) 8月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.3%)
21:30 (米) クォ―ルズFRB副議長、講演
23:00 (米) 9月 ミシガン大学消費者信頼感指数 確報 (速報 92.0、予想 92.1)
26:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

【当面の主な予定】

ドル円日足

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