今週の週間見通し
先週のドル円は、週初は米国の制裁関税第4弾の一部発動と中国による報復関税の同時発動を受けリスクオフ気味でのスタートを切りました。しかし、先週も安値は105円70銭をトライしきれず、相変わらず105.60水準で大口の買いが控えている様子が感じられました。そして、その後は香港での条例撤回、合意無き離脱をしないとの動議可決の2つがリスクオフの巻き返しのきっかけとなり方向転換。テクニカルにもこれまでレジスタンスとなっていた106円台後半を上抜け107円台に乗せたことから、ドル高地合いが強まる一週間となりました。
今週は先週の一連のイベントと来週のFOMCに挟まれ、ECB理事会はあるものの、ドルとしての材料にはやや乏しい一週間となります。米中通商協議も10月に再開されるまでまだ時間がありますので、現段階では積極的には材料にしにくいと思いますが、市場参加者の思惑はどちらかというとポジティブで今回こそは落としどころを見つけるのではないかと考える向きが多そうです。
しかし、12月の制裁関税第4弾の残りの部分が発動されるリスクは消え去ったどころか、これまでの米中双方の動きを見ている限り、いまだリスクは高いと考えざるを得ません。先週はリスクオフの巻き返しが目立ったがゆえに、来週のFOMCを控えて為替市場では改めてドルを売り直すきっかけを探しているといったところだと考えています。
FOMCを前にして今週は当局者からの発言はありませんので、先週金曜のパウエルFRB議長の講演から判断すると、9月は0.25%の利下げを行い、その効果を見極めたいというところが市場参加者の現時点でのコンセンサスです。シカゴの政策金利先物の取引状況から考えられる利下げ織り込み度も0.25%で90%以上という状況で安定しています。
テクニカルにはやや変化してきました。日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)
依然として長期ドル安トレンドに変化はありませんが、8月に年初来安値を更新したことから短期的な安値を見た可能性が高く、また105.60水準に残っている大口ドル買いオーダーにも阻まれ、円高方向への拡大は今のところ先送りになったチャートです。しかし、前に書いた通りですがオセアニア時間(NY引け〜東京午前9時)につけた新値は再度試しに行く可能性が高いことや、2019年の値幅がいまだ8円に満たないという極端に狭いレンジであることから、中長期的なドル安・円高トレンドの見方は継続です。
ただ、短期的には明らかにドル買い戻しに分がありますし、テクニカルにも107円台半ばを視野に入れる展開です。ひとつは8月高値と安値のフィボナッチ。リトレースメントですが、61.8%戻しが107.46(緑のターゲット)です。もうひとつは8月安値を起点に上昇N波動(ピンク)を考えると、78.6%(61.8%の平方根)エクスパンションが107.49(ピンクのターゲット)となっています。107円台半ばを超えてのドル高にはもうひとつ材料が無いと難しいのではないかと思います。
いっぽう下値は105円台のトライを何度も失敗していることから、106円台前半では買いが出やすいでしょうし、それまでのレジスタンス(オレンジ)が106円台前半に位置しています。今週は106.20レベルをサポートに107.40レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。
9月9日(月)
07:45 NZ4〜6月期製造業売上高
08:50 本邦7月貿易収支(国際収支)
08:50 本邦4〜6月期GDP改定値
15:00 ドイツ7月貿易収支
17:30 英国7月GDP
17:30 英国7月貿易収支
17:30 英国7月鉱工業生産
9月10日(火)
10:30 中国8月CPI
10:30 豪州8月企業景況感
15:45 フランス7月鉱工業生産
17:30 英国8月失業率
9月11日(水)
09:30 豪州9月消費者信頼感
19:00 南ア7〜9月期企業信頼感
21:30 米国8月PPI
23:00 米国7月卸売在庫
23:30 週間原油在庫統計
9月12日(木)
08:01 英国8月住宅価格指数
15:00 ドイツ8月CPI
15:45 フランス8月CPI
18:00 ユーロ圏7月鉱工業生産
20:00 トルコ中銀政策金利発表
20:45 ECB理事会結果公表
21:30 ドラギECB総裁会見
21:30 米国8月CPI
21:30 米国新規失業保険申請件数
9月13日(金)
**:** 中国市場休場
15:00 ドイツ8月PPI
16:00 トルコ7月経常収支、鉱工業生産
18:00 ユーロ圏7月貿易収支
21:30 米国8月小売売上高
21:30 米国8月輸入物価指数
23:00 米国9月ミシガン大消費者信頼感速報値
23:00 米国7月企業在庫
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時〜NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
9月2日(月)
月初のドル円は米中双方の追加関税スタートを嫌気して早朝相場では売りが先行しましたが、その後は米国市場が休場となることもあって東京の昼頃には週末終値を回復しました。欧州市場では欧州通貨安によるドル買いも出てドル円はじり高となったもののNY時間に米中協議再開が難航とのニュースに106円目前まで下押し後、やや戻して引けました。
9月3日(火)
ドル円は株式市場の上下に沿った動きを続けましたが、株価はほぼ横ばいだったもののドル円は着実に上値を切り下げました。NY市場では弱い経済指標に反応しドル全般に売りが入り、105.74レベルまで下押し後にやや戻しての引けとなりました。
9月4日(水)
ドル円は東京市場では動きが鈍かったものの欧州市場序盤に香港で条例撤回のニュースが流れるとそれをきっかけにリスクオンの動きとなり、株高と円安への方向性が出ました。その後のNY市場では英国議会で合意無き離脱はしないという前日の動議が可決される一方で、首相の総選挙実施動議は否決され、この動きもリスクオフの巻き返しで円売りの動きに繋がりました。NY後場には106.45レベルまで水準を上げ高値引けとなりました。
9月5日(木)
東京市場のドル円は米中通商協議が10月に開催されるとの発表を材料に株高、円安とリスクオンの動きとなりました。欧州市場序盤にはいったん下押しする場面も見られましたが、NYを市場では経済指標が軒並み強い数字となったことから、ストップも巻き込みながら一時107.23レベルの高値をつけました。引けにかけては、戻り売りも見られて107円挟みでもみあいの引けとなりました。
9月6日(金)
ドル円はNY市場までは107円を挟んでの小動きに終止していました。雇用統計が予想よりも弱かったことから一時106.63レベルまで水準を下げましたが、前日までのドル買い戻しの動きから押し目買いも目立ち、引けにかけては107円近くまで戻しての週末クローズとなりました。
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オーダー/ポジション状況
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