<< 東京市場の動き >>
週明け9日の東京市場は、揉み合い。106円後半を中心とした30ポイント足らずのレンジ取引に終始している。
前週末には、FOXなど複数媒体を通し、カドロー米NEC委員長から複数の発言が聞かれ、物議を醸す。一例を挙げると「米中貿易摩擦は今後数年続く可能性がある」、「近いうちに成果がでなければ追加の措置を講じる」、「日米貿易交渉合意を月内に発表も」、「FRBが今月と来月に追加利下げを行うなら歓迎する」−−などで、それら発言を踏まえたうえで、週明けの為替市場は寄り付いている。
ドル/円相場は、上方向にギャップを空ける格好で、先週末のNYクローズより円高の106.75-80円で寄り付いたものの、その後は逆にドルが小じっかり。早々にギャップを埋めると一時107円台をワンタッチする局面も観測されている。しかし、ドル買いは続かずに失速し、そののちは106円後半での一進一退に。16時時点では106.90-95円で推移、欧米時間を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは、「米国ファクター」と「英国情勢」について。
前者については、先で取り上げた様々なカドロー発言のほか、米CNNテレビが報じた「ボルトン大統領補佐官とポンペオ国務長官の確執が深刻になっている」との報道も話題に。そのほか、トランプ米大統領による「長引く米中貿易戦争による損失は、中国側に直接影響を及ぼしている」との主張や、テロ発生が背景とみられる「タリバンとの和平交渉を中止」表明なども市場で憶測を呼んでいた。
それに対して後者は、「英上院が下院を4日に通過したEU離脱延期法案を可決」、情勢が混とんとするなか、「ラッド英雇用・年金相が首相のEU離脱方針に抗議し辞任する」と発表され、さらに混迷が深まった感を否めない。なお、そうしたなかBBCは、英野党党首が「ジョンソン氏が離脱延期法案を無視すれば法的措置を用意」していることを明らかにしたと報じている。
<< 欧米市場の見通し >>
先週末に発表された注目の米雇用統計は事前予想より悪化。そののちパウエルFRB議長から「記録的な経済成長軌道を維持するため」という注釈付きながら、追加利下げの可能性を示唆する発言が聞かれている。それからすると、もう少しドルが売られても不思議はなく、目先は予想よりドルが底堅い気もしないではない。ともかく、目先は米雇用統計発表後のドル安値106.63円と5日高値107.23円、基本的にはこの両者に挟まれたレンジ取引をたどるとの見方も少なくないようだ。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」、「英国情勢」、「米貿易問題」、「米金融政策」などを注視。そのいずれも要注意だが、マーケットは早くも来週17-18日の米FOMCに関心が移行している感がある。つまり「米金融政策」に要注意で、金融当局者はコメントを基本的に発することのできない「ブラックアウト期間」に入ったものの、問題はトランプ氏だ。今年7月には同期間中にもツイッターを駆使し、FRBに圧力を掛け続けただけに、今回も同様の展開、トランプ発言を警戒する声が多く聞かれていた。
テクニカルに見た場合、先週木曜日に一時107.23円の高値を示現、直近高値を更新したが勢いは続かなかった。再三再四指摘している昨年来の相場動静、「レンジを一時的に抜けたものの、気が付くとレンジ内に回帰」するというダマシの可能性が浮上している感もある。まだ断定するのは早そうだが、レンジをしっかり抜けるにはいま少し時間がかかりそうとの見方は少なくない。足もとは次の動意に向けたエネルギー蓄積の局面か。
一方、材料的に見た場合、7月の消費者信用残高という米経済指標が発表されるものの、マーケットの関心は低く、基本的に影響は限られそうだ。また、「ブラックアウト期間」に入っていることもあり、要人による講演など発言機会も限られており、本日は基本的に手掛かり材料難。そうした意味では、やや動きにくいと言えるかもしれない。
ただ、英国情勢には引き続き要注意。「EU離脱延期法案」がエリザベス女王の承認を受け、本日中にも法律として成立する見込みである反面、ジョンソン英首相は前倒し総選挙の実施を再び議会に求める考えを示している。ユーロやポンド主導の値動きも?!
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは、106.50-107.40円。ドル高・円安方向は、本日の東京高値である107円前後の攻防にまずは注目。抜ければ前回高値107.23円などがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、本日の東京安値106.75円レベルが最初のサポートで、割り込むと米雇用統計発表後安値の106.63円が意識されそうだ。いずれにしても、足もとはドルが底堅い雰囲気。
ドル円60分足
オーダー/ポジション状況
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