ドル円見通し リスクオン材料続いて107円台回復、米雇用統計から流れ継続か転換か(9/6)

9月5日夜の米経済指標も軒並み良好だったためにドル円は続伸して5日深夜には107.22円まで高値を切り上げた。

ドル円見通し リスクオン材料続いて107円台回復、米雇用統計から流れ継続か転換か(9/6)

【概況】

8月23日夜高値106.73円から26日朝安値104.45円まで急落した後は30日未明高値106.68円まで4日間をかけて戻したが、9月3日深夜安値105.74円までジリ安で推移し、8月23日高値からの急落分を解消するには至らなかった。しかし9月4日は豪GDPが予想と一致したことで豪ドルが反発、NZドルもつれ高となり、中国の8月財新サービス業PMIが予想を上回ったことで楽観が広がり、香港の林行政長官が逃亡犯条例改正案の撤回を表明したことでリスクオン心理が拡大、さらに英国による「合意無きEU離脱」懸念が後退した。そのためポンドとユーロが上昇、ドルストレートでドル高、クロス円では円安が進み、ドル円は株高と同調した円安感が強まって106円台中盤へ戻していた。9月5日午前、米中の通商協議再開が発表されたことで株高となり、為替市場もリスクオン心理が拡大、9月5日夜の米経済指標も軒並み良好だったためにドル円は続伸して5日深夜には107.22円まで高値を切り上げた。

中国外務省は劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官が5日午前に電話会談し、事務レベル協議と数週間以内(10月上旬)の閣僚協議で合意したと発表。米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した8月全米雇用報告において、非農業部門民間就業者数は前月比19万5000人増となり市場予想の14万9000人増を上回った。米サプライ管理協会(ISM)が発表した8月非製造業景況指数は56.4となり前月の53.7から上昇して市場予想の54.0を上回った。米労働省が発表した週間新規失業保険申請件数は21万7000件で前週比1000件増加して市場予想の21万5000件をわずかに上回ったが良好な状況を継続した。

米商務省が発表した7月の米製造業受注は前月比1.4%増で市場予想の1.0%増を上回った。NYダウは9月4日の前日比237.45高に続き5日は前日比372.68ドル高と大幅に続伸。株買い債券売りにより米10年債利回りは前日比0.09%上昇の1.56%となり、30年債利回りは0.08%上昇の2.05%で2%台を回復した。米長期債とともに買われて大幅上昇してきたゴールドは直近高値から50ドル近い急落、シルバーも1ドルを超える急落となるなど、貴金属市場はドル安進行にもかかわらず米長期債利回り上昇と株高を嫌気して大幅下落している。

【8月26日安値を軸とした逆三尊形成できるか? 米雇用統計次第】

8月26日朝安値104.45円から30日未明高値106.68円へ上昇し、いったん下げてから戻り高値を切り上げてきたため、60分足レベルでは8月26日からの上昇が二段上げ型に発展した。また米中双方が制裁・報復関税拡大を宣言したことで急落する直前の8月23日夜高値106.73円を超えた。
8月1日にトランプ大統領が対中国制裁関税第4弾を実施すると宣言したことからドル円は下落してきたが、8月6日に中間反発した時の高値が107.08円であり、今週の上昇でこれもわずかに超えてきた。このため、8月26日朝安値を頭、8月12日安値と9月3日深夜安値を両肩と見立てれば60分足、120分足レベルでは逆三尊を形成している印象が強まってきた。

107円台を維持できないで9月3日深夜安値を割り込んでしまえば、逆三尊といっても下げ途中での二段戻しを表した中段の逆三尊に過ぎず、二段戻り一巡から下げ再開に入る可能性が考えられる。しかし米雇用統計を通過して107円台中後半へ続伸するようなら107円前後にあった抵抗線を今度は支持線と変えて上昇期に入る印象が強まり、二段上げから三段上げへと発展してゆく可能性も出てくると思われる。
米雇用統計、週末から週明けにかけての米中や米連銀関連でのトランプ発言等によって8月26日安値からの上昇基調が継続するか、再び安値試しへ向かうのか決まってくると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、9月2日朝安値を3日深夜安値で割り込んだ時点では底割れによる新たな弱気サイクル入りとしていた。しかし、9月5日未明への上昇で9月2日夜高値を超えたために、5日朝時点では9月3日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りと改め、30日未明高値を起点として6日午前にかけての間への上昇を想定した。5日深夜へ続伸し、その後も107円前後での高値圏を維持しているためまだ上昇余地ありとみるが、前回サイクルトップから5日を経過しているので反落注意期と思われる。106.70円以上での推移なら上昇余地ありとするが、106.70円割れからはいったん弱気サイクル入りとして6日夜から10日夜にかけての間への下落を想定する。仮に一旦弱気サイクル入りしても米雇用統計後に反騰する場合は新たな強気サイクル入りとなる可能性ありとみるが、雇用統計から下落継続の場合は週明けへの続落警戒とする。

60分足の一目均衡表では4日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜き返したが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。遅行スパン悪化からは下げ再開警戒とし、先行スパン転落からは下げが加速しやすいとみる。ただしいったん遅行スパンが悪化しても6日夜以降に再び好転してくる場合は上昇再開とみる。

60分足の相対力指数は5日深夜高値形成時に80ポイント近くへ上昇しているが、5日の日中からの高値切り上げに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行はみられない。60分足26本移動平均ポイントを割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとするが、高値更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行発生の場合や50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.70円を下値支持線、9月5日深夜高値107.22円を上値抵抗線とする。
(2)106.70円を上回る内は一段高余地ありとし、107.22円超えからは107.50円、さらに上昇が加速する場合は107円台後半へ上値目処を引き上げる。107.50円以上は反落注意だが、107円以上での推移なら週明けも高値を試す可能性ありとする。
(3)106.70円割れからは106.50円前後試しを想定する。106.50円前後から切り返して107円を超える場合は上昇再開とみるが、106.50円割れからさらに続落の場合は106円試しへ下値目処を引き下げ、さらに週明けも続落注意とする。

【当面の主な予定】

9/6(金)
14:00 (日) 7月 景気先行指数CI速報値 (6月 93.3、予想 93.2)
14:00 (日) 7月 景気一致指数CI速報値 (6月 100.4、予想 100.7)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 -1.5%、予想 0.4%)
15:00 (独) 7月 鉱工業生産 前年同月比(6月 -5.2%、予想 -3.9%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前期比(前回 0.2%、予想 0.2%)
18:00 (欧) 4-6月期 GDP確定値 前年同期比 (前回 1.1%、予想 1.1%)
21:30 (米) 8月 雇用統計・非農業部門就業者者 前月比 (7月 16.4万人、予想 15.9万人)
21:30 (米) 8月 雇用統計・失業率 (7月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 8月 雇用統計・平均時給 前月比 (7月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 8月 雇用統計・平均時給 前年同月比 (7月 3.2%、予想 3.1%)
25:30 (米) パウエルFRB議長、講演(チューリッヒ)

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