ドル円見通し 乱高下一服、週明け朝への暴落幅は解消しきれずに戻り高値は切り下がり(8/28)

トランプ大統領による8月1日夜の中国に対する制裁関税第4弾発動宣言からドル円は下落に転じ、8月1日高値109.31円から8月12日安値105.04円まで下落した。

ドル円見通し 乱高下一服、週明け朝への暴落幅は解消しきれずに戻り高値は切り下がり(8/28)

【概況】

トランプ大統領による8月1日夜の中国に対する制裁関税第4弾発動宣言からドル円は下落に転じ、8月1日高値109.31円から8月12日安値105.04円まで下落した。13日に制裁関税の一部発動延期が表明されたことで106.95円まで急反発したが、勢いは続かずにその後は106.50円を挟んだ持ち合いが続いていた。
8月23日夜、ジャクソンホール会合でのパウエル米連銀議長講演待ちとなっていたところで中国が米国による対中国制裁関税第4弾発動に対する報復措置を宣言、トランプ大統領が中国の報復への対抗措置を発表するとしたことから再び急落となり、26日朝には104.45円を付けて今年1月3日以来の104円台に突入、2018年3月26日安値104.63円も割り込み、2016年11月9日のトランプ大統領誕生ショック時以来の安値水準となった。

23日夜から26日朝までの暴落幅は2.28円だったが、急落に対する利益確定や安値を追いかけ過ぎた売り方がダウ先物の反発や米長期債利回り低下一服をみて慌てた買い戻しに入ったためにV字反発となり、さらにG7参加中のトランプ米大統領が中国との電話協議合意への期待に言及したことから26日夜には106.37円まで切り返した。V字反発の幅は1.92円だったが、26日朝にかけての暴落幅を解消するまでには至らなかった。
27日は新たな手掛かりに乏しい中、中国外務省がトランプ大統領が言及したような米中での電話協議はなかったと否定したために米中問題解決への期待感が再び冷めたために夕刻には105.58円まで反落した。27日夜には米消費者信頼感指数が予想を上回ったところで106.06円まで戻す場面もあったが、その後は失速している。

6月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(全米主要20都市)は季節調整済みの前月比は横ばいで市場予想の0.2%上昇を下回った。前年比は2.1%上昇だったが予想の2.4%上昇を下回った。
米コンファレンス・ボードが発表した8月の消費者景気信頼感指数は135.1で前月の135.8から小幅低下したものの市場予想の129.5を上回った。

【米10年債利回りと2年債利回りが再び逆転】

NYダウは8月23日に623.34ドル安と今年4番目の大幅下落の後、26日は269.93ドルと戻したが、27日は120.93ドル安と反落した。7月16日に27398.68ドルの史上最高値を付けてから急落し、8月15日には25339.60ドルの安値を付けたが、8月5日以降は26000ドルを挟んだ乱高下状態での持ち合いが続いており、26日の反発も続かなかったために米中問題解決の兆しが見えないようだと持ち合いを下放れる懸念も強まるところ。

米10年債利回りは前日比0.07%低下の1.47%となり終値ベースでは2016年7月以来の低水準となった。2年債利回りは1.52%で10年債と2年債の利回りも再び逆転した。3か月物米財務省証券利回りと10年債利回りの長短逆転は67営業日連続で、両者の利回り格差は52ベーシスポイントまで開いたが、これは2007年以来12年ぶりの水準だという。

米30年債利回りは8月14日に初めて2%を割り込んでからいったん持ち直していたが、27日には再び2%を割り込んで1.95%へ低下した。米10年債利回りと2年債利回りの長短逆転も8月14日以来。株安不安の継続、景気後退を警戒させ米連銀に追加利下げを迫る状況の継続が米長期債利回りの低下傾向を継続させているが、世界的な金融緩和再燃の流れの中で主要国の長期債利回り低下傾向も継続しており、金利面でのクロス円における円高圧力は継続している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円60分足

ドル円は8月26日朝安値からV字反騰したが、直前の急落起点となった8月23日夜高値106.73円を超えられずに戻り高値は26日夜は106.37円、27日深夜も106.06円にとどまって切り下がりにある。暴落分を解消できずに戻り高値を切り下げ始めているため、もう一段階上へ切り返すような新たな押し上げ材料が出てこないと再び市場心理の悲観優勢となって26日朝安値試しへ向かいやすくなると思われる。

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは8月21日朝安値から3日目となる8月26日朝安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした。高値形成期は23日夜高値を基準とすれば28日夜から30日夜にかけての間と想定されるが、乱高下相場のために戻りは短命の可能性があり、すでに26日夜高値でサイクルトップを付けた可能性が考えられる。

105.50円を割り込まないうちは上昇余地ありとし、27日夜高値106.06円超えからはサイクルトップ形成への上昇継続とするが、105.50円割れから続落の場合は弱気サイクル入りの可能性を優先して29日朝から9月2日朝にかけての間への下落と26日朝安値試しを想定する。

60分足の一目均衡表では26日夜に遅行スパンが好転、27日未明には先行スパンも上抜いたが、26日夜以降の戻り高値切り下がりにより遅行スパンは再び悪化し、先行スパンへ潜り込んできている。105.50円割れからは両スパンそろって悪化となるので下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。27日夜高値超えからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ持ち合い型で推移している。60ポイント超えからは上昇再開とみるが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。

(1)当初、105.50円を下値支持線、27日夜高値106.06円を上値抵抗線とする。
(2)105.50円以上での推移中は106.06円超えから上昇再開として26日夜高値106.37円試しとし、さらに高値更新なら23日夜高値106.73円試しを想定するが106.50円以上は反落警戒圏として106円割れからは下げ再開とする。
(3)105.50円割れからは下げ再開と仮定して当初105円試しとする、105円割れではいったん買い戻しも入る可能性があるが、105円割れをスルーで下げる場合は26日朝安値割れへ進む可能性も高まると警戒する。

【当面の主な予定】

8/28(水)
15:00 (独) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 9.7、予想 9.6)
17:00 (欧) 7月 マネーサプライM3 前年同月比 (6月 4.5%、予想 4.7%)
25:20 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

8/29(木)
06:30 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁(FOMC投票権有)、ウェリントンで講演
10:00 (NZ) 8月 NBNZ企業信頼感 (7月 -44.3)
16:55 (独) 8月 失業者数 前月比 (7月 0.1万人、予想 0.4万人)
16:55 (独) 8月 失業率 (7月 5.0%、予想 5.0%)
18:00 (欧) 8月 経済信頼感 (7月 102.7、予想 102.3)
18:00 (欧) 8月 消費者信頼感確定値 (速報 -7.1、予想 -7.1)

21:00 (独) 8月 消費者物価指数速報値 前月比 (7月 0.5%、予想 -0.1%)
21:00 (独) 8月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (7月 1.7%、予想 1.5%)
21:30 (米) 4-6月期GDP改定値 前期比年率 (速報 2.1%、予想 2.0%)
21:30 (米) 4-6月期GDP個人消費改定値 前期比 (速報 4.3%、予想 4.3%)
21:30 (米) 4-6月期コアPCE改定値 前期比 (速報 1.8%、予想 1.8%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.9万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.4万人)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前月比 (6月 2.8%、予想 0.0%)
23:00 (米) 7月 住宅販売保留指数 前年同月比 (6月 -0.6%、予想 1.8%)

オーダー/ポジション状況

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