ドル円106円台を維持できず、米2ー10年債スプレッドの逆転(逆イールド)も重石に
海外時間の為替概況
27日の海外市場でドル円は上昇後に反落。@欧米株の上昇を背景にリスク回避ムードが後退したこと、A米・8月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果135.1、予想129.0)が市場予想を上回ったこと、B米・7月リッチモンド連銀製造業指数(結果+1.0、予想▲4)がプラスに転じたこと等が支援材料となり、NY時間にかけて、106.07まで上昇しました。
しかし、前日高値(106.32)をバックに戻り売りが強まると、C米10年債利回り低下(1.53%→1.47%)を受けたドル売りや、D米2年ー10年債利回りの逆転(逆イールド深化→米リセッション入り懸念)を背景としたリスク回避ムードの高まり、E米主要株価指数が反落し、前日比マイナス圏に転じたことなどが重石となり、結局105.70台まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は軟調な値動き。@ドイツ・第2四半期GDP改定値(結果▲0.1%、予想▲0.1%)が予想通りながらマイナス成長となったこと、AデギンドスECB副総裁より「長期的に低金利が続くだろう」とのハト派的な発言が見られたこと、B上記@Aを通じて「次回ECB理事会(9/12)における追加緩和観測→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の流れが強まったこと、C良好な米経済指標を背景にドル買いが強まったこと等が重石となり、NY時間午後にかけて、1.1086まで下げ幅を広げました。引けにかけて小反発するも上値は重く、結局1.1090前後でのクローズとなっております。
ドル円のテクニカル分析
ドル円は5営業日(8/16ー8/22)に亘る膠着状態の後、「保ち合い」→「下放れ」のトレンド転換が実現しました。足元強烈に下げ過ぎた(106.75→104.47)反動から持ち直す動きが動き(104.47→106.32)が見られるものの、@短期トレンドラインの下方ブレイク(添付チャートの赤線)や、A強い売りシグナルを表す「一目均衡表・三役逆転」、Bトレンドの方向性を示唆するボリンジャー・ミッドバンドを19営業日連続で下回っていること、C一目均衡表転換線を再度割り込み直したことなどを考慮すれば、ドル円はテクニカル的に見て「下落リスク」が大きいと判断できます。事実昨日のドル円は106円台を維持できず反落に転じました(106.07→105.70台)
また、ファンダメンタルズ的に見ても、@世界的な貿易戦争が世界的な通貨安戦争(利下げドミノ)に波及するリスクや、A米中貿易摩擦の激化(関税報復の応酬)、B米2年ー10年債利回りの逆転を受けた米リセッション入り懸念の高まり、Cイランやトルコ、香港や朝鮮半島、インドやパキスタンを巡る地政学的リスク、D世界経済の不安定化(ドイツ経済のリセッションリスク)、Eアルゼンチンやイタリアを巡る政局不透明感の高まりなど、ネガティブ材料は山積みです。F追加緩和の手札に乏しい日銀と、9月の大幅(50bp)利下げが3割程度織り込まれている米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円にはテクニカル面、ファンダメンタルズ面双方の影響から「下落圧力」が加わり易い状況が続くと考えられます。Gトランプ米大統領による連日の過激なツイート(FRBや中国に対する批判及びその他各国の通貨安批判など)もドル円の上値を阻む一因となりそうです。
本日は、米経済指標等のイベントに乏しい中、米中貿易摩擦を巡るヘッドラインや、トランプ米大統領のツイート、中国当局の発言に振らされる展開が見込まれます。ドル円が106円台を維持できず、反落に転じたことに鑑みれば、リスクは依然「下向き」と判断できます。米利下げ観測を背景とした「米長期金利低下→ドル売り」の流れと、米中貿易摩擦の激化を背景とした「株安→円買い」の流れは当面続くと見られ、当方では引き続き「ドル安・円高」地合いの継続をメインシナリオとして予想いたします。(本日の予想レンジ:105.00ー106.50)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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