ドル円週報 週明けに105円割れ、年初来安値が視界内に(週報8月第4週)

下落スピードの速いところは気掛かりだが、ドルの続落にも注意を払いたい。

ドル円週報 週明けに105円割れ、年初来安値が視界内に(週報8月第4週)

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円は、再びドル安・円高。週末にかけては、前回安値105.05円をうかがう局面も観測されている。

前週末は、香港情勢や貿易問題をめぐり米中の緊張関係継続が確認されたほか、複数の米メディアが「トランプ大統領、株急落で14日に米大手銀3トップと電話会議を実施」などと報じ、思惑を呼ぶなか、週明けの為替市場はオープンした。
ドル/円の前週末のNYより、やや円高水準である106.20-25円で寄り付いたのち、週末の東京時間までは揉み合い。今年2番目の週間小変動が意識される106.15-70円といったレンジ取引となった。しかし、週末のNY時間、注目のパウエルFRB議長講演や米中貿易戦争再燃懸念が高まったことなどを材料にドル売りが殺到。レンジ下限を割り込んだだけでなく、一気に週間安値105.26円まで値を崩している。そのまま週末NYも105.40円前後というドルの安値圏で取引を終え、越週した。

一方、週間を通した材料は、「米中情勢」について。
メインとなったものは、やはり「貿易」。22日には米NEC委員長が「21日に中国と電話で事務レベル貿易協議を実施した」と表明するなど、融和を期待させる発言が聞かれていたが、週末になり「中国が対米報復関税」を発表したことに対し、米国も即座に「対中関税を30%引き上げる」と発表している。また、貿易面以外でも「香港」や「台湾」をめぐり米中の対立が表面化。とくに「香港」については、トランプ氏が「天安門事件」という言葉を用い中国の行動をけん制するなか、中国サイドは「内政干渉」などと強く反発していた。

そのほか単発モノとして、週末に実施されるG7についてNHKが第一報を報じた「首脳宣言を出さない方向で調整が進められている」が物議を醸していた感を否めない。また、トランプ氏が発した「グリーンランド買収」発言や、韓国による「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄」、2日間の予定が一日延長され3日間実施された「日米貿易交渉の閣僚協議」なども、折につけ話題に。さらに、トランプ氏がFRBに利下げ圧力をかける発言を繰り返すなか、週末、ジャクソンホール講演でパウエルFRB議長は「景気の拡大を維持するため、適切に行動する」と述べ、追加の利下げに踏み切る可能性を示唆している。

<< 今週の見通し >>

前述したように、先週は週間を通して注目が目白押しのなか、最後の最後に相場の波乱要因となったのは、やはり米中関係。それも、下地として「台湾」や「香港」情勢があったものの、「貿易戦争再燃懸念」がトドメを刺した感を否めない。そんななか、ドル/円は先週末に死守していた105円台を週明けの取引でアッサリ割り込み、一時104.40円台まで下落している。ちなみに、筆者の使用しているデータでは年初来安値は1月3日に記録した104.10円となるのだが、そのレベルも視界内に捉えられてきた。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注視されている。それらすべてが要注意で、今週もお喋りトランプの発言などをめぐっては相場がたとえ一時的にせよ乱高下をたどっても不思議はないだろう。

ただ、もっとも気になるのは、前記した「米貿易問題」に「台湾」や「香港」情勢などを加えた広義の「米中関係」。26日まで実施される仏G7でも当然議論される問題だが、「首脳宣言を出さない方向」とされるなど、前向きな結論がでるとは到底思えない。むしろG7各国の足並みの乱れが露呈し、さらなる円高進行要因になるといった懸念の声も聞かれていた。


テクニカルに見た場合、今月12日に105.05円を示現後、107円前後までドルが急反発。ドルの下値トライはとりあえず失敗に終わった感があったものの、先週末にかけて再び下値リスクが高まりつつあるようだ。
さらに、週明け月曜日には12月安値105.05円を下回ると104円台に突入、1月3日に記録したドルの年初来安値が意識されている。下落スピードの速いところは気掛かりだが、ドルの続落にも注意を払いたい。

一方、材料的に見た場合、8月のダラス連銀製造業活動指数をはじめ、週間を通して重要な米経済指標が発表される予定となっており、そちらはまず要注意。トランプ氏からの「圧力」もあり、9月の米利下げ観測が強まりつつある状況下、それを後押しするような指標内容となるのか否か、その内容をしっかりと精査したい。
そのほかでは、26日まで実施される「G7首脳会談」をはじめとする様々な国際情勢にも注意を払いたい。米国ファクターばかりが目に付くものの、英国やドイツ、イタリアなど欧州各国が抱える不安要因も決して少なくないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、103.50-106.00円。ドル高・円安については、先週末までドルのサポートとして寄与していた106.10-20円の攻防に注目。上抜ければ106.70-80円や107円レベルなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、12日安値105.05円を下回り、104円台へ。104.10円の年初来安値が意識され、それも下回ると103円台突入の可能性も。(了)

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