ドル円見通し 106円中心前後1円幅の持ち合い継続中(8/20)

15日に106円を割り込むところまで下げた後はジリ高推移で19日夜には106.69円まで戻したが107円に届かない状況が続いている。

ドル円見通し 106円中心前後1円幅の持ち合い継続中(8/20)

【概況】

8月1日夜にトランプ大統領が中国への制裁関税第4弾発動を宣言し、さらに中国を為替操作国と認定して米中対立がエスカレートする中でドル円は8月1日高値109.31円から8月12日夜安値105.04円まで下落した。下げ幅は4.27円。13日夜に米国が第4弾の一部対象への発動を延期したことをきっかけにリスク回避感が弱まったことと105円割れ回避によるテクニカルな反発が重なって13日深夜に106.95円まで反騰したが107円台には届かなかった。15日に106円を割り込むところまで下げた後はジリ高推移で19日夜には106.69円まで戻したが107円に届かない状況が続いている。

8月19日は株高が進んだ。上海総合株価指数が前日比2.1%高、ドイツDAX指数が1.3%高、NYダウが249.78ドル高(0.96%高)と上昇した。中国人民銀行が企業の借り入れコスト軽減への金利制度改革を発表したことや、ドイツのショルツ財務相が最大500億ユーロの追加財政支出が可能だと述べたことで景気対策期待が広がったことや、米商務省が中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)と米企業との一部の取引猶予措置を3カ月延長すると発表したこと等が株高を支えた。また株高により債券が売られて米10年債利回りは前週末比0.05%上昇の1.61%と若干上昇した。これらはドル円には下支えとなった。
しかし米商務省は米国企業による輸出禁止取引先リストにファーウェイの関連会社46社を新たに追加して制裁を強化したため、米中問題の先行きは依然として不透明であるとの認識や米連銀による追加利下げ観測がドル円の上値を抑えた印象だ。

【ジャクソンホール講演待ち、米政権の利下げ要求も強まる】

8月23日にはジャクソンホールのシンポジウムでパウエル米連銀議長が講演を行う。7月末の前回FOMCで米連銀は利下げに踏みきったものの、あくまでも調整的な利下げであって継続的な利下げサイクル入りではないとの姿勢だった。しかしその後の情勢悪化により市場は9月17日からの次回FOMCでは追加利下げされることを確実視し、年末にかけてはさらに利下げが継続する可能性もあるとの認識を強めている。議長講演が利下げ継続姿勢を示すのか、調整的な利下げ効果を見定めるとして様子見的な消極姿勢を示すのかによってドル円の反応も変わってくるだろう。


米トランプ政権による追加利下げ要求も強まっている。トランプ米大統領は19日に米連銀は「短期間に少なくとも1%の利下げをすべきだ」とツイートし、「パウエル議長とFRBの甚だしい洞察力の欠如にもかかわらず米景気は非常に強い」と議長を批判し、「恐らくいくらかの量的金融緩和も必要だ」と述べている。

ロス米商務長官もFOXビジネス・ネットワークでドル高の影響についての質問に「FRBの金融政策によるドル高の度合いについて我々は非常に憤慨している」と述べている。
9月1日には米国による対中国制裁関税第4弾の発動も予定されている。一部は12月半ばまで発動が延期されているが中止されたわけではない。9月中には米中閣僚級の協議再開も計画されているものの8月末にかけての予定は見えず、協議再開へ向けてトランプ政権が対中強硬姿勢をアピールしやすい時期に入る。香港の大規模デモに対する中国本土側の対応へも注目があつまっている状況で中国への批判も出やすいと言える。これら米連銀の利下げ問題と米中対立問題が円高を助長するか、リスク回避感が後退して円安が進むのか、23日の議長講演から月末への動きで決まってゆくのだろうと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月12日夜安値から3日目となる8月15日安値でサイクルボトムをつけてジリ高推移している。前回のサイクルトップが13日深夜高値のため、今回の高値形成期は16日夜から20日深夜にかけての間と想定される。既にサイクルトップをつけての下落再開注意期にある。106円台を維持するうちは20日夜への上昇余地ありとみる。106.25円割れからは下げ再開注意、106円割れからは弱気サイクル入りと仮定して20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では16日の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜き、その後も両スパン好転が維持されている。遅行スパン好転中は高値試し優先だが、先行スパンから転落するところからは下げ再開とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は概ね50ポイント以上で推移しているが、ジリ高程度のために70ポイント台には届かず、指数のピークは19日夜から切り下がり気味となっているので50ポイント割れからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.25円を下値支持線、107.00円前後を上値抵抗線とみる。
(2)106.25円以上での推移中は上昇余地ありとみるが、8月6日高値107.08円、13日深夜高値106.95円、15日午後高値106.76円等がこの間の高値であり、106.75円以上は反落注意圏と思われる。107円超えから続伸の場合は107.25円まで上値目処を引き上げるが、107円台に乗せても維持できずに106.70円割れへ崩れるところからは下げ再開を疑う。
(3)106.25円割れを弱気転換注意として106円試しとし、106円割れからは弱気サイクル入りと仮定して105.70円前後への下落を想定する。リスク回避系の材料を伴って急落商状の場合は105円台前半まで下値目処を引き下げる。また106円以下での推移が続く内は21日の日中へ安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/20(火)
10:30 (豪) 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
15:00 (独) 7月 生産者物価指数 前月比 (6月 -0.4%、予想 0.0%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 -0.3%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 2.0%)

8/21(水)
日米貿易交渉の閣僚協議(22日まで、ワシントン)
07:00 (米) クオールズFRB副議長、講演
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (6月 527万件、予想 540万件)
23:00 (米) 7月 中古住宅販売件数 前月比 (6月 -1.7%、予想 2.5%)
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

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