<< 東京市場の動き >>
8日の東京市場は、レンジ取引。106円前後ではかなりの底堅さがうかがえるものの、上値も重く106.30円レベルまで。明確な方向性はうかがえなかった。
ドル円は106.20-25円で寄り付いたものの、積極的な動意に欠ける値動き。本邦勢は盆休みなどをにらんだ時期に差し掛かるなか、日米株価の動きに一喜一憂となったが、その株価も決め手に欠けた。結局、106.00-30円といった30ポイント程度のレンジ取引に終始すると、16時時点では106.10-15円で推移、欧米時間を迎えている。
なお、そうしたなか中国人民銀が発表した人民元の設定レート、対ドル中心レートは「1ドル=7.0039元」。2008年以来の7元台だった。
一方、材料的に注視されていたものは、「中国情勢」について。
米国との貿易戦争激化が取り沙汰されるなか、中国国家外為管理局が「米国による為替操作国の認定は根拠がなく事実に反する」と改めて反論を行っていた。また、中国高官が香港デモについて「中央政府は決して座視しない」と述べ、軍の投入を含む介入の可能性に言及したこと、中国人民銀行が、インターネット上で拡散した「人民銀が利下げを行う」との噂について否定すると同時に警察へ調査を要請したことを明らかにしており、それぞれ話題になっている。なお、本日発表された7月の中国貿易収支は、市場予想を上回る好数字だった。
そのほか単発モノとしては、幾つかの要人発言がクローズアップされている。たとえばトランプ米大統領は「FRBは大幅で速やかな利下げを行うべき」と指摘し、改めて金融緩和を迫っていたほか、麻生財務相からは「株価と為替、著しく変動するのは経済に良くない」などとした口先介入が本日も聞かれていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
やや荒っぽい展開をたどっていた為替市場が一息つくなか、日米を中心とした株価などほかの金融市場もようやく落ち着いてきた感がある。たとえば、NYダウは昨日の欧米時間、序盤に600ドル近い下げをたどったものの、そののち下げ幅を急縮小させてきた。徐々に、次の材料待ちの色合いが濃くなり、ドル円も再びレンジ取引の様相を強める可能性がありそうだ。ただし、日本勢が盆休みを意識する時期に入ってくるなか、「薄商い=荒れ模様」の展開にも注意を払いたい。
材料的に見た場合、「北朝鮮情勢」や「イラン情勢」のほか「米貿易問題」、「米金融政策」などが依然として注目されている。そのいずれも要注意だが、とくには後者の2つ、「米貿易問題」と「米金融政策」か。うち「米貿易問題」は米国内から対立激化を懸念する論調が数多く見られるようになってきたこと、対して「米金融政策」は、先でも指摘したようにトランプ氏が連日のようにFRBに対するプレッシャーを掛け続けており、発表される米経済指標の内容如何ではその論調が正当化されることにもなりかねない。いずれにしても、本日も関連発言や報道には一応要注意。
テクニカルに見た場合、6日に記録した107.11円でドルは目先高値を示現した反面、下値についても昨日安値105.50円が当面の底になったのかもしれない。つまり、広くとれば105.50-107.11円のレンジ、ザックリ言えば106円台を中心とした一進一退がしばらく続く可能性もある。ただ、薄商いになっているだけに、一旦動意づくと大きく動くリスクがあることも頭には入れておきたい。
一方、材料的に見た場合、6月の卸売在庫など幾つかの米経済指標が発表されるものの、それほど注目度は高くなく、基本的にはノーインパクトか。ただ、米財務省による30年債の入札などが実施される見込みで、そちらについては注意しておきたい。
また、米国の影に隠れがちだが、連日首相や閣僚が「10月のEU離脱」説を明言している英国を中心に、政権不安が指摘され始めたスペインなど、欧州関係の動きも気になる要因は少なくない。
そんな本日欧米時間のドル円予想レンジは、105.70-106.60円。ドル高・円安方向は、時間足ベースなどでは目先抵抗として意識されつつある106.30-40円の攻防にまずは注目。上抜けば、6日高値の107.11円などがターゲットに。対するドル安・円高方向は、本日東京でしっかりと割り込めなかった106円前後が最初サポート。割り込んだ場合には、昨日安値105.50円が意識されそうだ。
ドル円時間足(8日17時時点)
オーダー/ポジション状況
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