ドル円見通し 7月10日高値を上抜き、109円台に乗せる(8/1)

FOMC声明発表後に反騰で108.99円をつけて7月10日高値108.98円をわずかに上抜いた。

ドル円見通し 7月10日高値を上抜き、109円台に乗せる(8/1)

【概況】

7月30日午前高値で108.94円をつけて7月10日高値108.98円に迫った後は8月1日未明のFOMC結果を見定めたいとしてポジション調整的に売られて30日夜には108.44円まで下げた。31日の日中から1日未明にかけてはFOMC待ちで108.50円台を中心とした小幅レンジでの横ばいを続けてきたが、FOMC声明発表後に反騰で108.99円をつけて7月10日高値108.98円をわずかに上抜いた。
上昇一巡でいったん下げたが、1日午前は再び買い優勢となって109円を超えてきている。

米連銀はFOMCで政策金利を0.25%引き下げた。また今年9月末に予定していた保有資産の圧縮終了を7月末へ2カ月前倒しした。利下げはリーマン・ショック直後の2008年12月以来10年7カ月ぶり。
0.25%の利下げは市場の予想通りだったが、保有資産圧縮終了の前倒しは予想外だった。発表直後は利下げ幅が予想通りの小幅だったことでドル高反応となり、その後が声明や議長会見発言等で若干の乱高下となったが、小幅な利下げに止まったことでNYダウが一時480ドルを超える下落となる等株安を意識してドル円の上値は抑えられて1日未明時点では109円超えには至らなかったが、その後に超えてきている。
NYダウは前日比333.75ドル安で終了。株安債券高により米10年債利回りは2.0075%で前日比0.054%低下した。

米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が発表した7月の全米雇用報告では非農業部門民間就業者数(季節調整済)は前月比15万6000人増となり市場予想の15万人増を上回った。6月分は10万2000人増から11万2000人増に上方修正された。
7月のシカゴ 購買部景況指数(シカゴPMI)は44.4となり前月の49.7から低下、好不況の分岐点とされる50を2カ月連続で割り込んだ。
米中の閣僚協議は北京での日程を終えた。9月に米国で再び協議を開くとし、中国の農産物購入等も話し合われたようだが特段の成果強調は見られなかった。

【FOMC政策発表と議長会見】

(1)政策金利を年2.0〜2.25%に引き下げ。
(2)「成長持続へ適切に行動」として追加利下げを示唆。
(3)先行き見通しについては「不確実性が残る」とした。
(4)2カ月前倒しで保有資産圧縮を7月末停止する。
(5)パウエル議長「世界経済減速と貿易摩擦、インフレ低迷に対応した」
(6)パウエル議長「利下げは景気拡大期における政策の微調整」であり「長期の利下げ局面の始まりではない」
(7)パウエル議長、「政策決定で政治を全く考慮しない」

米連銀の金融政策発表後、トランプ大統領は「パウエル議長は我々を落胆させた」「市場が望んでいたのは長期にわたる大胆な利下げの開始だ」とツイッターで批判した。

FOMC声明では「景気拡大の持続へ適切な行動を取る」と強調して追加利下げの可能性を示唆したため、市場では今後2回ないし3回の利下げがあり得るとの見方もあるが、早期の追加利下げ期待や米連銀が大胆な緩和姿勢を強めてゆくという期待については過剰だったとしてドル高反応へ向かった。特にパウエル議長が会見で「長期的な利下げ局面の始まりではない」と発言したことが響いた。
ドル高反応においては特にユーロドルでのユーロ安ドル高が顕著だった。
EU統計局が31日に発表した第2四半期のユーロ圏GDP速報値が前期比0.2%増と前期の0.4%から鈍化したことや7月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が17か月振り低水準だったことでECBによる9月会合での利下げ及び緩和拡大予想が広がった中でFOMCからドル高が加速する状況だった。独10年債利回りは過去最低のマイナス0.438%まで低下している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月24日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして29日から31日にかけての間への上昇を想定していたが、30日午前高値からの反落で108.50円を割り込むところまで下げたために31日午前時点では30日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。またボトム形成期を8月1日未明にかけての間とし、FOMCから反騰入りして7月30日高値を超えれば新たな強気サイクル入りとした。1日午前に一段高となっているため30日夜安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとする。トップ形成期は8月2日午前から6日午前にかけての間と想定する。イベント後の急騰のために反動安も大きい可能性があるが、109円を割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとし、108.70円割れからは弱気転換注意として30日安値108.44円試しを想定する。

60分足の一目均衡表では1日未明の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンも突破している。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。弱気転換は両スパン揃って悪化するところからとする。

60分足の相対力指数は1日午前の上昇で80ポイントに到達しており目先的な買われ過ぎ警戒だが、相場が一旦反落した後に立高値を更新する中で指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるか、60ポイント割れへ急降下するような状況にならない内は高値試しを続けやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、109.00円から108.70円にかけてのゾーンを下値支持帯、109.50円を上値抵抗線とみる。
(2)109円台を維持するか、一時的に割り込んでも切り返す内は上昇余地ありとして109.50円台を目指すとみる。4月24日高値から6月25日安値への下げ幅に対する半値戻しが109.57円であり、109.50円以上は反落注意圏と考える。
(3)109円割れから続落の場合は108.70円台への下落を想定する。108.70円割れからは弱気転換注意として30日安値108.44円試しを想定するが、108.50円割れでは買い戻しも入りやすいとみる。

【当面の主な予定】

8/1(木)
休場 スイス
10:30 (豪) 4-6月期 輸入物価指数 前期比 (前期 -0.5%)
10:45 (中) 7月 財新製造業PMI (6月 49.4)
16:55 (独) 7月 製造業PMI改定値 (速報 43.1)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI改定値 (速報 46.4)
17:30 (英) 7月 製造業PMI (6月 48.0、予想 48.0)

20:00 (英) イングランド銀行(BOE)金利発表 (現行 0.75%、予想 0.75%)
20:00 (英) 英中銀資産買取プログラム規模 (現行 4350億ポンド、予想 4350億ポンド)
20:00 (英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨、四半期物価報告
20:30 (英) カーニー英中銀(BOE)総裁、発言
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.6万人)
22:45 (米) 7月 製造業PMI改定値 (速報 50.0)
23:00 (米) 7月 ISM製造業景況指数 (6月 51.7、予想 52.0)
23:00 (米) 6月 建設支出 前月比 (5月 -0.8%、予想 0.5%)

オーダー/ポジション状況

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