FRB10年半ぶりの利下げ実施、追加利下げ期待は大幅に後退
未明に公表されたFOMC(米公開市場操作委員会)後の金融政策で、FRBは米政策金利を0.25%引き下げる決定を明らかにしました。また、バランスシートの縮小による量的引き締めも2カ月前倒しで8月1日に中止するとしています。政策金利の引き下げ幅は市場予想通りでしたが、一部で0.5%の利下げ実施を期待する向きがあったこと、公表後のパウエル議長の記者会見で議長が今回の利下げについて、「長期緩和サイクルのスタートとは考えていない」などと発言したことから、公表後は先行きの金利先安感が大幅に後退する形となりました。
ドル円は一時109.00まで上昇、ユーロドルは1.1060まで下落するなど為替市場ではドル買いが進み、株式市場ではNYダウが一時400ドル超下落する動きとなりましたが、その後パウエル議長が「利下げが一回きりとか言っているわけではない、長く続く金利引き下げのはじまりではないといっているだけだ」と説明したことから各市場ともそれ以上のオーバーシュートとはなりませんでした。また、米長期金利も乱高下はしたものの10年もの国債利回りで2%台を保っており、従来のレンジ内での動きにとどまりました。
しかしながら、市場の「0.25%の利下げと強く匂わせる追加緩和継続感」との予想は、パウエル議長の、従来どおり今後の金融政策はあくまでもデータ次第との姿勢と、上記の「長期利下げサイクルの始まりではない」との発言に裏切られた形となりました。また、利下げ自体に2名の参加者が反対していたこともあって、結局NYダウは333ドルの大幅安で引けています。
これに対してトランプ大統領はツイッターで「市場が議長から聞きたかったのは長期でアグレッシブな利下げサイクルの開始だ」「パウエル議長はいつもわれわれを失望させる」などと批判。一方で「しかし少なくとも量的引き締めを彼は終了させた、もっとも最初からやるべきじゃなかったのだが」と一定の安堵感も示したものの、最後は「それにしてもFRBはちっとも役に立たない」と結んでいます。
今回の一連の決定を受けて市場の9月の利下げ確率は前日までの100%(今回0.5%引き下げのケースを含む)から56.5%に大きく後退しています。一方ドル円は109.00で頭を抑えられたことから、本日本邦株式市場も軟調が予想されること等考えれば、一旦上昇は止まる可能性が高いものと思われます。
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