ドル円、タカ派寄りのFOMCで急伸するも109円を抜けきれず失速。
海外時間の為替概況
31日の海外市場でドル円は急伸後に伸び悩む展開。NY時間序盤に発表された米7月シカゴ購買部協会景気指数(結果44.4、予想51.0)は冴えない結果となるも(※2015年12月以来の低水準)、米FOMC(連邦公開市場委員会)を前に手控えムードも根強く、ドル円への影響は限定的となりました。注目された米FOMCでは、@FF金利の25bpの利下げ(結果2.00%ー2.25%、前回2.25ー2.50%)、A8/1付けでのバランスシート縮小の終了(従来から2ヶ月前倒し)が決定されましたが、一部で50bpの利下げを織り込む動きが根強かったことや、利下げ決定が8対2(カンザスシティー連銀ジョージ総裁と、ボストン連銀ローゼングレン総裁が据え置きを主張)で票割れしたこと、追加利下げを示唆する強いメッセージが見られなかった等が「ややタカ派的」と受け止められ、為替市場では直後より「ドル買い」圧力が強まりました。
その後も、パウエルFRB議長による「利下げは下方リスクに対する保険として実施」「米経済の見通しは依然として良好」「今般の利下げ決定は利下げサイクルの開始とは異なる(It’s not the beginning of a long series of rate cuts)」等の発言が支援材料となり、ドル円は一時109.00まで急伸する場面も見られました。もっとも、心理的節目109円前後では戻り売り意欲も根強く、伸び悩むと、パウエルFRB議長による、「一度きりの利下げとは言ってはいない(I didn’t say it’s just one)」との火消し発言や、米主要株価指数の急落、米長期金利の低下が重石となり、引けにかけては108.70台まで押し戻されてのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は急反落。欧州時間に発表されたユーロ圏第2四半期GDP(結果1.1%、予想1.0%)は市場予想を上回る結果となりましたが、同時に発表されたユーロ圏7月コアHICP(結果0.9%、予想1.0%)が低い伸びに留まると、「ECBによる追加緩和観測→欧州債利回りの低下→ユーロ売り」の波及経路で、上値を切り下げる展開となりました。NY時間午後にかけては、米FOMC後のドル買いが重石となり、2017年5月以来、約2年2ヶ月ぶり安値となる1.1061まで急落しております。
ドル円のテクニカル分析
タカ派的なFOMCを受けても尚109円丁度を突破できなかった事で、テクニカル的にみて「上値の重さ」が意識されます。このまま109円トライ失敗で反落に転じた場合、6/25安値106.78→7/10高値108.98→7/18安値107.20→7/31高値109.00を起点としたダブルトップが意識されることから、サイクル的にもややダウンサイドリスクが警戒されつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、30日-31日にかけて行われた米中の閣僚級通商協議で双方は「建設的だった」と評価しつつも前進を期待させる好材料は出てきませでした。イランやトルコを巡る地政学的リスクや、英国での合意なき離脱リスクの高まりなど不安材料は山積みです。更に、緩和カードの手札に乏しい日本と、2008年以来の利下げに踏み切った米国との金融政策格差は明らかであり、ドル円には当面下落圧力が加わり続けると予想されます。本日は米7月ISM製造業景気指数など、一連の米経済指標の結果を睨みながらも、ドル円の反落リスクに警戒が必要です。前日安値108.49を割り込めば、ロングのロスカットを巻き込む形で、ドル安・円高が一気に進行する恐れもあり、ダウンサイドリスクを念頭に置いたトレードが必要となりそうです。(予想レンジ:108.25ー109.25)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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