ドル円見通し 107円割れ回避で戻すも108円台を維持しきれず、高値切り下がりの範囲(7/23)

22日夜は欧米の主要経済指標発表もなかったために手掛かり難で伸びず、ややジリ安での推移に止まった。

ドル円見通し 107円割れ回避で戻すも108円台を維持しきれず、高値切り下がりの範囲(7/23)

【概況】

7月10日の米連銀パウエル議長による下院議会証言での利下げ積極姿勢からドル円は下落に転じ、7月10日高値108.98円から7月19日安値107.19円まで下げた。この間の下げ幅は1.79円。19日朝への急落はNY連銀総裁講演でゼロ金利問題への言及があったとしてドル安が進んだためだったが、学術的発言に対する過剰反応だったとしてその後の反発のきっかけにもなった。週明け22日午前には108.06円まで戻したが、その後は新たな高値更新へ進めず、22日夜は欧米の主要経済指標発表もなかったために手掛かり難で伸びず、ややジリ安での推移に止まった。

【米連銀の利下げ問題、イラン情勢、米中問題】

米連銀の利下げ問題については7月30-31日のFOMC待ちに入っている。利下げはほぼ確実視されているが、利下げ幅は0.25%とみられる。利下げ幅が0.5%ならドル円にとっては弱気サプライズ。0.25%でも年内の追加利下げ姿勢が強調される場合は下落基調を継続する可能性があるが、利下げ見送りならドル高再燃でサプライズ的な上昇となる可能性もある。0.25%利下げでも当面は様子見という場合はいったん下落した後に材料の出尽くしとして上昇反応となる可能性も考えられる。週末の米GDPが弱い場合は利下げ催促の下落、強めの数字なら先走った下落となりやすいと思われる。

トランプ米大統領は利下げ問題について22日に「FRBは政策運営にひどく失敗した。二度と誤るな」「FRBが間違ったせいで米国は他国よりもはるかに高い金利の支払いを必要以上に強いられている」「量的引き締めが続くと米国が競い合うのがより難しくなる」「今動けばコストは低く生産的だ」とツイッターで圧力をかけている。これだけ圧力がかかるとパウエル議長も利下げせざるを得ないだろうが、やはり問題は利下げ政策や量的緩和再開等へより踏み込んでゆくかどうかという事だろう。

利下げ問題の他、米中協議動向やイラン情勢も気になるところだ。米国はイラン産原油を輸入したとして中国の石油会社への制裁発動を発表した。一方でイランは米CIAの訓練を受けたスパイネットワークに関与している疑いがあるとして17人を逮捕、複数に死刑を宣告し、トランプ米大統領はこれを非難している。ホルムズ海峡防衛の有志連合についての関係国協議も始まり、英国によるイラン制裁検討も報じられている。
米中通商協議については次官級ないし閣僚級協議再開へ向けた電話協議が行われており、トランプ大統領はうまく行っていると述べたが、まだ具体的な進展や予定が立ったわけでもなく、楽観的な状況だけでもない。ワシントン・ポスト電子版は22日に「中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が少なくとも8年間秘密裏に北朝鮮の携帯電話網整備や維持に協力していたことが分かった」と報じた。事実ならファーウェイは部品の一部に米国の技術を利用しているために米政府の輸出規制指針に違反していたことになる。

【60分足一目均衡表。・サイクル分析】

【60分足一目均衡表。・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月19日朝安値を直近のサイクルボトムとして反騰した。今回の高値形成期は7月17日未明高値を基準として22日未明から24日未明にかけての間と想定される。107.75円以上での推移中は22日午前高値108.06円を超えて高値を試す可能性ありとみるが、既に17日未明高値から4日を経過しているのでサイクルトップをつけての下落期に入りやすい時間帯と思われるため、107.75円割れからは弱気転換注意、107.60円割れからは弱気サイクル入りと仮定して次の安値形成期となる24日朝から26日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では22日朝への上昇で遅行スパンが好転、先行スパンも上抜いた。22日朝高値超えへ進めば遅行スパン好転も維持されるので高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からは弱気転換注意とし、先行スパン転落からは弱気サイクル入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は22日に60ポイント台へ上昇した後、いったん50ポイントを割り込んだが切り返している。22日朝高値を上抜いて相場が高値切り上げに入った場合、指数のピークがほぼフラットなら弱気逆行型となるため、その後に45ポイント割れへ下降するところからは下げ再開を疑う。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、107.75円を下値支持線、22日朝高値108.06円を上値抵抗線とみておく。
(2)107.75円を上回る内は上昇余地ありとし、108.06円超えからは108.20円前後、さらに17日未明高値108.37円手前を試す可能性ありとするが、108.20円以上は反落警戒とみる。また23日夜へ上昇の場合、深夜以降は時間帯的に反落警戒と考える。
(3)107.75円割れからは下げ再開を疑い、107.60円割れからは先行スパンからの転落となるため弱気サイクル入りとして19日安値107.19円試しへ向かう流れに入るとみる。また107.60円以下での推移が続く内は24日の日中も安値を試しやすいとみる。

【当面の主な予定】

7/23(火)
英保守党が新党首発表
22:00 (米) 5月 住宅価格指数 前月比 (4月 0.4%、予想 0.4%)
23:00 (米) 7月 リッチモンド連銀製造業指数 (6月 3、予想 5)
23:00 (欧) 7月 消費者信頼感・速報値 (6月 -7.2、予想 -7.2
23:00 (米) 6月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (5月 534万件、予想 535万件)

7/24(水)
07:45 (NZ) 6月 貿易収支 (5月 2.64億NZドル、予想 1.00億NZドル)
14:00 (日) 5月 景気一致指数(CI)・改定値 (速報 103.2)
14:00 (日) 5月 景気先行指数(CI)・改定値 (速報 95.2)
16:30 (独) 7月 製造業PMI (6月 45.0、予想 45.2)
16:30 (独) 7月 サービス業PMI (6月 55.8、予想 55.2)
17:00 (欧) 7月 製造業PMI (6月 47.6、予想 47.6)
17:00 (欧) 7月 サービス業PMI (6月 53.6、予想 53.3)
22:45 (米) 7月 製造業PMI (6月 50.6、予想 51.0)
22:45 (米) 7月 サービス業PMI (6月 51.5、予想 51.8)
23:00 (米) 6月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (5月 62.6万件、予想 65.8万件)

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