テクニカルポイント総復習(週報2016年5月第二週)

円急騰後の踊り場形成局面

テクニカルポイント総復習(週報2016年5月第二週)

前週の主要レート(週間レンジ)

     始値     高値    安値    終値

ドル円  106.44   107.50    105.55   107.12
ユーロ円 122.00   123.25   121.48   122.17
ユーロドル 1.1461  1.1616   1.1386   1.1405
日経平均 16357.10 16357.10   15975.47 16106.72

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

前週の概況

5月2日(月)

前週の日銀会合後の余波からドル円は上値の重たい展開を続けましたが、東京市場はゴールデンウィークの間で参加者も少なくほとんど動かず。海外市場も様子見の流れとなり動意の無い一日でした。

5月3日(火)

アジア市場では豪中銀が予想に反して1.75%へと0.25%の利下げを行ったことから豪ドルが対ドル、対円で急落。豪ドル円の売りがきっかけとなってドル円も大幅安、欧州市場が始まる頃には105.55レベルの安値を付けました。ユーロドルもドル円のドル売りの動きに引っ張られて1.1616レベルの高値を付けましたが、どちらもドル安値となって自律反転する動きとなりました。

5月4日(水)

あまり目立った動きは無く、前日にドル安値を付けた動きの後の調整となりましたが、東京市場休場が続き参加者が少ないこともあって、ドル円は上下ともに振れやすい展開。NY市場に入り発表されたADP全国雇用者数が弱かったことから下押しする場面も見られましたが、すぐに戻し高値圏での引けとなりました。

5月5日(木)

欧州市場でユーロドルに売りが入り、その動きからドル円も買い戻しが進み107.50レベルの高値を付けました。しかし、ユーロ売りの動きは対円でも見られたことから、ドル円は106.80レベルまで押しが入り、引けにかけては翌日の雇用統計を前に107円台前半に戻す動きとなりました。

5月6日(金)

東京勢はGWの間ということもあって動意薄。そうした中、豪中銀の発表した四半期金融政策報告がきっかけとなり3日に続いて豪ドルが下落、ドル円も連れ安の展開となりました。その後も、弱い株価も手伝って雇用統計を前にドル円はじり安となり、雇用統計も予想よりも弱い結果に一時106.44レベルまで下落。しかし、NYダウが雇用統計直後の安値から切り返し、引けにかけては買いが強まったこともあってドル円は107円台を回復しての引け。ユーロドルは、ドル円と同様の足取りをたどったものの値幅は狭く、結果としてユーロ円は安値121.48レベルまで下げた後に122円台前半へ戻して引けました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。

5月9日(月)
08:50 日銀金融政策決定会合(3月14・15日)議事要旨公表
15:00 ドイツ3月製造業受注
18:10 (シカゴ連銀総裁講演)
23:00 米国4月労働市場情勢指数
26:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
**:** ユーロ圏財務相会合

5月10日(火)
10:30 中国4月CPI、PPI
15:00 ドイツ3月鉱工業生産
17:30 英国3月貿易収支
23:00 米国3月卸売在庫

5月11日(水)
08:00 NZ中銀総裁会見
17:30 英国3月鉱工業生産、製造業受注
23:30 米国週間原油在庫発表
27:00 米国4月財政収支

5月12日(木)
07:30 NZ4月企業景況感
08:50 本邦3月貿易収支
08:50 日銀金融政策決定会合(4月27・28日)主な意見公表
20:00 英中銀MPC結果発表、四半期インフレ報告公表
20:00 南ア3月製造業生産
21:30 米国4月輸入物価指数
21:30 米国新規失業保険申請件数
24:00 クリーブランド連銀総裁講演
24:45 ボストン連銀総裁講演
26:30 カンザスシティ連銀総裁講演

5月13日(金)
07:45 NZ1〜3月期小売売上高
12:30 黒田日銀総裁講演
15:00 ドイツ1〜3月期GDP速報値
15:00 ドイツ4月CPI確報値
17:00 イタリア1〜3月期GDP速報値
18:00 ギリシャ1〜3月期GDP速報値
18:00 ユーロ圏1〜3月期GDP改定値
21:30 米国4月小売売上高
21:30 米国4月PPI
23:00 米国5月ミシガン大消費者信頼感指数速報値
23:00 米国3月企業在庫

5月14日(土)
 07:25 (サンフランシスコ連銀総裁講演)
14:30 中国4月小売売上高、鉱工業生産

今週の週間見通し

先週は東京市場は3連休、実質的に月曜と金曜も東京市場の参加者はGWの間ということから、やる気のない一週間となっていた様子です。そうした中、連休中の3日には豪中銀の予想外の利下げをきっかけに105.55レベルの安値を示現し、直前の安値を更新することとなりました。この105.55レベルは市場参加者がターゲットとしていた105円台前半とかなり近く、いったん達成感が出たことは間違いありません。

今週はテクニカルな観点からこれまでの振り返り総復習、そして今後の展開について考えてみましょう。

これまでにも何度も使ってきた週足チャートですが、ネックラインの高さを最大限に取った例で説明します。

              ドル円週足

              ドル円週足

左端のほうから見ていきましょう。2014年10月の黒田バズーカ#2直前の安値が105.22レベルで黒田バズーカ#2がきっかけとなり、12月には121.84レベルの高値を付ける16円を超える円急落相場となりました。

そして2015年には高値125.86レベルへと更なる円安相場となりましたが、125円台では円安警戒感も膨らむ中、8月のチャイナショック、そして12月の日銀による補完措置という名の身に緩和で125円台の高値が確定。2016年1月のマイナス金利導入をきっかけに、1年強かけて形成したリバーサルパターンのネックライン115.45レベルを割り込んだことで、リバーサルパターンの完成を見ることとなったわけです。

1月マイナス金利導入前の年初来高値が121.70レベルと2014年黒田バズーカ#2後の高値121.84レベルとほぼ一致し、チャートパターンとしてはかなり綺麗なリバーサルパターンです。すると当然、テクニカルを参考にする市場参加者はターゲットを求めることになりますが、それが105.04レベル。この水準もまた黒田バズーカ#2直前の安値105.22レベルと一致を見ていることも105円台前半を目指す結果へとつながりました。

3日安値は105.55レベルと若干の未到達ではありますが、2014年第4四半期以降の長期の展開を考えるならばほぼ誤差の範囲内と言って問題ありません。その後、ここまでの反発は、こうしたテクニカルなターゲット達成後の自律反転と言えます。となると、次はこの戻しはどこまでか?ということを計算することとなります。

ここでは、日足チャートをご覧ください。

4月日銀会合直前の高値111.88レベルは中期的には超えられないはるか彼方のレジスタンスという見方で良いかと思います。これは、昨年12月以降の円高のきっかけがことごとく日銀会合後の動きとなっていて、かつその水準を超えられない流れが続いていることから、明確な反転が起きない限り今回も高値となると考えられるためです。

であれば、この111.88レベルと105.55レベルからの戻しを計算してあげることが妥当で、チャートにも示してある通り半値が108.72レベルとなります。今週から来週にかけての戻しの限界点としては108円台後半を目安にするとよいということが、テクニカルな観点からは出てきます。

そして、この戻しを仮に超えることがあっても日銀会合前の高値111.88レベルを超えられない限り長期的な円高トレンドには変化が無く、更なる下値として、全輸出産業採算レート「103.20」(内閣府発表)、史上最円高値75.58レベルと昨年高値125.86レベルとの半値「100.72レベル」を再び目指しに行く流れということになります。

話を今週に戻すと、今週のドル円は、106.30レベルをサポートに、108.60レベルをレジスタンスとする見通しとしておきます。

ドル円(日足)チャート

ドル円(日足)チャート

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。

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