ドル円見通し 再び108円割れで7月10日からの戻り高値切り下がり続く(7/18)

17日夜の米住宅統計が予想を大幅に下回ったことからドル安が再燃、NYダウが続落、米10年債利回りも大幅低下となったためにドル円は108円を再び割り込んだ。

ドル円見通し 再び108円割れで7月10日からの戻り高値切り下がり続く(7/18)

【概況】

ドル円は7月10日夜の米連銀パウエル議長の下院議会証言から反落に転じ、7月11日昼には107.85円まで下落、12日午前高値108.60円まで戻したものの13日未明には11日昼安値を割り込んだ。週明け15日午前も107.77円まで安値を若干切り下げ、16日午前も107.81円を付ける等安値圏での推移だったが、16日は英ポンド安やユーロ安、さらに米小売統計が良好だったことでドル高となり、ドル円は17日未明に108.37円まで戻した。
しかしその後は米中対立への懸念が再び強まる中で新たな高値更新へは進めずに108.20円台を中心として膠着状態。17日夜の米住宅統計が予想を大幅に下回ったことからドル安が再燃、NYダウが続落、米10年債利回りも大幅低下となったためにドル円は108円を再び割り込んだ。
7月10日高値108.98円の後は12日高値108.60円、17日未明高値108.37円と高値が切り下がりとなっている。15日午前安値の後は新たな安値更新には至っていないが、高値切り下がり後の安値更新へ進みやすい状況に入ってきている印象だ。

【米住宅着工の悪化、米中対立、利下げ観測による円高圧力】

米商務省が7月17日夜に発表した6月の住宅着工件数は季節調整後の年換算で125万3000戸となり前月比0.9%減少した。マイナスは2カ月連続で先行指標となる住宅着工許可件数は122万戸となり前月比6.1%減少と大きく悪化した。市場予想は着工件数が126万1000戸、許可件数が130万戸だった。米経済指標の悪化は米連銀の利下げ判断に寄与するものとして米長期債利回り低下を招き、金利面での円高ドル安圧力となった。

7月16日にトランプ米大統領が中国との貿易協議が進まなければ中国からの輸入品ほぼ全てに追加関税を拡大する第4弾の発動もあり得ると表明したことで米中摩擦問題への先行き懸念が再び強まったことも円高圧力となっている。トランプ大統領は16日にはIT大手グーグルと中国政府の関係が国家安全保障に及ぼす影響について「政権として調査を行う」とツイッターで表明。また米上下両院の議員が中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)に対する厳しい制裁を維持する法案を提出している。米中対立の先行き不透明感が強まる中で17日のNYダウは前日比115.78ドル安と続落、株安債券買いにより長期金利の指標である米10年債利回りは前日比0.06%低下の2.05%となった。
18日未明には米連銀の12地区連銀景況報告(ベージュブック)が公開されたが、それによると5月中旬から7月上旬の米国景気は緩やかな拡大が継続したが、中国等との貿易摩擦で先行きに懸念が広がる中で企業の慎重姿勢が変わっていないことが示された。7月30−31日の次回FOMCにおける利下げ判断に寄与する内容と市場は受け止めた。

【6月25日からの底上げパターン崩れるか】

ドル円は6月25日安値106.75円の後、7月3日安値107.53円、7月15日安値107.77円と底値を切り上げてきた。7月15日安値を割り込む場合はこの底上げパターンが崩れる。
日足チャートでは概ね3か月前後の周期による底打ちサイクルが認められるが、3月25日安値から3か月目となる6月25日安値でこのサイクルの底を付けて7月10日まで戻した。6月25日からの底上げパターンが崩れる場合、3か月サイクルにおいては7月10日高値でピークを付けて下落期に入る可能性が高まると思われる。6月25日安値割れが条件となるが、107.50円割れの状況が続き始める場合は6月25日安値試し、さらに底割れへ向かう可能性も高まり始めると思われる。その際は次の安値形成期となる8月末から9月末にかけての間への下落継続感も強まると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、7月15日午前安値から下げ渋りの小持ち合いとなり、16日夜に反騰したために小持ち合い終盤の16日午前安値をサイクルボトムとして強気サイクルに入った。しかし18日未明の下落で108円を割り込んできたため、17日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクルに入ったと思われる。次の安値形成期は19日午前から23日午前にかけての間と想定されるので18日の日中から19日にかけては安値試しを続けやすい時間帯と思われる。強気転換は17日未明高値超えからとし、その場合は高値更新による新たな強気サイクル入りとして20日未明から24日朝にかけての間への上昇へと基調が変わると考える。

60分足の一目均衡表では18日未明への反落で遅行スパンが悪化(実線を割り込む)、先行スパンからも転落した。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、強気転換は両スパンそろって好転するところからとする。

60分足の相対力指数は17日未明高値形成時に70ポイントを超え、その後も50ポイント以上で推移していたが、17日夜からの下落で50ポイント割れとなり、さらに18日早朝には30ポイント割れまで低下した。このため50ポイント以下での推移中は一段安警戒とし、相場が安値を更新したところで指数のボトムが切り上がる強気逆行型が形成されないうちは安値試しを続けやすいとみる。強気回復は50ポイント超え、維持へ戻す必要があると思われる。

以上を踏まえ当面のポイントを示す。
(1)当初、107.75円を下値支持線、108.20円を上値抵抗線とする。
(2)108円以下での推移か、一時的に108円を超えても108.20円超えへ進めずに108円を割り込む場合は一段安警戒とし、107.75円割れからは107.50円前後への下落を想定する。107.50円割れは買い戻しも入りやすいとみるが、107.75円以下での推移が続くあいだは19日にかけても安値を試しやすいとみる。また、7月3日安値107.53円割れからは3か月サイクルレベルでの下落継続の可能性が高まるとみて、先行きは6月25日安値106.75円割れを目指すとみる。
(3)108.20円超えからは強気転換注意として17日未明高値108.37円試しへ向かうとみる。108.37円を超えずに108円を割り込むところからは下げ再開とするが、108.37円を超える場合は上昇基調へ戻るとみて12日高値108.60円超えを目指すと考える。

【当面の主な予定】

7/18(木)
未 定 (南) 南アフリカ準備銀行 政策金利 (現行 6.75%、予想 6.50%)
10:30 (豪) 6月 新規雇用者数 (5月 4.23万人、予想 1.00万人)
10:30 (豪) 6月 失業率 (5月 5.2%、予想 5.2%)
17:30 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前月比 (5月 -0.3%、予想 -0.2%)
17:30 (英) 6月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (5月 2.2%、予想 2.7%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前月比 (5月 -0.5%、予想 -0.3%)
17:30 (英) 6月 小売売上高 前年同月比 (5月 2.3%、予想 2.6%)

21:30 (米) 7月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (6月 0.3、予想 5.0)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.9万件、予想 21.6万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 172.3万人、予想 170.0万人)
22:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
23:00 (米) 6月 景気先行指数 前月比 (5月 0.0%、予想 0.1%)
27:15 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

7/19(金)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価指数 前年同月比(5月 0.7%、予想 0.7%)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価指数・生鮮食料品除く 前年同月比(5月 0.8%、予想 0.6%)
08:30 (日) 6月 全国消費者物価指数・生鮮食料品エネルギー除く前年同月比(5月 0.5%、予想 0.5%)
15:00 (独) 6月 生産者物価指数 前月比 (5月 -0.1%、予想 -0.1%)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調済 (4月 209億ユーロ)
17:00 (欧) 5月 経常収支・季調前 (4月 192億ユーロ)
23:00 (米) 7月 ミシガン大学消費者信頼感指数 速報値 (6月 98.2、予想 98.9)
24:05 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、CEBRA年次会合
29:30 (米) ローゼングレン・ボストン連銀総裁、黒田日銀総裁がCEBRAのパネル討論会参加

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