ドル円、米利下げ観測の後退を背景にドル高継続。約1ヶ月ぶり高値圏へ
海外時間の為替概況
8日の海外市場でドル円は続伸。先週末金曜日に発表された米6月非農業部門雇用者数が力強い結果を示したことで、「過度に織り込まれた米利下げ観測の後退→米長期金利上昇→ドル高」の流れが週明け以降も継続しました。トランプ米大統領による「理解しているならFRBは利下げを行うだろう」との発言や、アジア株の軟調推移を背景に、一時108.29まで下落する場面も見られましたが、同水準では押し目買い意欲も根強く、下げ渋ると、欧州勢参入後に再び反発。先週末金曜日に記録した高値108.64を上抜けると、NY時間にかけて、約1ヶ月ぶり高値となる108.81まで上値を伸ばしました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、結局108.70台でのクローズとなっております。
一方、ユーロドル相場は上値の重い展開。米雇用統計後のドル高の流れに加えて、クーレECB専務理事による「もし必要であれば量的緩和を再開することは可能」との発言が重石となった格好。NY時間午後にかけて安値となる1.1207まで下落した後、1.1215まで小反発してのクローズとなりました。
ドル円のテクニカル分析
米雇用統計後のドル独歩高を経て、一目均衡表遅行線のローソク足接触、一目均衡表転換線の基準線上抜けが実現しました。結果として、強い売りシグナルを表す一目均衡表・三役逆転は終了し、テクニカル的に見て、「下落」→「中立」へのトレンド転換が意識されます。10日-11日に予定されているパウエルFRB議長による議会証言の結果次第では、更なる続伸もあり得ることから、短期的にはドル円は底堅く推移すると予想されます。
もっとも、世界的な貿易戦争リスクや、世界経済の先行き不透明感、英国情勢の不安定化、イタリア財政悪化問題、米独関係悪化懸念、イランを巡る地政学的リスク、日本とその他各国との金融政策格差の縮小(欧米をはじめ主要中銀がハト派化に方針転換する一方、副作用を警戒して日銀は次の一手に踏み込めない状況)などファンダメンタルズ的な弱さを考慮すれば、一方向の上昇も想定できません。議会証言を前にした手控えムードも根強く、ドル円の上値余地は乏しいでしょう。底堅さを堅持しつつも、109円手前では伸び悩むと予想いたします。(予想レンジ:108.30ー109.00)
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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