ドル円FX予想と振り返り「もみあいもドル安トレンドは変わらず」(週報7月第2週)

円高局面で短期筋がドル売りに傾いた結果、米国雇用統計が強かったことによるポジション調整が週間高値を更新させる結果になった週でした。

ドル円FX予想と振り返り「もみあいもドル安トレンドは変わらず」(週報7月第2週)

今週の週間見通し

先週のドル円は週初に米中首脳会談を受けてのリスクオン、その後はテクニカルな売りと何か事件が起きたのではと思わせる米国とロシアからのヘッドラインをきっかけに、翌日には107円台半ばまで円高が進みました。しかし、この円高局面で短期筋がドル売りに傾いた結果、米国雇用統計が強かったことによるポジション調整が週間高値を更新させる結果になった週でした。

まず米中間の協議再開が、どこまでリスクオンの材料と捉えられるかは正直なところ疑問です。米国株は主要3株価指数ともに史上最高値を更新と、米国の金利先安観も重なってかなり調子に乗っている感じがしますが、ここに至るまでの第3段までの制裁関税で十分に景気悪化の要因となってきたわけです。
この部分は今後も変化が無いわけですし、米中協議も実際に合意に至るまでは過去の経緯を見ている限り全く安心できません。米中首脳会談自体は好材料とは言えますが、これまでの制裁関税が解除されるまでは、中国も米国も景気減速懸念を拭い去ることはできませんし、もし解除ということになれば、その時にはFRBも利下げが必要なくなる可能性もあるわけですから、現段階で株高、ドル高という見方はあまりに思惑先行と言わざるを得ないでしょう。

また、火曜NY市場でも米国とロシアのニュースヘッドラインは、こうした思惑を消し短期的にはドル売りに向かった感じがしましたが、金曜の雇用統計でそうした向きもまた切らされたという動きでした。好材料、悪材料の双方の材料が無くなり、前週末との水準を比較すると50銭強のドル高となっています。この部分は米中間の貿易摩擦激化回避、そして7月FOMCにおける利下げ思惑後退(?)によって、持ち上げられた値幅と見ることが出来そうです。

今週は大きな材料こそないものの、パウエルFRB議長による半期に1度の議会証言が下院と上院で行われ、この証言が7月の利下げがあるかどうかを占う重要なイベントとなります。これまで、市場参加者とFOMCメンバーとの間には年後半の見通しでかなりの温度差がありましたが、先週の雇用統計でも市場参加者の利下げ思惑は実は変わっていません。
ニュースでは思惑が後退しているような書き方も目立つのですが、心理的な影響は出ていても、実際に政策金利の先物取引の分布を見ると、市場参加者は7月に利下げがあると見ています。おそらく、大半は予防的な利下げを行うのではといった見方だと思いますが、果たしてその見方が正しいかどうか、10・11日の議会証言が今週のヤマ場となります。

また日柄的には今週は上下に振れやすい時間帯に入ってきますので、先週同様に上下の動きには注意が必要です。それでも依然として108円台後半の売りと107円台後半の買いはどちらも簡単には崩せないと見ています。テクニカルにはどうでしょうか。日足チャートを見てみましょう。

テクニカルには年初来高値112.40からの下降トレンドを継続しています。ラインの取り方ですが、先週示した通り5月13日安値と6月3日安値を結んだライン(ピンクの太線)が先々週の安値106.78でも効いたことから、それと平行のラインを年初来高値から引いた下降チャンネルをベースに考えています。

現在このチャンネル上限は108.65近辺を下降中で、週初の水準から考えるとあまり距離がありません。また今週は上下に振れやすい時間帯に入っていると同時に、テクニカルなサポート・レジスタンスが効きにくい(抜ける、行き切らない、ダマシの発生)時間帯でもあり、それを考えると、6月高値の108.80から年初来高値とその後の安値の38.2%戻しとなる108.93とも重なる109円水準と考えていた方がよいかもしれません。ただ、現在の市場環境を考えるにつけ、109円台にまでドルが強含む流れは考えにくいと思います。

今週の週間見通し

ドル円(日足)チャート

逆に下値ですが、先週安値を下抜けるほどの材料もまた見当たらず、上下ともに試して今週はやや上値が重いもみあいとなるのではないか考えられ、今週は107.70レベルをサポートに、108.80レベルをレジスタンスとする週を見ておくこととします。

このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。
また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。

今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)

今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2019年FOMCメンバー(ニューヨーク、シカゴ、ボストン、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。

7月8日(月)
08:50 本邦5月貿易収支
15:00 ドイツ5月貿易収支
15:00 ドイツ5月鉱工業生産


7月9日(火)
10:30 豪州6月NAB企業景況感

7月10日(水)
09:30 豪州7月WBC消費者信頼感
10:30 中国6月CPI・PPI
15:45 フランス5月鉱工業生産
17:30 英国5月GDP
17:30 英国5月貿易収支
17:30 英国5月鉱工業生産
23:00 パウエルFRB議長議会証言
23:30 週間原油在庫統計
27:00 FOMC議事要旨公表


7月11日(木)
08:01 英国6月住宅価格指数
15:00 ドイツ6月CPI
15:45 フランス6月CPI
20:30 ECB理事会議事要旨公表
21:30 米国新規失業保険申請件数
23:00 パウエルFRB議長議会証言

7月12日(金)
中国6月貿易収支
15:00 ドイツ6月PPI
16:00 トルコ5月鉱工業生産
18:00 ユーロ圏5月鉱工業生産
21:30 米国6月PPI

前週の主要レート(週間レンジ)

前週の主要レート(週間レンジ)

上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

7月1日(月)
週明けのドル円は、G20サミットにおける米中首脳会談で第4弾の制裁関税延期とファーウェイ禁輸解除の米国が中国側に譲歩したことから、貿易摩擦激化が当面回避される見通しとなったことを受け、株価とともにリスクオンのスタートを切りました。週末終値から30銭ほどギャップアップして始まった後も底堅い展開が続きましたが、108.50よりも上ではドル売りオーダーも控えていたことから高値もみあいのまま一日を終えました。


7月2日(火)
東京市場は静かな展開となっていましたが、欧州市場に入ると米金利の低下とともにじり安の流れとなりました。さらにNY市場では週初のギャップアップを埋めたことからテクニカルにドル売りが加速する中、トランプ大統領がイベントを欠席しホワイトハウスに戻ったり、ロシアでは国防会議が開かれたりとリスクオフの動きが加速し一時107.77レベルの安値をつけました。それぞれ、単なる国内事情で何ら事件では無かったものの上値が重たいまま引けました。

7月3日(水)
ドル円は東京市場では前日安値を下回ったところでストップオーダーが出たこと、また日経平均株価も売りが先行したことから一段の円高となり、前場に107.53レベルの安値をつけました。しかし、107円台半ばでは買いが見られたことや、後場には株価が上昇に転じる動きとなったことからじり高。NY市場では取引所が短縮取引となる中で主要3株価指数が揃って史上最高値を更新した動きを好感して107.89レベルまで戻しましたが、逆に108円台の重さも感じさせる引け具合となりました。


7月4日(木)
米国市場が独立記念日で休場となること、金曜に米国雇用統計を控えていることもあって主要3通貨ペアともに終日膠着状態が続きました。ドル円はいつ見ても107.80レベルとまったく動意の見られないままで引けました。

7月5日(金)
前日は米国市場が休場で全く動きの見られなかったドル円ですが、雇用統計を前にポジション調整のドル買い戻しが出ている様子でした。海外市場に移ってからは米金利が上昇気味であったこと、テクニカルに直前2日間のもみあいを上抜けたことも重なって、NY市場までじり高の展開が続きました。雇用統計は予想よりも強かったことからドル全面高となり週間高値を更新、一時108.64レベルの高値をつけた後にやや押して引けました。

ディスクレーマー

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